私たちe-Educationの活動は、職員だけではなく、現地でともに活動するパートナー団体、現地の学校や教育局、日本ならではの技術や専門性で協業いただいている企業の皆様、寄付や温かいメッセージで支えて下さっているマンスリーサポーターの方々など、色々な関係者により成り立っています。
今回は、なかでも活動国へ駐在し、現地のパートナー団体のスタッフと日々仕事を推進してくれている大学生インターンのインタビューから、インターン生ならではの仕事や苦労、インターン生自身の変化などを感じていただきたいです。
国内インターンの小南が、2024年夏からフィリピンへ渡航している大学4年生の大岡さんへインタビューした内容をお届けします。
ーー最初に、なぜe-Educationの海外インターンに応募しようと思ったのですか?背景を教えてください。
背景は2つあります。
1つ目はもともと紛争問題に関心があり、紛争の原因となる宗教を大学では専攻していましたが、勉強していくうちに、紛争問題の一番大きな要因は経済格差であると考えるようになりました。この経済格差をなくすためには、直感的に強い意思を持って行動する人を育てる教育こそが国を経済発展へ導くことに繋がるのではないかと考え、教育分野に関心を持つようになりました。
2つ目は日本で一度、就活を体験した時「自分のやりたい仕事が見つからない」という率直な感想を持ったことです。ただお金だけを稼ぐのではなくて、もっと自分にとって、やりがいのある、社会にも貢献できるような仕事をしたい。日本だけではなくて、広い世界で働きたいという思いが強くなり、海外で将来活かせるような英語を使いつつ、海外でプロジェクトを動かす経験をしたいと思いました。
e-Educationの海外インターンでは、途上国を教育分野から経済格差にアプローチすることができることに加え、海外での実務経験を積めることの2つに魅力を感じ、応募しました。
また、海外インターンに応募してからも、e-Educationが発信している記事を読めば読むほど、団体の活動内容の良さはもちろんのこと、職員さんの素晴らしさを知り、絶対に受かりたいという想いが強くなりました。
ーーe-Educationの活動に深く賛同されていたのですね。インターンに応募するにあたって、不安や迷いはありませんでしたか?
ありませんでした。
元から海外留学をしたいと考えていたし、周囲にも留学をするために休学している人が多い環境にいたからです。
また、海外インターンに一年間専念することは語学や文化を勉強する留学と比較した時に、留学で経験できることに加えて、海外で実務的なプロジェクトを行えることに価値があると思い、不安や迷いはありませんでした。
ーー不安や迷いがなかったのは驚きです。ご家族の方の海外インターンに挑戦することを伝えたときの反応はいかがでしたか?
初めは私のことを心配して、海外インターン以外の方法で同じような経験ができるのではないかと提案してくれていました。急に親から電話がかかってきて、「なんで休学してまで行くの?」と聞かれたこともあります。
家族からしたら、e-Educationが安全な団体なのか、金銭面はどうするのか、言語も文化も違うフィリピンで生活していけるのか、心配してくれていたのだと思います。
なので私はすこしでも家族の不安を取り除けるよう、e-Educationが配信している海外インターンの要項動画を見せて、どんな活動をしている団体なのかを説明しました。
また金銭面に関しては、トビタテ留学Japanの奨学金を得ようと考えていることや、実際にフィリピンに旅行と称した下見に行きました。
これらの説明をしたことによって、今では私の活動を応援してくれています。
ーーふみはさんの熱い想いがご家族にも伝わったのですね。それでは、フィリピンのカガヤンデオロ市で担当している仕事を教えてもらえますか?
私が担当しているのは主に、オンラインとオンラインのハイブリット式の教育支援を通じた大学受験支援サービス「StudyCo」の授業運営補佐を行っています。
具体的な業務としては2つあります。
1つ目は大学受験に向けた模擬テストのマネジメントです。
テスト内容の構成を考えることや、生徒のテスト結果の分析を行うことで生徒の弱みや強みを知り、現地スタッフと相談しながら指導方針を作成しています。
2つ目はStudyCoで行っている授業動画のフィードバックを行います。出席率を上げるためにはどうしたらいいか、生徒のスコアを向上させるためにはどうしたらいいのかを生徒からのヒアリングなどを元に考えています。
私の一日のスケジュール
ーーさまざまな業務をされている中で、とくに大変だったことはなんですか?
現地スタッフと連絡を密にとれないことが大変でした。
私が働くカガヤンデオロ市の職務体形は、日本の職員2名から業務に関する概要をオンライン上で伝えられ、私と現地スタッフ2名で、伝えられた業務を実際に運営するためにはどのようにしたらいいのかを現場起点で考え、動く、といった形になっています。つまり現地スタッフとの連携が必須です。
私は当初、約3か月間日本で業務を行っていました。オンライン上で業務を進めることになるのですが、そもそも現地スタッフと仕事を始めて日が浅いこともあって、相手の仕事に対する温度感が分かりませんでした。また、自分の意見をいうのも相手は年上だし、私より現地にいてフィリピンの現状を知っているから私が意見を言っていいのかな、という不安がありました。
何とか連絡を取って私を知ってもらい、打ち解けようとチャット上で頻繁に連絡を取ろうとしましたが、なかなか返信が返ってきませんでした。
今では返信が返ってこないことはフィリピンあるあるだなと思えますが、日本にいたときは一緒に仕事をしていけるのか不安でした。
そこで私は週に3回現地スタッフと日本人スタッフでミーティングしているのとは別に、週に1,2回現地スタッフと2人でミーティングしようと提案しました。チャット上ではなく、対面でのコミュニケーションの回数を増やすことによって、親密な関係づくりへと一歩近づくことができました。
これによって、今ではミーティングの合間にプライベートの話をするほど打ち解けることができ、チャット上の返信も早くなったことによって円滑に業務を行うことができています。今ではランチも一緒に食べるほどお互いの距離が縮まり、嬉しく思っています!
