現地情報

【バングラデシュ】教育支援事業を次のステップへと進めるe-Educationインターン生インタビュー

途上国の教育問題を自らの手で解決しようと挑戦する大学生によって生まれたe-Educationは、毎年多くの大学生が活動に参画してくれていましたが、コロナ禍においては海外でのインターン活動中止を余儀なくされました。

その様な中でもバングラデシュの子どもたちが少しでも学ぶ機会を得られるようにという想いでe-Educationは活動を続け、幸いなことに昨年からは海外でのインターン活動を再開することが可能になり昨年10月から今津 千尋さん(いまづ ちひろ さん)が現地での活動を支えてくれていました。
参考:インタビュー記事

そして今年、今津千尋さんの活動終了間近となった6月、現地パートナー団体と共にe-Educationを次なるステップに進めるためのプロジェクトに、新たに禾(のぎ)ゆきなさんが加わりました。

今回は、禾ゆきなさんに、現在取り組んでいるプロジェクトやバングラデシュでの生活についてインタビューさせていただきました。

禾 ゆきな(のぎ ゆきな) さん
東京大学 経済学部4年生。
アメリカとオーストラリアで幼少期を過ごし、オーストラリアでは多文化共生に触れる。中学生の時に日本へ帰国。オーストラリアでの体験からグローバルな活動や多文化共生に関心を持ち、高校1年生の時にベルリン模擬国連 (学生が各国の大使になりきり実際の国連の会議を模擬する活動) に参加。
大学2年生の開発経済学の授業でグラミン銀行やソーシャルビジネスについて知り興味を持ち、グローバル社会へ貢献する人材の支援・育成を目的とした実践型教育プログラムに参加。そのプログラムを運営するNPO法人のインターンとしてソーシャルグッドな事業をテーマに経営課題を分析し実行するという経験を経て、2022年6月よりe-Educationバングラデシュ担当インターン生として活動中。

“大きなチャレンジ”をしてみたい

ーーe-Educationのインターンに応募した理由を教えてください

子どもの頃、アメリカとオーストラリアに住んでいた経験があり、海外の人と話したり色々な文化に触れることが好きだったので、もともと大学生の間に長期で海外に行きたいという想いがありました。

そしてなぜ留学ではなくインターンだったかというと、もちろんコロナの影響で海外で留学に行ける場所が少なかったというのもありますが、アジア最貧国とも言われていたバングラデシュに行ったら絶対自分のチャレンジになると思ったからです。

というのも大学3年生の頃、これまで恵まれた環境で育ってきた私は、「この恵まれた環境がなかったら今の大学生という立場にいれたのだろうか?」と考えたことがありました。

「このまま生きていったら凄い狭い世界で生きていくんじゃないか?」って思ったし、このまま社会人になったらへなちょこ人間になるんじゃないか、そうならないためにも「大きいチャレンジをしてみたい」と思いました。

元々抱いていた「海外に行きたい」という想いと、「バングラデシュでのインターンは大きなチャレンジになるだろう」という考えから、e-Educationの海外インターンに応募しました。

“大きなチャレンジ”をしてみたい

渡航前の決意表明プレゼンで想いを語る禾ゆきなさん

ーー具体的にバングラデシュではどの様なチャレンジをしていますか?

 
主に「AEW(Advanced English Writingの略)」というバングラデシュの大学受験対策の英文添削サービス事業に携わっています。

このAEWはもともとe-Educationが大学受験を目指す農村部の高校生に向けて無償で提供しているスマホ学習アプリのコンテンツの一つです。

これを例えば都市部の経済的に恵まれた高校生向けには有償サービス化しパートナー団体の収益源を作ることが出来れば、経済的困難を抱える子どもへの無償支援をパートナー団体のみで安定的に持続していくことが出来るようになります。

e-Educationのサポートがなくても現地の人のみで経済的に困難な子どもへ学習の機会を与え続けることが出来る仕組みが出来あがったら、e-Educationはまた次のステップへと進むことができます。

その為にどうしたら良いかを日々考え、チャレンジしています。

バングラデシュで活動する中でのエピソード

ーー活動をする中での失敗談や大変だなと思ったことなどはありますか?

はい。大学受験対策に関するサービスを広めるための施策がたくさん挙がる中で、なぜその施策を考案したのか気になって現地スタッフに質問したのですが、バングラデシュの人ならではの考え方を私が理解できていないこともあり、現地スタッフからすると当然のことに対してトンチンカンな質問をしてしまったことがあります。

また現地スタッフは、とにかく物事を決めるのも始めるのも早くて、聞きたいことがあればメッセージやメールではなく初対面の相手でも躊躇せず直接本人に聞きに行くし、どんどん話がその場で決まっていくので「え?いつ決まったの?」ということも多々ありました。

初めはそのスピード感に慣れるのが大変でした。

ーー活動している中で自分が誰かの助けになっているなと実感したことは?

