こんにちは!
トジョウエンジンを運営している特例認定NPO法人e-EducationPRインターンの原です。
連日熱中症に関するニュースを多く見聞きします。
こまめな水分補給を心掛けて、体調にはお気をつけてお過ごしください!
7月13日(土)、「『豊かな社会』を問い直す。~バングラデシュと繋がるWEB交流会~」が開催されました。
当日は学生・社会人全8名の方にご参加いただきました。
WEB交流会はe-Educationのイベントとしては初めての開催となりました。
バングラデシュ現地とビデオチャットで繋ぎ、e-Educationの卒業生に登場していただきました。
今回はイベント当日の様子をたっぷりとお届けします!
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WEB交流会当日の流れ
- 第一部:アイスブレイク、イベントの導入
- 第二部:e-Educationの紹介
- 第三部:バングラデシュについての紹介
- 第四部:バングラデシュと繋がるWEB交流
【第一部】アイスブレイク、イベントの導入
まずはアイスブレイクとして、参加者の方同士で自己紹介を行っていただきました。
その際、「当イベントに興味を持ったきっかけ」をシェアしていただきました。e-Eudcaionのイベントでは参加者同士の距離が近く、多様なバックグラウンドを持つ方々にご参加いただいているため、交流の輪を広げることもできます。
また今回のWeb交流会のテーマである「豊かさを問い直す」。
参加者の皆さん一人ひとりに、「あなたにとって幸せな時間・豊かさ感じる時間とはどんな時ですか?」という問いに対する回答を考えていただきました。
目まぐるしく過ぎていく毎日の中で、人生における自分にとっての豊かさや幸せについて考える時間は多くないと思います。今回のWeb交流会の前後で、自分にとっての幸せや豊かさについて、少しでも新たな発見があれば、と考えています。
【第二部】e-Educationの紹介
第二部では、広報担当の水溜よりe-Educationのこれまでの歩みをご紹介しました。
e-Educationが活動をスタートさせることになる2010年当時、アジア最貧国と言われてたバングラデシュでは4万人もの先生不足が深刻な課題となっていました。
首都のダッカには予備校街があり、良質な教育を受ける機会がある一方で、地方には家に電気がないため夜勉強する際、明かりを求めて街灯の下で勉強する子どもたちが。その姿を現地で目の当たりにしたe-Education代表の三輪。
首都ダッカの予備校街
暗闇で勉強する、地方の子どもたち
こうした「都会と地方の教育格差をなくしていきたい」という想いからe-Educationの活動が始まりました。
学生時代、映像授業でおなじみの「東進ハイスクール」で学び、アシスタントとして映像の制作・配信の仕事をサポートしていた三輪。この”映像授業”による学習スタイルは、先生が不足しているバングラデシュにおいても有効なのでは、と考え、東進ハイスクールをモデルとしたDVD授業を用いるに至りました。
そして活動を開始してから半年後、1名の学生がバングラデシュのNo.1国立大学であるダッカ大学に合格しました。このプロジェクトをしている村では、元来30年もの間、ダッカ大学の合格者が出ていませんでした。
難関国立大学合格者たち
9年間で250人以上が難関国立大学に進学を果たし、活動は順調に見えていました。
しかし2016年、衝撃的な事件が起こりました。
バングラデシュの首都、ダッカで発生したテロ事件です。犯人はなんと優秀な若者たちでした。現地にいた三輪は、
「これまで高校生の近くで背中を押してきた自分は、何もできなかったのか。自分がやってきたことは何だったのだろう。自分のせいだ。」
と考えました。
三輪は活動を休まざるを得ない状況になりました。
しかしながら、そうした状況下で力を与えてくれたのは現地の仲間たちでした。彼らのおかげで再び立ち上がることができ、バングラデシュを拠点に活動を再開しました。現地の大学生を相手にセミナーを開催し、1000人以上と対話をしてきました。
その中で、e-Educationの卒業生であるシャフィという一人の青年に出会いました。
