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【学ぶだけじゃない、コミュニティがここにあった】元フィリピン担当インターン生・金井貴佳子さん

12/1よりスタートした「フィリピンの子どもたちに“授業”と“つながり”を届ける」冬季募金キャンペーンのご案内後、たくさんの方から温かいご支援をいただきました。

改めて、ご支援くださった皆さまありがとうございました!

今回、冬季募金キャンペーンでの目標は“30名の中学生に高校受験支援を届けること”です。

しかし、私たちe-Educationは、30名の中学生にオンラインでの高校受験支援を届けるだけではなく、

家計を支えるために働いていたり、10代での妊娠・出産、親が病気になり家事・介護をしなくてはならないなど、

様々な事情から学校を中退せざるをえなくなった子どもたちが中学修了を目指せる「オープン・ハイスクール・プログラム」の本格的再開に向けたサポートも行っている最中です。

今日は、新型コロナウイルス感染症拡大前の「オープン・ハイスクール・プログラム」の様子を知っている、元フィリピン担当インターン生の金井貴佳子(かない たかこ)さんに話を伺ってきましたので共有したいと思います。

金井 貴佳子(かない たかこ)さん

慶應義塾大学政策・メディア研究科修士1年
高校生の時にe-Educationの創業メンバーである税所篤快さんのことを知り、海外で教育事業に携わることに憧れをもつ。大学3年生時に休学し、e-Educationのインターン生としてフィリピン・カガヤンデオロへ。1年間の現地生活で、フィリピンの人々や文化に魅了され、現在フィリピンの若者のエンパワメントをテーマに修士研究を進めている。

バングラデシュでの担当業務について

ーー金井さんがフィリピンのミンダナオ島にあるカガヤン・デ・オロ市でインターン生として活動していたのはいつですか?

私がフィリピンで活動していたのは2019年4月〜2020年3月中旬までです。

ーーちょうど新型コロナウイルス感染症拡大でロックダウンになった時ですね?


そうなんです。ちょうど帰国するタイミングに首都マニラがロックダウンになるということがわかって、マニラ経由で帰る予定だったのを、急遽セブ経由に変更して帰国しました。


ーー新型コロナウイルス感染症拡大になる前のカガヤン・デ・オロ市はどのようなところでしたか?


カガヤン・デ・オロ市に行ったときの最初の印象は、わたしの地元・島根よりも栄えてて、みんな若い、ということでした。

ーーフィリピンの人口統計を見ると、平均年齢24歳とのことですよね

そうですね、本当に10代、20代前半の若い人たちばかりでした。

新型コロナウイルス感染症拡大前のオープン・ハイスクール・プログラムの様子

新型コロナウイルス感染症拡大前のオープン・ハイスクール・プログラムの様子

※フィリピンのカガヤン・デ・オロ市で「オープン・ハイスクール・プログラム」に携わっていた当時の金井貴佳子さん(左)

ーー金井さんが携わっていた「オープン・ハイスクール・プログラム」では、10代で早期出産や働くために学校を中退した子どもたちが通っていたということですが、実際どんな子どもたちがいましたか?

早期出産でまだ0歳〜1歳くらいの赤ちゃんを教室に連れてきていた生徒や、経済的事情で働いている生徒がたくさんいました。


また、中学修了を目指す「オープン・ハイスクール・プログラム」の他に、高校課程を学べる「オープン・シニアハイスクール・プログラム」にも携わっていたんですけど、オープン・シニアハイスクール・プログラムでは成人している生徒もいました。

 

ーー生徒の数はどれくらいいたのですか?
 

教室がパンパンになるくらいいて、ある学校では大体60人くらいいました。 教室が足りていないので、違う学年の生徒が混ざって勉強していました。

ーー様々な理由で学校を中退した生徒の履修状況や学力は違うと思いますが、先生は何人でどの様にして教えていたのですか?

