鮮やかなオレンジ色の小さな箱。これは、オモチャではありません。
アフリカの貧しい地域の暮らしを活性化させる巨大なプラットフォームとなる「Lula」というものです。
この記事では、この小さな箱が、どのように彼らの生活を改善できるのかについてお伝えします。
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いつでも、どこでも、誰にでも
Lulaは、簡単に言えば、携帯電話料金のプリペイドをワンタッチで発行することができる機械です。南アフリカに拠点を置く社会的企業Nomanini社が開発しました。
インターネット接続環境がなく、銀行口座も持たない人々が、携帯電話を利用する手段は、プリペイド方式に限られます。つまり、事前に料金を支払い、スクラッチカードや発行された紙(バウチャー)に印刷されたパスワードを入力し、通話時間を確保するのです。
このLulaを購入したオーナーは、バウチャーを発行し、お客さんから料金を受け取ります。電源も不要で持ち運びが容易なため、時と場所を選ばず、誰にでも販売することができるのです。
たった3つのシンプル操作で利用可能
「電源を入れて、携帯電話会社とプリペイド料金を選び、印刷のボタンを押す」ーーこの3つの操作だけで利用できるというシンプルな設計なのです。
「Lula」に関するお金の流れ
- Lulaを買う(約200ドル)
- 銀行に現金を預ける(約700ドル/週)
- バウチャーを販売し、現金を受け取る(0.5〜5.5ドル/人)
- 売り上げに応じて、Nomanini社より手数料を受け取る→2に戻る
つまり、多数のお客さんに代わってあらかじめ現金を預けておいて、それを切り売りするというシステム。このサイクルを繰り返すだけのシンプルなシステムです。
すべては貧しい人々の暮らしのために
このようにシンプル操作で、利用可能なLulaですが、その開発意図についてNomanini社は、次のように考えています。
携帯電話へのアクセス向上こそが、「アフリカ経済ピラミッドの底辺」にいる人々の生活を向上させる。携帯電話でのコミュニケーションは経済取引を円滑にし、商業を活性化させるために不可欠である。
プリペイド式バウチャーが生み出すもの
Lulaは、プリペイドバウチャーの分配を効率化しました。
アフリカにおいて、プリペイドバウチャーは、街に点在する小さな商店で販売されていることが一般的でした。しかし、Lulaの登場により、人々はいつでも、どこでも「通話時間」を買えるようになりました。
南アフリカで一日に2000万人が利用するミニバスの中でさえも、バウチャーの販売ができるようになったのです。これによって、携帯電話へのアクセスは飛躍的に向上しました。
加えて、Lulaのオーナーを「携帯電話の通話時間」という巨大なマーケットの輪の中に巻き込み、金銭的な利益をもたらし、地域の経済的・人間的な交流を増加させました。
分配の非効率という問題を解決しただけではなく、人々に付加価値を提供したのです。
普遍的価値を持つプラットフォームがアフリカ大陸を変える
2015年には、アフリカ全体の携帯電話市場が、85億ドルまでに拡大すると言われています。
Lulaは、もはや単なる機械ではありません。人々のコミュニケーションや地域経済を活性化させるだけではなく、それに関わる者全てに利益をもたらす画期的なプラットフォームです。
Nomanini社は今年、南アフリカを飛び出し、アフリカ西部でも大手通信業者とのパートナーシップを実現しました。アフリカ大陸中が、元気なオレンジ色に染まる日は、そう遠くないかもしれません。
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