e-Education卒業生・シャフィ
彼は現在大学院に通いながら週1回ほどe-Educationのコーチングセンターを訪れ、「自分たちも社会を変えることが出来る」というメッセージを、e-Educationの現役生徒たちに伝えてくれています。そして彼自身も、バングラデシュが抱える問題に立ち向かい、仲間とともに行動を起こしています。
そんなシャフィの姿をみた三輪は
「シャフィという希望を世界の果てまで届けたいー。」
と話しています。
今後もe-Educationは、学習コンテンツを届けるだけでなく「人を育てる組織」でありたいと考えています。
【第三部】バングラデシュについての紹介
第三部では、バングラデシュ担当職員の猪瀬より、バングラデシュの教育等に関する情報を共有しました。
首都ダッカ
バングラデシュは近年経済成長が著しく、首都のダッカでは、インターネットの普及により日常が便利になり、車を所有する人の増加で交通渋滞が目立つようになりました。
しかしひとたび農村部に目を向けると、
「そこは別世界」
と猪瀬は語りました。
農村部に暮らす人々
農村部の家庭のキッチン
首都ダッカとは似ても似つかない景色や生活様式。
昨今急成長をみせているバングラデシュですが、人口の7割は農村部に住んでいるといいます。
課題が山積みの農村部で生活する学生たちは、受験に対して不利な状況にあります。バングラデシュの大学受験では、大学入学試験のスコアだけでなく、SSC(中学課程修了試験)及びHSC(高校課程修了試験)のスコアも加味され、合計点で合否が決定します。
農村部の学生は、先生不足などにより中学・高校時に良質な教育を受けていない傾向にあります。さらに大学受験時には、予備校が近くになかったり、あったとしても多大なコストを要するために通うことができなかったりします。
上記のような背景から、バングラデシュでは都市部と農村部で教育格差が広がっています。
【第四部】バングラデシュと繋がるWEB交流会
最後に、今回のイベントのメインである、バングラデシュ現地と繋いでのWEB交流会を行いました。
今回の交流会を引き受けてくれたファリッドは農村部出身でe-Educationの卒業生です。国立ダッカ大学・大学院を卒業し、現在はe-Educationのバングラデシュ現地パ―トナーでもあるBacBonに勤めています。
e-Education卒業生・ファリッド
ファリッドのバックグラウンドが分かるような質問をe-Educationスタッフから投げかけ、その後参加者の皆さんからのご質問に答えていただきました。
まずはe-Educationスタッフからの質問とファリッドの回答を以下でご紹介します。
Q1.自己紹介をお願いします。
ダッカ大学及び大学院を卒業し、現在はBacBon(e-Educaionの現地パートナー)で働いています。
私には6人の兄弟姉妹がおり、父はビジネスマンとして竹や木材で建物を作る仕事に携わっています。母は14年前に亡くなりました。
Q2.e-Educationの生徒になる前の自身の状況を教えていただけますか?
中学校を卒業するまで、将来何をしたいかは特に考えていませんでした。当時はただ生き延びることに必死でした。
しかし高校時代は自分の将来について考えるようになりました。高校卒業後は縫製工場もしくは中東に出稼ぎに行くなどして家族を支える必要があったからです。
高校に入るまでは、ダッカ大学についてはよく知りませんでした。自分の地元や学校からダッカ大学に入学した例が無かったからです。しかし高校在学中に自分の兄がダッカ大学の入試を受けることになり、ダッカ大学に関する情報がいくらか入ってきました。そして、私自身もダッカ大学の入試を受ける決意をしました。
その後、ダッカ大学及び他の国立大学の入試について調べました。その中で2つの課題が出てきました。1つは学力不足、2つ目は予備校に通うためのコストに家計が対応できないことです。学力不足のためにも予備校に通わなければならない状況でしたが、ダッカにある予備校に通うのは多大なコストを要します。こうした状況に、私は失望していました。
Q3.e-Educationにはどのようにして出会ったのですか?
