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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

ニーズを探して田舎にいった時の経緯は前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。

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残り2週間!このままでは終われない

朝起きると、憂鬱な気分。ここ最近は、そんな朝を迎える事が多かったです。

「マニラの郊外の田舎にニーズはなかったです・・」日本にいる副代表の三輪と毎週行う近況報告をかねたスカイプミーティングでそう伝えていました。前の記事でも書きましたが、ニーズがなかったら撤退すると決めていたので、期限まで残り2週間しかない状況でした。

「価値があると心から思えるものでないとやらない」とも決めていたこともあり、撤退も悪い事ではないと思うようにしていました。

この時に僕を動かしていたのは、そんな「モチベーションはまだ見ぬ子どもたちの笑顔!!」といった崇高な想いではなく、「このまま何もせずに帰る事がダサい。口だけって思われたくない」という学校のみんなや昔からの友人への体裁だけでした。

お恥ずかしい話ですが、僕はそんなダメな人間です。この日も体裁としての思いだけが、僕を部屋の外に動かす力になっていました。

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ヒヤリング調査を継続した先に

午前中にはフィリピン大学の学生に紹介された、マニラの進学校のケゾンサイエンス高校のロレンゾ先生にお話を聞くアポイント。いつも通り事業について説明し、田舎にはニーズがなかったことを伝えた上で、他に映像授業でどんな可能性があるかを伺いました。

先生から色々なアイデアをもらいましたが、どうもしっくりくるこない。今日も収穫はないかなと思っていた時、「一応、この近くの公立高校に行ってみれば?もしかしたらニーズが眠っているかも知れないよ。」とロレンゾ先生は言いました。

それを聞いたときは正直、そんなことはないだろうという疑う気持ちがありました。ロレンゾ先生もその提案を言うときはダメもとで見てみたらという感じでした。

正直、苦労して探しているものがそんな近くにあるはずがないと思いました。僕は日本で公立高校に通っていた時、私立との差をあまり感じたことがなく、状況は変わらないかとあまり期待する気持ちにはなりませんでした。

距離がこんな近い場所で、圧倒的な格差なんかあるのか?と疑問に思いながら、他の先生とのヒヤリングが入っている僕は、沖本さんに電話。

僕:「なんかニーズがあるかもしれないから、行ってみてもらっていい?・・今から

沖本さん:「え!?・・うん!わかった」

僕は、特に期待することもなく、次のヒヤリングに向かいました。

現地にニーズがあるかもしれない

その日のヒヤリングも終わった帰りのタクシーでのこと。「今日もなにもなかった」そう憂鬱な気持ちでいるところに、沖本さんから電話がかかってきました。

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いつも、メールなのに珍しいな・・何だろうと思いました。電話をとって聞いた一声に鳥肌がたちました。

「秦氏!!! ニーズあるよ!!! たぶん!!!」

まさかの連絡。沖本さんはまたアポなしで学校に訪問して、校長先生と話していたようでした。いろいろ話を聞いていると、明確には分からないのですが、沖本さんがここまでテンションが上がっていたことはなかったので、かなり信憑性がありました。

今まで期待して結局ダメで落ち込んだことしかなかったので、「あまり期待しないようにしよう」と予防線を張るべきだと思う自分がいました。ただ、そうは心で分かっていても体が期待してしまう。

その日は不安と期待でなんだか落ち着かない気持ちになっていました。次の日の朝、沖本さんと再度その高校を訪問することを決めました。

学校で見た景色

「ようこそ!パヤタス高校へ!」

校長先生の秘書の先生が迎えてくれました。事業についてはしっかり沖本さんが説明していたようで、早速高校の現状を知るために、案内してもらうことになりました。

教室を案内してもらうと、そこには驚くべき光景が広がっていました。

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小さな教室いっぱいに敷き詰められたイスと中に入りきれず廊下から授業を聞いている生徒たち。80人以上の生徒の瞳が、1つの黒板に注がれていました。

授業の様子を見つつ、先生に学校や生徒の状況を伺いました。学年1600人近くで、1クラス80人もの生徒。それは私立の2倍の数字だということや、昼夜2部制で回しているために、授業時間は私立高校の3分の2以下の6時間ということなどが分かりました。

話を聞いていくうちに、私立高校と公立高校の教育の機会の格差が分かってきました。

初めての風景、湧き上がる情熱。

「見せたいものがある」

そう言って、一番奥にある校舎の3階に案内されました。そこには、人生で初めてみる奇妙な光景が広がっていました。大きな人工の「山」が広がっていました。

「あれ実は、すべてゴミなんです。マニラ中のゴミがあそこに集まって山をみたいになっているんです。そして、この高校の生徒の25%以上はあそこの近くのスラム街からきているんです。つまりあまり裕福でない子ばかりなんです。」

またベランダの下には塀を隔ててとたん屋根でできたスラム街が広がっていました。

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「この高校でフィリピン大学の受験に挑戦する人もいるんです。たった10人ですが。そして、私立の子達が行ける予備校に、彼らは通うお金がないんです」

本題の受験に関するこの回答に、僕の期待は確信に変わっていったのでした。

僕たちのやろうとしてる映像授業ってこの場所でこそニーズがあるんじゃないか。貧しさに負けずに自分の可能性にチャレンジしようとしている子どもたちがいる。そして、その存在に気付いて、解決策を持っているのは世界に自分だけ。

そして、先生は僕たちに「子どもたちのために、そのプロジェクトうちでもやって欲しい」と言いました。

しびれるというか、なんか言い表しづらい感情ですが、すごく興奮していました!

昨日までの憂鬱や後ろめたさをすっかり忘れてたかわりに、アドレナリンがみなぎり、今の僕には忘れかけていた使命感が戻ってきました。

「ここでプロジェクトを絶対やりたい!」と、ゴミ山が見えるベランダの上から自分自身にみなぎる強い意思を感じていました。

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途上国の教育課題を若者の力で解決する

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