e-Educationの活動国の1つであるフィリピンでは、「最高の教育を世界の果てまで」届けるために、カミギン島とミンダナオ島にあるカガヤン・デ・オロ市の2拠点で現地パートナーとともに教育課題の解決に挑んでいます。
今回は、カミギン島の現地パートナー企業「100 Corp.(ワンハンドレッド)」での英語教育事業を支えてくれているe-Educationインターン生・遠山さくらさんにインタビューさせていただきました。
遠山 さくら(とおやま さくら)さん
東京大学 文学部 (社会心理学専修課程) 3年生。 |
ーー遠山さんはシンガポール国立大学への交換留学が決まっていた中、辞退してe-Educationのインターンを選ばれましたが、その理由はなんですか?迷いはなかったですか?
はい、一切迷いはなかったです。
交換留学ではなくe-Educaionでのインターンを選んだのは、「社会の不条理を解決する」という自分のビジョンに真正面から取り組みたいと思ったからです。
私は社会の不条理によって人生への閉塞感や自己肯定感の低さなど、負の感情を抱いてしまう人を極力少なくしたいと思ってるのですが、人に力をつけるのにやはり”教育”は有効ですし、同世代の若者の力になれるというところにも惹かれました。
また、私自身、いつか社会の不条理を解決するようなビジネスを始めたいと思っていたこともあり、自分が共感できるビジョンで活動している団体がどんな感じでプロジェクトを動かし、どう社会に影響を与えていっているのか具体的なイメージを掴みたかったというのもあります。
実際、選んで120%正解だったと思っています。
ここまでやるとは思ってませんでしたが、人を巻き込みながら複数のプロジェクトを動かしていく経験は、留学では絶対出来なかったと思うからです。
ーーe-Educationのインターン生としてフィリピンではどのような事業のどんな業務に携わっていますか?
e-Educationのパートナー企業の100 Corp.では、日本の高校生向けのオンライン英会話レッスンと英作文添削の事業を行っています。
そして、業務として私が関わっていることは大きく分けて4つあります。
1つはフィリピンの若者に向けた映像授業を活用した英語教育です。
フィリピンでは仕事を得るために基本的な英語力が求められ、英語を使わない仕事の採用面接でも英語で面接が行われることもあるんです。
でもカミギンには英語力が不十分な若者も多くいるので、いつでもどこでも学べる映像授業の利点を生かして雇用に繋がる英語教育の機会を届けようという取り組みで、英文法の映像授業を無償で提供しています。
実際に今、オンライン英会話や英作文添削の講師の採用を行っていて、その採用では英語の試験があるのですが、100Corp.で活躍できそうなパーソナリティーを持った人が英文法で落ちてしまうという所をなるべく拾い上げられるように、応募者にも私たちが作った英文法の映像授業を届けて雇用機会の創出に繋げています。
2つ目に、講師への英文法トレーニングです。
講師の英会話レッスンの質を上げるためというのもありますし、さらに英作文添削の講師になるには、英会話レッスン講師の採用試験よりレベルの高い英文法試験を突破する必要があるので、定期的に講師へ英文法のトレーニングを行っています。
3つ目は、英作文添削の質の管理や添削数増加のための取り組みです。
講師が添削した英文を見て、文法ミスがないかチェックし、ミスがあれば正しい文法を教えたり、勉強会を開いたりしています。
また、日本の高校生が書いた英文の中には、日本文化の知識が必要な英作文や、生徒が何を言いたいのかが掴みにくい英作文もあるので、そのような英作文にどう対処すればよいかを講師と一緒にディスカッションしたり、添削数向上のために各講師の添削を見える化してモチベーションを上げる取り組みも行っています。
4つ目が、採用や新入社員のトレーニングの他、シフト管理や経費管理などのバックオフィスにも携わっています。
ーー1日のスケジュールはどんな感じですか?