当時知り合いであったモハマドさんとお茶をする機会がありました。彼はe-Educationのマネージャーだったのです。彼に入試プランについて聞かれた際、自分の想いを全て打ち明けました。すると彼は、e-Educationの予備校へ通うよう提案してくれました。私はe-Educationの生徒になることを決めました。
当初、地方の予備校では満足な学びは得られないと考えていました。しかし実際にe-Educationの予備校に行ってみて、映像授業という新鮮さ、地方でも質の高い学びを無料で得られることに驚きました。
e-Educationの生徒として勉強し、ベストを尽くしましたが、ダッカ大学の入試は不合格でした。家計を支えるため、私は縫製工場で働くことになりました。
しかし4か月後、もう一度ダッカ大学受験に挑戦するため、再びe-Educationの予備校に通いました。
そうしてしばらく勉強を続け、見事ダッカ大学に合格しました。
Q4-1.ダッカ大学の学生時、どんなことをしていましたか?
大学時代は勉強だけでなく、社会貢献活動を多々していました。洪水被害にあった方々のための募金活動や、性的暴行・テロに対する抗議に何度も参加しました。さらに、ロヒンギャ難民キャンプへ何度か訪問しロヒンギャ難民の人々のサポートもしています。
Q4-2.大学時代、e-Educationとはどのような関わりがありましたか?
毎年、e-Educationの生徒たちのモチベーションを上げるためにe-Educationの予備校を尋ねていました。生徒が簡単には理解できない部分をベンガル語で教えたり、どうしたらダッカ大学や他の国立大学に入学するチャンスを掴むことが出来るかどうか、指導したりしていました。
Q4-3.なぜ上記のような活動を自分の地元でしようと思ったのですか?
一人の人間として、自分の社会に対して責任があると考えています。私が助けを必要としていた時、e-Educationをはじめ優しい人々がサポートしてくれました。だから私はこの地を選んだのです。
Q5.高い給料が出る一般企業もあった中で、何故BacBon(e-Educationの現地パートナー)への就職を選んだのですか?
自分たちの社会をより良くしていくためには、教育格差を無くし、より多くの人に教育を届ける必要があると考えています。BacBonはまさにその為に尽力をしている組織です。また、自分が助けを必要としているときに手を差し伸べてくれていたのがBacBonとe-Educationだったため、このような決断をしました。
Q6.もしe-Edcuationと出会っていなかったら、どうなっていたと考えますか?
縫製工場での仕事を続けるか、中東に出稼ぎに行っていたと思います。しかしそれは非常に恐ろしいことなんです。特に中東への出稼ぎに関しては、雇用主から暴力を受ける例が多発しています。女性であればレイプされることもあります。(ファリッドの感覚では)出稼ぎに行った8割もの人々が、お金も希望も失うと言われています。
続いて参加者の皆さんからの質問にも回答していただきました。
以下、その一部をご紹介します。
Q7.次のゴール・これから成し遂げたいことを教えてください。
今後も、手が必要な人々のために働いていきたいです。特に教育フィールドには強く興味があります。社会をより良い方向に変えていくためには、教育が必要だと、自身の経験を通じて実感しているため、教育をより多くの人に届けていきたいです。
Q8.実際に農村部の生活は、変わってきていると感じますか?(変わってきているのであれば)それはどのような変化ですか?
移動手段に関して、以前は徒歩・自転車が目立ちましたが、現在ではバス網が少しずつ発達してきて便利になっていると思います。劇的な変化ではなく、少しずつではありますが発展してきているのを感じています。
終わりに
今回初の試みとなった、バングラデシュとのWeb交流会。現地の方と参加者の方が言葉を交わす貴重なイベントとなり、e-Educationスタッフ一同にとっても印象深い時間でした。
e-Educationは今後、1人でも多くの学生に良質な学びを届けるためにさらなる挑戦を続けていきます。そのためには、皆さまの温かいご支援が必要不可欠です。
是非私たちとともに、途上国の子どもたちを応援しませんか?
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