しかし、私たちe-Educationは、30名の中学生にオンラインでの高校受験支援を届けるだけではなく、
家計を支えるために働いていたり、10代での妊娠・出産、親が病気になり家事・介護をしなくてはならないなど、
様々な事情から学校を中退せざるをえなくなった子どもたちが中学修了を目指せる「オープン・ハイスクール・プログラム」の本格的再開に向けたサポートも行っている最中です。
今日は、新型コロナウイルス感染症拡大前の「オープン・ハイスクール・プログラム」の様子を知っている、元フィリピン担当インターン生の金井貴佳子(かない たかこ)さんに話を伺ってきましたので共有したいと思います。
金井 貴佳子(かない たかこ)さん
慶應義塾大学政策・メディア研究科修士1年 |
ーー金井さんがフィリピンのミンダナオ島にあるカガヤン・デ・オロ市でインターン生として活動していたのはいつですか?
私がフィリピンで活動していたのは2019年4月〜2020年3月中旬までです。
ーーちょうど新型コロナウイルス感染症拡大でロックダウンになった時ですね?
そうなんです。ちょうど帰国するタイミングに首都マニラがロックダウンになるということがわかって、マニラ経由で帰る予定だったのを、急遽セブ経由に変更して帰国しました。
ーー新型コロナウイルス感染症拡大になる前のカガヤン・デ・オロ市はどのようなところでしたか?
カガヤン・デ・オロ市に行ったときの最初の印象は、わたしの地元・島根よりも栄えてて、みんな若い、ということでした。
ーーフィリピンの人口統計を見ると、平均年齢24歳とのことですよね
そうですね、本当に10代、20代前半の若い人たちばかりでした。
※フィリピンのカガヤン・デ・オロ市で「オープン・ハイスクール・プログラム」に携わっていた当時の金井貴佳子さん(左)
ーー金井さんが携わっていた「オープン・ハイスクール・プログラム」では、10代で早期出産や働くために学校を中退した子どもたちが通っていたということですが、実際どんな子どもたちがいましたか?
早期出産でまだ0歳〜1歳くらいの赤ちゃんを教室に連れてきていた生徒や、経済的事情で働いている生徒がたくさんいました。
また、中学修了を目指す「オープン・ハイスクール・プログラム」の他に、高校課程を学べる「オープン・シニアハイスクール・プログラム」にも携わっていたんですけど、オープン・シニアハイスクール・プログラムでは成人している生徒もいました。
ーー生徒の数はどれくらいいたのですか?
教室がパンパンになるくらいいて、ある学校では大体60人くらいいました。 教室が足りていないので、違う学年の生徒が混ざって勉強していました。
ーー様々な理由で学校を中退した生徒の履修状況や学力は違うと思いますが、先生は何人でどの様にして教えていたのですか?
生徒は教科書と問題集が一緒になったような“モジュール”と呼ばれるものを使い、問題を解いて先生に提出することで単位がもらえるようになっています。
ーー生徒によって必要単位は違うと思いますが、どれくらいの期間で修了に必要な単位を取得していくのですか?
オープン・ハイスクール・プログラムは、毎年通常の学校が入学式を迎えた翌月に始まって、修了は通常の学校と同じ月なので、実質11ヶ月ほどで修了のための単位を取得していきます。
ーー印象に残っている生徒のエピソードはいますか?
オープン・ハイスクール・プログラムやオープン・シニア・ハイスクールプログラムで勉強することで、結果的にどういう将来に繋がっていくのか?
という未来がわかると良いよねという発想から、
“大家族で貧しかったけど何とか学校へ通って最終的に教師になる”
という夢を叶えた教育局のアクロさんに話をしてもらうというようなロールモデル授業を行ったことがあったのですが、
その時にいた生徒の中に“サイちゃん”という24歳の生徒がいました。
サイちゃんは早期出産で学校を辞めた過去があり、3人の子どもを育てながらオープン・シニア・ハイスクールプログラムに通ってきてくれていました。
サイちゃんの父親は犯罪で捕まったことがあるそうで、でも、
「わたしの子どもには良い教育を受けさせたい」
「子どものためにも大学でホテルマネジメントを学んで働きたい」
と話してくれました。
その後、サイちゃんから、
「カガヤン・デ・オロ市の中でも学費が安くホテルマネジメントも学べる大学を見つけたけど大学へ行くための奨学金を得るにはどうしたら良い?」という相談をもらって、一緒に聞きに行ったところ、ちょうど彼女が行きたいと思っていた大学の奨学金を得るための試験があるということでした。
「この子は、そういう気持ちをケアする時間を今まで持てていなかっただけ。私たちがもっとこの子に愛を与えてあげないと」と、常に生徒へ愛と情熱を持って向き合っていました。
現在実施中の冬季募金キャンペーンの目標は、30名の生徒にオンラインでの高校受験支援を届けることです。
そして、1/9までの冬季募金キャンペーン期間中に目標に到達した場合は、今後のオープン・ハイスクール・プログラムの支援にも役立てられます。
2年以上もの間、学校閉鎖と厳しい外出制限が課されたことで、教育だけでなく人とのつながりの機会も失っていたフィリピンの子どもたちに「授業」と「つながり」を届けるため引き続き応援くださる方を募っています。
1回のみ寄付で応援する
マンスリーサポーターとして、毎月1,000円ずつご寄付いただくこともできます。
ご支援金額の変更や停止はいつでも可能です。