各地で開花が平年より遅くなった桜も、関東では葉桜の時期となりましたが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。
本日は、4月から新インターン生として、大学受験支援を支えてくれている杉田(8月末から現地に渡航予定)より、大学受験結果と生徒インタビューをお届けいたします。
初めまして。
4月からバングラデシュ担当スタッフとして活動を引き継ぎました新インターン生の杉田さらと申します。
現在からオンラインで現地スタッフとコミュニケーションを取り業務に携わっており、8月末から現地に渡航します。
バングラデシュでは先日国立大学の入試が終わり、結果が出たところです。
「バングラデシュの東大」と呼ばれる国立トップのダッカ大学には10名の生徒が合格しました(4月16日時点)。
ご支援して下さった皆さまには、誠に感謝申し上げます。
今回はその中でも10万人の受験者中176位という高成績でダッカ大学の合格を掴んだ、Towhidur(トゥヒダ)君にインタビューを実施しました。
ダッカ大学の合格に彼自身と家族の喜びをあらわにしたトゥヒダ君ですが、周りからの応援が常にあったわけではありませんでした。
ダッカから車で6時間のパドナ地区出身のトゥヒダ君は両親、妹、祖父母の6人家族で育つもの、収入源はお父さんだけ。
民間の繊維産業で雇われているお父さんの給料は低く、経済的に厳しい生活を強いられていました。
そのため、両親はトゥヒダ君に地元の学費がほぼ無料のマドラサ(宗教学校)に通わせていました。
バングラデシュでは一般的に、マドラサ出身の生徒は大学に進学するチャンスは低いと考えられています。
その上、トゥヒダ君の家族の願いは、高校卒業後は他の多くの親戚がそうしたように、すぐに働き始めて家族を経済的に助けること。
ただ、トゥヒダ君にとって家族を助ける方法は別のものでした。
教育だけが貧困の連鎖から抜け出す方法だと信じ、どうしても大学進学がしたかったトゥヒダ君。必死に勉強して高校卒業試験で満点の成績を取ったことで、両親は大学受験へのチャレンジは許してくれました。
予備校に通うための資金が無いトゥヒダ君は、奨学金を得られる方法を探し、e-Educationを見つけました。選考を受け、e-Educationの全額奨学生に選ばれたことで支援を受け始めました。
最初はオンラインでどれぐらいの質の支援を受けられるか懐疑的だったというトゥヒダ君。実際に家庭ではインターネットが繋がらないことが多く、いつも近くの公園に行って授業を受けていたと言います。
さらに、授業を受けるために中古の携帯を購入しましたが、授業中に電源が落ちたり動かなくなってしまうことがあり苦労したと言います。
そんな中でも、e-Educationならではの生徒一人一人への思いやりのある個別サポートに感動したそうです。
彼のライフコーチ(オンライン家庭教師)のSabiha(サビハ)さんは現役のダッカ大学生。トゥヒダ君の家庭環境を理解し、「マドラサ出身でも、あなたはすごく努力家だからきっとダッカ大学合格のチャンスがあるよ」といつも声をかけて励ましてくれていたことが、特に受験勉強へのやる気に繋がったと言います。
また、起業家などの登壇者に経験を話してもらうMotivational College(モチベーショナルカレッジ)は一回も欠かさずに参加し、「この人たちが夢を実現したのなら自分にもできないはずはない」と思うことができたそうです。
努力の甲斐あってダッカ大学に合格することができたことで、家族は大喜びで祝福してくれ、正式にトゥヒダ君の大学進学を認めてくれました。
まず大学では、英語を学び、将来はソーシャルワーカーになりたいそうです。
「大好きなバングラデシュを良い方向に変えていくために、まずは人々を変える必要がある。そのために教育の大切さを広めたい」と話してくれました。
皆さまの支援のおかげで大学受験のチャンスを得ることができたトゥヒダ君。
「日本の支援してくれた皆さんには本当に心から感謝しています。他の同じような生徒のために、今後も支援を続けてほしいです」というメッセージを伝えてくれました。
e-Educationにはどのように社会課題と向き合うのかを定めた「スタイル」というものがあります。
そのうちの一つ、「“A” that matter」とは、「大きな課題を解決するために、目の前にある小さな課題にも目を向け、最初の一歩を踏み出した動機を忘れず、挑戦し続けます」というものです。
家族、そして国の将来のために、困難があっても挑戦し続けて合格を掴み取ったトゥヒダ君。皆さまのサポートからの奨学金があってこそ、e-Educationがその彼のポテンシャルを引き出すことができました。
そして、闇雲に目に見える結果を求めて勉強ばかりを教え込むのではなく、丁寧に生徒一人一人の人生に向き合い、精神面のサポートまでを徹底している大学生チューターと現地スタッフたちの姿勢もこのスタイルを体現していると感じました。
トゥヒダ君のように貧しくても、家族から反対されても、諦めずに大学進学を志す生徒が1人でも多く受験支援を受けられるように、ぜひ引き続きのご支援をお願い申し上げます。