勤務時間は、基本は朝9時から18時で、繁忙期は夜の21時頃までになる時もありますが、常に複数のプロジェクトが同時進行しているので、朝オフィスに着いたら1日のスケジュールを確認してタスクの整理と優先順位付けをします。
また、英会話レッスンが午前8時〜夜10時まで予約できるようになっているので、午前シフトの講師の出勤状況と午後シフトは誰が出勤予定なのかを確認し、体調不良などで講師が欠勤となった場合は、代わりに対応できる講師を探してシフト調整します。
その他、英会話サービスでトラブルがあった時用のマニュアル作成や、英作文添削の講師試験対策用の映像授業コンテンツを作るにあたって計画・設計したり、講師への英文法トレーニングや添削の質のチェック、講師リーダーの2人とミーティングも行います。
お昼ごはんの時間は決まってはいないのですが、大体12時〜13時くらいに講師のみんなと“カレンデリア”というフードコートに買いに行ったり、オフィスで料理して食べることもあります。
カレンデリアは、1店舗に20種類くらい品数が豊富で、「何食べようかな」って選ぶ楽しみがありますね。
オフィスでの料理は、講師のみんなに何度か作ったことがあるのですが、カレーを作った時が1番喜ばれました。
「美味しい」「これが1番好きな日本食だ」と言ってくれました。
※オフィスでたこ焼きを作り講師に振る舞う遠山さくらさん(右奥)
ランチでは雑談するだけではなく、仕事上でコミュニケーションミスがあった時に「あの時はごめんね」などフォローを入れて和解したり、円滑なコミュニケーションを図る上でも大切な時間です。
夜は英会話レッスンの予約が多く、時々、音声トラブルが起きることもあるのですが、
その時は私が日本語でトラブル解決のサポートに入っています。
仕事の後は、“フィエスタ”という祭りが頻繁に行われていて講師と一緒に行ったり、オフィスから歩いて5分くらいのところにジムがあり、そこにはよく通っています。
というのも、先輩インターン生が日本に帰国してから、自分で考えて自分で行動を起こさないといけない機会も増えました。
日々、試行錯誤していく上で身体を動かすことが良いリフレッシュになっています。
ーー100Corp.でともに活動する講師にはどのような方がいますか?
よく話しているのはジャニスという講師です。
ジャニスは誰かが困っていると自ら声をかけて、「私に何かできることある?」というようにとても協力的で、リーダーシップのある講師の一人です。
将来は日本で教師に関する仕事がしたいと、まずはフィリピンで教員免許を取得することを目標に、休日を活用して独学で勉強しています。
あとはエンジェルというコミュニケーション能力が非常に高い講師で、オフィスに出社した際にはみんなとグータッチしたり、会話が生まれるようなジョークをとばしたり、ムードメーカー的存在です。
シリアスな話のときには「場が和らぐようにしてくれない?」と、私からお願いすることもあります。
ーー講師の皆さんの凄いと思うところを教えてください
繊細だからこそ、みんな人の気持ちに敏感で、人の気持ちを考えて行動できるところだったり、「将来のゴールは何?」と聞くと、みんな「家族のために安定した暮らしをさせてあげたい」と、経済的に苦労してきてる人たちも多いんですけど、みんな毎日を幸せに過ごそうとするエネルギーが凄いです。
みんなで歌ったり、冗談言って常に笑っていたり、逆境にいながらもみんな幸せそうで、自分の困難な状況にどう折り合いをつけて生きていったら良いかを知っている感じで、それが凄いなと思います。
ーー遠山さんは、一緒に活動する講師の皆さんにとってどの様な存在でいたいと思っていますか?
私は、みんながモチベーション高く、心地よく働ける様にしたいと思っていて、みんなを元気にするような“ひまわり”の様な存在でありたいと思っています。
また、みんなが道に迷いそうな時には導ける様に、私自身がみんなにとっての模範でありたいです。
ーーその為に意識していることは何かありますか?
はい、実は、自分の行いに対して私は改善点を言ってもらえることは嬉しいと感じるので、講師のみんなに対しても良かれと思って改善点を伝えていたのですがハレーションが起きてしまったことがあります。
それ以降、褒めた上で改善点も伝えるようにしたり、背景にある考えを丁寧に講師に伝えることを意識しています。
ーー嬉しかったことはありますか?
全員23歳以上で私より歳上なんですけど、講師のみんなが私を信頼して個人的な悩みを相談してくれたり、「ソメさん、ソメさん」と頼ってくれるようになったときは嬉しかったです。
あと私の仕事ぶりを見て「あなたは問題があっても次々に解決していって驚いた」と言ってくれたことです。
ーー頼られたり、信頼してくれるようになったキッカケは?
