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皆さんこんにちは!ルワンダで都市部と農村部の教育格差を是正するために日々走り回っているe-Education Projectのドガです。

前回から、プロジェクトの話から少し離れ、僕がルワンダで活動したもう一つのストーリーをお話しています。中東・ガザのプロジェクトで、DELL社の社会起業家コンペに出場する、というスピンオフプロジェクトです。

今回は、ガザプロジェクトの詳細と、凝りに凝ったプロジェクト紹介ページの見せ方についてお話させて下さい。

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目指すは優勝!

e-Educationは、バングラデシュ、ヨルダン、ルワンダなど今までの軌跡で「DELL Social Innovation Challenge」の前回大会に挑戦し、ファイナリストになりました。しかし賞金はもらえず帰国。そして今回は、この大会の教育版「DELL Education Challenge」に、パレスチナ自治区のガザプロジェクトに特化して再チャレンジしました。

つまり、リベンジです。500組弱が応募し、第一審査を突破してセミファイナリストになれるのは、そこから20チームだけです。そしてファイナリストはここからさらに絞られ、5チームだけ。共同代表の税所篤快(アツさん)から化せられた任務は要するに、「優勝」だったのです。

「何でルワンダにいる僕がガザの・・・」

という思いもありましたが、元から勝負事(大会やコンペ)が好きで、さらに世界からトッププレーヤーが集まる大会で勝ちたい、という気持ちが勝りました。そして、中東のガザでのプロジェクトを実施しているチームは僕ら以外無かったので、最初からそれが大きな競争優位になると感じていました。

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ガザプロジェクトとは?

歴史的背景はここでは詳しく述べませんが、ガザは古くからパレスチナとイスラエルの間で頻繁に紛争が起きている地域です。コンペ当時、ガザはイスラエル軍から空爆を受けていた最中で、日中そのニュースが海外では流れていました。

その中でe-Educationが解決しようとする問題は、ガザにいる9万人の学習障害(LD)の子供たちへの正しい教育方法を教える先生を育成することです。

10×40キロメートルほどの土地に、140万人が住むガザ地区の周囲は壁(ベルリンの壁のようなもの)で覆われています。

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ここで主に活動している国際機関、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業期間)の支援の下、約30万の子供たちが小中学校で学んでいますが、そのうち約30%が「学習障害」を抱えていると言われています。ミサイルが上空を飛び交い、爆発音が聞こえるのは日常茶飯事。このような環境が子供たちにとっては大きなストレスとなっているのでしょう。この話を聞き、e-Educationは新たな一歩を踏み出しました。

壁に囲まれていて外に出られない空間でこそ、映像授業の真価が発揮できる

今までのe-Educationは、主にDVD授業を利用したメソッドで教育格差の是正を図っていました。しかし、今回は“先生のトレーニング”という試みに初めてチャレンジします。

先進国には、学習障害の専門家、学習障害の子供たちの教育をする先生がいます。途上国でも、同じ様に学習障害の認知度は高まってきています。しかしガザでの問題は、この肝心の学習障害の子供たちを教えることのできる先生がいない、ということです。

「だったら専門家を呼べばいいじゃないか」

前述した通り、ここ、ガザ周囲は壁で覆われており、国連関係者やジャーナリストも入るのが難しく、ガザの住民が外に出ることなど不可能です。

そこで、e-Educationガザプロジェクトでは、UNRWAと協力してビデオ会議システムを使い、ヨルダン大学の学習障害の専門家とガザの先生18人を衛星(スカイプ)で繋ぎ、授業を行ないました。

200キロメートル離れている両拠点(ヨルダン・ガザ)でしたが、それもこれで解決できます。

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ヨルダン大学のマヤダ先生(右)

参考:学習障害を抱える子どもたちを救え!パレスチナ・ガザ地区で教師向け授業に挑戦!