それこそダッカ大学に合格した生徒と話していると、“この活動は凄い意義があるんだな”って感じます。

日本にいた時の私は、大学受験をするのがあたりまえで、当然のように出来る環境にもいたので特にありがたみなどを感じることもなく大学受験をしていました。

ですがe-Educationで支援をしている生徒の中には、家庭の経済状況から予備校に通うお金がなくて大学受験に挑戦できるかすらもわからない子もいます。

それでもダッカ大学という憧れの場所に行きたいと、努力してダッカ大学に合格した子が、キラキラした目で大学の話をしているのを聞いていると「この子は本当に夢をかなえたんだな、凄いな」って思いますし、その子の人生に自分が少しでも貢献できていると思うと嬉しくなりました。

バングラデシュの大学生について

ーーダッカ大学に合格したとしても農村部出身の子が大学に通うのって大変だと思いますが、みんなどうしてますか?

そうですね、農村部に住んでいる子たちは、ほとんどダッカなどの大都市に上京して一人暮らしをするか、寮に入って暮らしています。

農村部からだとダッカ大学まで3〜4時間、渋滞したら6時間くらい平気でかかるので、そんな中で毎日大学に通うのは無理ですし。

ーー学生生活での悩みなど聞いたことはありますか?
 

私はダッカ大学に合格した子と話す機会が多いのですが、もちろん悩みを抱えている子もいると思いますが、私が会った子たちは、夢をかなえて大学に通ってるので本当にもうこれが自分の夢だみたいな感じでキラキラ輝いてます。

バングラデシュの大学生について

※ダッカ大に合格した生徒と、ダッカ大のカフェテリアで話している禾ゆきなさん

“カオス”な街中と“お節介”なバングラデシュ人

ーーバングラデシュの首都・ダッカで暮らしてみて驚いたことなどありましたか?


たくさんあります。

すべてが“カオス”という感じでした。

まずバングラデシュの空港に降り立った瞬間に「なんじゃこりゃ!」って感じでした。 街中は人がめちゃくちゃ多いですし、熱気も凄かったです。

道路の車線はあって無いようなもので、ゲームのマリオカートみたいに隙間があれば左右斜め、あらゆる方向から「スススーッ」「バーン!」って感じに、車やCNGって三輪自動車が入ってくるのを見て衝撃を受けました。

信号もなくて、人は好きな場所で渡るし、街中は匂いも臭くて、環境は本当に日本とは全然違います。

それからバングラデシュの人は凄いお節介ですね。

――お節介?

もちろん良い意味でのお節介なんですけど、例えば私が体調を崩して休んで次の日オフィスに行くと、なぜか全員がそれを知ってて、

「おい大丈夫だったか!?」
「どうしたんだ?」
「ちゃんと食べてるか?」

みたいな感じで、めちゃくちゃ食べ物くれたり、そこが凄く良いところかなって思います。

なんか、守られてる感じがします。

――バングラデシュの生活習慣はどうですか?

そうですね、そもそもスプーン使わなかったり、全部手で食べるのはびっくりしました。

あと毎食カレーですね。

インドに近いかもしれないです。
インドのコルカタと文化が似てるって聞きますし。


あとバングラデシュはイスラム教が多いので豚肉が食べられなくて、焼肉食べたいなって思った時に困ります。

そもそも提供しているお店がなかったり、あってもめちゃくちゃ高いので買っていません。

バングラデシュにおける女性の課題

ーーもっとこうなったら良いのにと思うことはありますか?

はい。
男性に比べて女性の自由度が低いところがあるなと思っていて、地方に住んでる生徒の中ですごい勉強が出来てポテンシャルがあって、ダッカ大学に合格出来るだろうと思っていた子が、家族に「大学生になって一人暮らしするなんてありえない」って反対されてしまい、ダッカ大学を受けることも出来ずに、結局地方の公立の学校に行った子がいると聞いて、

「やっぱりなかなか女の子だと理解を得られない事がまだまだあるんだろうな」と思いましたし「女性に対する支援というのは、まだまだできる余地がありそうだな」とも思います

今後の目標

ーーインターンとしての活動が終わるまでにどうなっていたいですか?

具体的なイメージはまだ出来てないのですが、やっぱり活動する以上は結果は出したいので、e-Educationのサポートがなくても現地の人のみで経済的に困難な子どもへ学習の機会を与え続けることが出来る状態に近づけておきたいです。


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