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カンボジアは近年アンコールワットなど観光地として人気ですが、内戦、地雷、貧困というネガティブなイメージをお持ちの方も多いのではないのでしょうか。

「音楽を通して人々に豊かさを伝えたい」

そんな思いを持って、カンボジアで音楽活動されている日本人女性がいます。

8年前に単身カンボジアへ移住された浦田彩さんです。

4歳からピアノ教室に通い、当時からピアノの先生になりたかったそうです。

そんな彩さんにカンボジアとの出会い、現在の活動、夢を伺いました。

ピアノの先生になりたい

「女の子にはピアノを習わせたい」というお母さんの思いで、4歳からピアノを始めた彩さん。中学校の頃には何度も辞めたいと思ったことがあったものの、先生が怖く、それさえも言い出せなかったそうです。

本当に厳しい先生で、レッスンの最初と最後の挨拶しか話しませんでした(笑)そんな先生に、高校1年生の時に「音大に行きたい」と伝えたちところ、先生に「目指すにはもう遅い」と言われ、結局エレクトーンの専門学校へ進みました。そして専門学校を卒業して、一度メジャーデビューしたんですよね。だけど、やっぱり私は「ピアノの先生になりたい」という思いがありました

カンボジアの子供たちは音楽を知らない?

その後、カナダへ留学。音楽への思いは消えないまま「アフリカとカンボジアの子供に音楽を届けよう」という企画を見つけた事がきっかけで初めてカンボジアを訪れたことがきっかけとなったそうです。

子供たちの前でピアニカを演奏したのですが、タイやベトナムでは、みんな楽しそうに手拍子したり笑顔で喜んでくれるのに、子供たちは不思議そうな顔をして突っ立ってるんですよ。そして子供のお母さんが「それは仕事にならないから、かわりに日本語を教えてほしい」と言われました。それが私にとっては大きな衝撃でした

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農村部の小学校での授業。子供たちはみんな真剣です。

「私がカンボジアの音楽を奏でられるのは、この楽譜があるからなんだよ」と彩さん。

その後、単身でカンボジアに移住し、好きな音楽を演奏したいという思いからカンボジア人も参加する音楽バンド「MILO」を結成。

ピアノの先生として収入を得ながら、かつての内戦で消えた音楽をカンボジアに取り戻すために、JICAと共同で教員養成校での音楽のプログラム化、楽譜を見せるプロジェクトなど様々な活動をされています。

最初は日本人の駐在員の娘さんにピアノを教えてほしい、という依頼から始まりました。その後は皆さんの口コミで広まり、現在は日本語補習校、インターナショナルスクールの音楽教師もしています。「音楽も仕事として成り立つ。勉強だけじゃない。」ということをもっと伝えたいですね。また、音楽教育のカンボジアに基盤を作るために都会だけでなく田舎の小学校に出向いて音楽の授業をしています

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綺麗な音色を奏でるカンボジアの伝統楽器「クゥム」

チームワークの大切さを伝えたい

23歳で単身カンボジアへ移住し、最初は日本食レストランで働き始めた彩さん。そこでカンボジアの人たちは一個人として働き、チームプレーが出来ず、お店がまわらないと感じたそうです。

チームワークは主要4科目(国語、算数、理科、社会)では学びにくいと思うんです。みんなで何かするっていうことができない。授業の前に3分間みんなで歌を歌うっていうプロジェクトをやったのですが、モデル校で3か月間続けて最後にみんなで今まで練習してきたものを歌う発表会を企画したんです。すると先生は「○○が一番上手いから、一人で歌えばいいんじゃないか」って。つまりみんなで何かすること、チームワークを知らない先生方も多いんです

ARAPYIA | MILO from STUDIO ZARUSOVA on Vimeo.

音楽バンドMILOの「アラピヤ」プロモーションビデオ。カンボジアでは誰もが知っているような曲です!

音楽を通して豊かさを

音楽、美術、道徳といった子供の成長にとって重要な情操教育がまだまだ浸透していないカンボジア。

学校は2部制なので時間がない、また教えることのできる先生が少ないことが現状です。カンボジアの負の歴史を乗り越え、勉強ばかりが重視されています。

情操教育が特に大切だと思います。勉強ももちろん大切ですが、文化面で評価をしてあげたり、もう少し子供たちの逃げ場があってもいいと思うんですよね。わたしは音楽の活動をしているので、音楽を通してになりますが。日本だと思い出の曲とか、音楽で感動した経験ありますよね。音楽でストレス発散したりすると思うんですけど、そういうのもない。カンボジアの方々に音楽を通して豊かさを伝えたいです。
そして私が拠点にしているシェムリアップは日本の京都に似ていて、芸術の可能性を感じます。高層な建物をたててはいけないだとか、方言や洋服へのこだわりも強く、良くも悪くも自分たちの文化を大切にしてプライドがあるんです。これからもここを拠点に活動していきたいと思っています。
だけど、私ももう8年もいるので少しずつカンボジア人に引き継いでいこうと思っています。長い長い道のりですが、カンボジアの人たちに勉強や仕事だけの人生ではない、もっと色々な豊かさを感じてほしいです。

Sister Srey Cafe

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今回インタビューに使用したシェムリアップの中心オールドマーケットにほど近く、川沿いに立地する素敵なカフェです。

オーストラリア人女性が経営するこのカフェは、欧米人の観光客や在住者にも人気。「シェムリアップではここのコーヒーが美味しい」と彩さんもおっしゃっていました。

【カフェ詳細】
住所:200 pokambor St. Siem Reap, Siemreab-Otbar Meanchey, Cambodia
電話:+855-(0)97-723-8001

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