つらそうな人がいたら「大丈夫?」って声をかけたり、チャットで「何かあったらいつでも話聞くからね」といつもメッセージを発し続けたからだと思います。
ーーフィリピンに来て成長したなと思うところは?
これまでは自分に自信がなくて他の人の意見に流されてしまうところがあったんですけど、みんなが頼ってくれるようになって自信が持てたし、自分が旗振り役になってみんなを引っ張っていかなきゃと思うようになりました。
それに、主語が“みんな”になったことです。
これまでは「自分が成長するためには何をするのが最適なのか?」とかで頭がいっぱいになっていたけど、今は「みんなにどう動いてもらおうか?」「みんなが幸せになるにはどうしたら良いか?」と、“みんな”のことで頭がいっぱいになるようになったことです。
ーーフィリピンに来る前と比較して、何か自分の中での変化はありましたか?
日本にいるときは、どこか生き急いでいたと思うんですけど、それがなくなりました。
常にアクティブに自己成長のために時間を使っていないと焦りを感じてて、大企業に就職するのが正解だと思っていたところがあったけど、そうしなくても幸せでいられるし、心に余裕もできました。
あとは、置かれた困難な状況にどう対処するかを自分で考えたり、賢く豊かな暮らしができるように考えられるようになるには「教育」ってとても重要だなと強く思って、今後も「教育」に携わっていきたいと思うようになりました。
ーーフィリピンで活動する中で意義を感じたことはありますか?
はい、私自身が関わったプロジェクトではないのですが、2018年までカミギン島でe-Educationが支援していた「モバイル・オープン・ハイスクールプログラム」という経済的事情から働かなくてはならなかったり、病気の親の面倒を見るためだったり、早期出産など、様々な事情から学校を中退した子どもたちが、近くで学べて卒業資格の取得を目指せるプログラムを活用していた子から、e-Educationに「高校を卒業することができました」と喜びのメッセージが届いたんです。
その時は、とても感動しましたし、「今私たちがやっていることは、こうやって数年後に変化が見えてくるんだな〜」と、とても意義を感じたと同時に、教育の重要性もより感じました。
ーーe-Educationのインターンの魅力はどんなところですか?
過去のインターン経験でプロジェクトマネジメントは多少出来るようになったなと思っていたのですが、e-Educationのインターンでは、プロジェクトの裁量権も大きかったし、プロジェクトの推進以外に人にどうしたら快よく動いてもらえるか、人を巻き込むということにも挑戦できるところです。
ーー最後にe-Educationのインターン応募を検討している皆さんへメッセージをお願いします
e-Educationのインターンには、海外で一人で暮らす以上の価値があります。
私は現地に来てからあっという間に6ヶ月が過ぎ、何度も失敗し、壁にぶつかりました。
でも周りの講師たちが支えてくれて、“We’re always here to help you.” と言ってくれる人もいます。
e-Eeducationの職員の方も、私の未熟さから失敗したときには「いくら失敗しても、遠山さんが成長してくれれば良いと思ってるんだよね」と、インターンの成長に真剣に向き合ってくれ、本当に恵まれた環境だなと思いました。
数え切れないくらい色んな経験ができ、一つ一つから学びを得て、それが自分の宝物になっています。
インターン業務外でも、様々な人との出会いや出来事、毎日が新鮮で楽しいです!
きっとあなたの世界もぐんと広がるはずです。
少しでも興味を持った方は、ぜひ応募してみてください。
絶対に中身の濃い一年になります。一緒に活動できることを楽しみにしています!
e-Educationでは現在、遠山さんのようなインターン生を募集しています。
新たなe-Educationの一員として、「最高の教育を世界の果てまで」という私たちのミッションに向かって、私達と共に様々な活動に挑戦して頂きたいと考えています。
途上国の子どもたちに教育の機会を届けることを通して、彼らが夢や想いを実現することをサポートし、誇りを持って生きていける社会の実現に、一緒に挑みましょう。
熱い意思を持った方のご応募をお待ちしております!