 
オープン・ハイスクール・プログラムでは、例えば6月7月の午前中は数学、午後は英語というように一定期間同じ教科を教えるので先生は1教科毎に1人です。

学校によっては、教育学部の大学生が実習も兼ねてアシスタントとしてサポートに入る(*1)こともあります。

(*1)e-Educationがカガヤン・デ・オロ市の教育局にこのモデルを提案し、立上げから導入校拡大など教育局と共に推進していました。

※新型コロナウイルス感染症拡大前のオープン・ハイスクール・プログラムで生徒の学習をサポートする大学生チューター(左)

生徒は教科書と問題集が一緒になったような“モジュール”と呼ばれるものを使い、問題を解いて先生に提出することで単位がもらえるようになっています。

ーー生徒によって必要単位は違うと思いますが、どれくらいの期間で修了に必要な単位を取得していくのですか?


オープン・ハイスクール・プログラムは、毎年通常の学校が入学式を迎えた翌月に始まって、修了は通常の学校と同じ月なので、実質11ヶ月ほどで修了のための単位を取得していきます。

ーー印象に残っている生徒のエピソードはいますか?

オープン・ハイスクール・プログラムやオープン・シニア・ハイスクールプログラムで勉強することで、結果的にどういう将来に繋がっていくのか?

という未来がわかると良いよねという発想から、
“大家族で貧しかったけど何とか学校へ通って最終的に教師になる”
という夢を叶えた教育局のアクロさんに話をしてもらうというようなロールモデル授業を行ったことがあったのですが、

その時にいた生徒の中に“サイちゃん”という24歳の生徒がいました。

サイちゃんは早期出産で学校を辞めた過去があり、3人の子どもを育てながらオープン・シニア・ハイスクールプログラムに通ってきてくれていました。

サイちゃんの父親は犯罪で捕まったことがあるそうで、でも、

「わたしの子どもには良い教育を受けさせたい」
「子どものためにも大学でホテルマネジメントを学んで働きたい」

と話してくれました。

その後、サイちゃんから、

「カガヤン・デ・オロ市の中でも学費が安くホテルマネジメントも学べる大学を見つけたけど大学へ行くための奨学金を得るにはどうしたら良い?」
という相談をもらって、一緒に聞きに行ったところ、ちょうど彼女が行きたいと思っていた大学の奨学金を得るための試験があるということでした。

そして試験を受けたら見事合格して、もともと安い学費のさらに半額で通えることになったんです。

サイちゃんは「まさか行けることになるなんて」と、とても驚いていたんですが、サイちゃんのように行動したら行ける生徒も他にもきっといると思うんです。

ただ、貧困や早期出産など様々な事情を抱えた生徒たちは、「自分なんか無理」って、そもそも行けるなんて思っていないから、そういう発想にもならないのかもしれません。

だから、ロールモデル授業で、自分と同じ様に大変な環境だったけど夢を叶えた人がいると知って、サイちゃんのように行動を起こす生徒がいてくれたことが嬉しかったです。

ーーオープン・ハイスクール・プログラムの本格的再開に向けてe-Educationは今まさに準備をしていますが、オープン・ハイスクール・プログラムの意義を感じたことは?

生徒はみんな辛い過去があったり、過酷な状況下にいるということもあって、中には癇癪(かんしゃく)を起こして物を壊してしまったりする生徒もいました。

そんな時、先生たちは怒るのではなく
「この子は、そういう気持ちをケアする時間を今まで持てていなかっただけ。私たちがもっとこの子に愛を与えてあげないと」
と、常に生徒へ愛と情熱を持って向き合っていました。

また、生徒が1歳未満の自分の子どもを連れてくると、
他の生徒があやしてくれたり、みんなが子どもの面倒を見てくれることで、

“1人の母親から生徒に戻れる時間”

にもなっていて、そういうのを見ていると、「学ぶだけじゃないんだな。このコミュニティが続いて欲しいな」って思います。

年齢も様々な生徒たちがアルファベットを並べ英単語をつくる授業の様子

冬季募金キャンペーンのご寄付はオープン・ハイスクール・プログラムの支援にも活用されます

現在実施中の冬季募金キャンペーンの目標は、30名の生徒にオンラインでの高校受験支援を届けることです。

そして、1/9までの冬季募金キャンペーン期間中に目標に到達した場合は、今後のオープン・ハイスクール・プログラムの支援にも役立てられます。

2年以上もの間、学校閉鎖と厳しい外出制限が課されたことで、教育だけでなく人とのつながりの機会も失っていたフィリピンの子どもたちに「授業」と「つながり」を届けるため引き続き応援くださる方を募っています。


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