photo credit: Jocelyn Kinghorn via photopin cc
建築界の賞として最も権威がある米プリツカー賞を、「紙の建築」で知られる坂茂さん(日本人建築家の受賞は2年連続7年目)が受賞されました。
過去20年間に起こったほぼ全ての大規模な自然災害の後に仮設住宅の建設を手掛け、ルワンダ虐殺や阪神・淡路大震災などでもご活躍されました。
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紙×建築×人道援助
民族紛争で約100日間に80万人の殺された1994のルワンダ虐殺では、紙の管を使った難民シェルターを試作。
翌年の阪神・淡路大震災では、ダンボールの筒を縦に整列させた仮設住宅「紙のログハウス」や、集会所として利用された「紙の協会」などを建てました。
その後も約20年にわたって災害に見舞われた世界各地を訪れ、”低コストでリサイクル可能な仮設住宅や被災者施設の建設”に尽力しました。昨年はニュージーランド地震のあったクライストチャーチに「紙の大聖堂」を完成させています。
ニュージーランド・クライストチャーチの「紙の大聖堂」
坂さんは、最も安価な材料である紙の筒、ビールの箱、貨物コンテナでさえも、調和と量、細部の仕上げを厳しく設計することで、統一性のあるデザインを創造できる資材になることを示してきました。
審査委員会は、以下のように評価。
社会の需要に応えて、良質な建築を創造しようとする(坂さんの)責任感と前向きな行動力は、こうした人道的な挑戦に対する彼の独創的なアプローチと併せて、称賛されるべきプロフェッショナルなものだ。
トム・プリツカー会長はこう語っています。
坂氏の人道的な取り組みは皆のお手本だ。彼はわれわれの世界をより良くした。
東日本大震災後には、宮城県・女川町でコンテナによる3階建ての仮設住宅なども実現し、「疲れを知らない建築家」と評されました。
斬新な素材と構造
紙やコンテナなどありふれた素材を創造的に活用する坂さんの作品。いくつかご紹介します。
インドの「紙のログハウス」
貨物用コンテナを利用した宮城県女川町の仮設住宅
阪神大震災の後に建設された、紙製ログハウスの仮設住宅
東日本大震災の後で、紙管を使った間仕切りが設けられた避難所
同上
ルワンダ虐殺後の、紙の管を使った難民シェルター
坂さんの代表建築の一つ、仏メッス市のポンピドーセンター
[NYT / 朝日新聞 / 時事ドットコム / WSJ / Pritzker]
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