パッと見を重視

このように、ガザのセンシティブで難しい歴史上の問題や、先生・国連・e-Educationなど様々な関係者が出てくるプロジェクトを、一言で説明するのは困難でした。

第一審査は、全てプロジェクト紹介ページ(企画ページ)で決まり、このフォーマットは基本自由。ここでどれだけプロジェクトの詳細を簡潔に分かりやすく審査員に伝えることができるかを僕は最初に考えました。

その当時、僕は自分のブログにこんなことを書いていました。

第一審査は、数名の審査員が500弱のプロジェクトページに目を通し、約1週間でセミファイナリストを発表するらしい。応募プロジェクト一字一句読むはずが無い。重要なのはインパクト。僕たちのページを開いた瞬間「!」と思わせるような“ビジュアルインパクト”を最大限に出そう。

応募した500組弱のプロジェクト紹介ページは、全て文字だらけでした。

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皆さんが審査員だとしたら、これは何百ものプロジェクトがある中で読みたくありませんよね

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e-Educationのプロジェクトページの一部

実は、僕たちe-Educationの紹介ページは、フォントを使い分けたり、箇条書きを加えたりしただけでは無く、写真を使っているのです。

実はこれは、他のどのチームもやっていなかったことで(長文でプロジェクトの詳細が書かれていただけ)、見るからに飛び抜けていたページになったと思います。

こちらから、e-Education(e-Education for Gaza)とファイナリストプロジェクトのページを見比べてみて下さい。英語ですが、違いが一目瞭然です。

Simple is best

そして、僕が最重要視したのはシンプルさです。

やはり何百のプロジェクトページに目を通す審査官の視点から、長文だけで実際のプロジェクトの詳細が分からないようなチームは確実に落とされると思い、僕はプロジェクト紹介ページを大きく3つのサブタイトルで分けました。

  • Problem(問題)
  • Solution(解決策)
  • What’s next?(将来像)

ページ一番上の、まず初めに目がいくところは、e-Education for Gazaの説明として、

私たちは、ガザの先生に、学習障害の子供たちを教えるためのビデオトレーニングを、国連と恊働で提供します。ガザと外界の教育格差の壁(実際の壁とかけています)を壊します。

と掲示。

問題:ガザは壁によって他国との関係がシャットアウトされている言わば’’陸の孤島’’。閉鎖地区の影響の一つに、子供たちの学習障害が深刻で、30万の子供たちの約30%が学習障害を抱えている。しかし、彼ら彼女たちに教育する専門家・先生がいない。そして、壁のせいで先生の教育もできない。

解決策:e-Education。ヨルダン大学の学習障害スペシャリスト(マヤダ教授とムナ教授)を衛星を使ってビデオ会議システムで繋いだ。UNRWAと協力し、20時間のトレーニングを毎週2回に分けて20人のガザの先生に提供。

将来像:先生たちが新たに学んだスキルを実際に子供たちに現場で使う。20人の先生が、中東の学習障害の子供たちを教えるロールモデルとなる。20時間のビデオは収録されているため、これをUNRWAの’’5つの地域’’(ガザ・ヨルダン・レバノン・シリア・ヨルダン川西岸地区)で放映。

詳しくはe-Education for Gazaの紹介ページからどうぞ。

ここまでシンプルに、一度読んだだけでプロジェクトの概要が分かるページは他にありませんでした。

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ガザ側

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ヨルダン側

いざ、勝負のとき!

この紹介ページを、僕は3日で仕上げました。しかも、アツさんはその間渡航中だったため、コンタクトを一切とっていませんでした。

締め切り1時間前に、アツさんが(世界のどこかの)空港から僕に電話をかけてきました。

ドガ:「すいません!いろいろとこっちで研究して、アツさんがくれたものからかなり変えました!」

アツさん:「おー!僕が最初にあげた骨バージョンから随分進化したねぇ〜!(笑)」

ドガ:「これでまずはいきます!」

アツさん:「オケ!頼んだ!」

ここからセミファイナルに進めるのは約20組。正直、僕はかなり自信がありました。

セミファイナル進出なるか!?

その後のお話はまた来週させて下さい!
ありがとうございました。

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授業を受けたガザの先生たち


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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