現地スタッフ2名と大岡でランチ
ーーご自身で現地スタッフとどうしたら打ち解けることができるかを考えて、行動されていたんですね。現地スタッフとよく話すようになって、スタッフに対してどのような印象をもっていますか?
すごい素敵な方です!尊敬できるところがいっぱいです。
こう思ったきっかけは、現地スタッフの一人が「私たちはワンチームだよ」と言ってくれたことです。「誰の仕事、だれの責任というよりは、一緒に協力してプロジェクトを作っていこう」と言ってくれたことが私に深く刺さり、まだ相手を信頼できていない自分がいたことに気づかされました
初めは自分1人で与えられたタスクをこなさないと、と気負っていたところもありましたが、この言葉を聞いて、自分1人ですべて考えるのではなく、とりあえず聞いてみる。そこが先になりました。周りの人と一緒に考えることによって、小さな悩みでも気軽に相談することができるようになりました。
他にも、上司と部下というよりは、ワークメイトという意識が強いです。現地スタッフの方が私の上司ではありますが、私が日本での受験体験をもとに新しいアイデアを提案すると、立場に関係なく、私のアイデアを受け入れてくれます。
現地スタッフとカミギン島インターン生の長尾と大岡
模擬テストのスコアシートを作成したことです。スコアシートの作成依頼は日本の職員さんからお願いされたのですが、その様式は私がアイデアを出して、作成しました。
日本人にとって、自分のスコアや、全国の平均点と自分の点数との比較、得意不得意が分かるシートがあるのが当たり前かもしれませんが、実はこのスコアシート、フィリピンやe-Educationには存在しませんでした。
なので、私が大学受験の時に受けた模試の得点表をベースにスプレッドシートを用いてフィリピン版にリメイクし、現地スタッフや日本の職員さんに提出したところ、提案したスコアシートを採用していただきました。そして今ではフィリピンだけでなく、e-Educationが活動している他の国でスコアシートを作成する際のモデルとなっています。
日本で当たり前とされている知識を生かして、e-Educationでずっと継続して使われるものを作れたことがとてもうれしいです。
実際に作成したスコアシート
専門的な知識はありません。スコアシートの元になっているスプレッドシートを使い始めたのは、このインターンを始めてからです。得点などを関数を使ってスコアシートに反映させるのですが、関数も1から日本の職員さんに教えてもらいながら作成しました。日本の職員さんとも毎週1対1で1週間の振り返りや相談ができるので、スキルの面で不安があっても、問題ありませんでした。
また、専門的な知識がなくても「日本で生活していただけで」自然と身に付いた力が、このインターンに貢献したこともあります。
それはスケジュール管理です。現地のチューターがスケジュールにルーズなところがあり、事前に小テストを配信しなければいけないのに、忘れてしまうという問題がありました。これは生徒に迷惑をかけているので直さなければならないと私から話し、小テストの配信を従来より早く送ることを提案しました。
この問題を解決するのに使ったのは、日本人の時間を守る力や仕事の進め方の知識で、専門知識は一切必要ありませんでした。
ーー日本の当たり前が、業務を行うにあたって大きな武器になるのですね。まだこれからもインターンの期間が残っていると思いますが、今後やりたいことはなんですか?
フィリピンのことをよりよく知って、本当に現地に需要があるサービスを提供していきたいです。
今現地で働いているからこそ、日本で働いていた時に知れなかった現地に根付いた文化などを肌身で感じることができています。
カガヤンデオロ市での活動は、まだ新しく始まったプロジェクトが多いので、現地にいるからこそ知ることができた体験をもとに、私がインターンの任期を終えた後にも継続していってもらえるような、基盤が固まったサービスを作っていきたいです。
教育庁訪問時(左から2番目が大岡)
このインターンに迷っているなら絶対に応募することをお勧めします。
不安を思うこともあるかもしれないけど、なによりもe-Educationが安全面や精神面でもサポートがしっかりしています。教育に対する知識がない。ビジネスに対する知識もない。それでも、現地で1年間頑張りたいという気持ちがあれば大丈夫です。
新しいことに挑戦したい、就職する前の、自由な、そして、可能性を一番試すことができる時期に、1年間海外に飛び込み、全力で挑戦する経験は、一生ものです。
途上国、教育、挑戦という言葉を聞いて、少しでもなにかピンと来た人はぜひ、1年間どっぷりつかりこんでチャレンジしてほしいです。
インタビューはいかがでしたでしょうか?
このようにe-Educationは、インターン生である大学生自身が挑戦し、そして成長できる場を提供しながら、「最高の教育を世界の果てまで」というミッションを実現していきます。
みなさんも彼女の今後の活動を応援していただけると、とても力になります!
よろしくお願いいたします!