2018年も既に1ヶ月が過ぎましたが、皆さんは新年に立てた今年の目標をハッキリ覚えていますか?
私はというと、年末年始をバングラデシュで過ごし、昨年半年に渡って取材いただいたNHKドキュメンタリーが先日放送されたこともあってか、ようやく新年を迎えられた気がします。
先日放送されたドキュメンタリー番組『明日世界が終わるとしても』の感想記事を先日公開しましたが、番組を通じて昨年の活動を改めて振り返ることができ、ようやく2018年の目標を整理することができました。
この記事では、今年2018年、私たちe-Educationが大切にしていきたいことをお伝えできればと思います。
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2017年はどんな1年だった?
2018年の目標をお伝えする前に、2017年がどんな1年だったかも少しだけ紹介させてください。
2017年は、e-Educationの代表として働き方や仕事の内容にも大きな変化があった年であり、ここではあえて私に深く関連した大きな出来事を3つに絞ってご紹介します。
バングラデシュを拠点に
昨年5月から私はバングラデシュを拠点に活動しています。詳しい経緯は、過去に書いた記事やプレゼン動画をご覧いただければと思いますが、端的に言えば「もう一度原点に立ち返る」ためにバングラデシュを中心に活動することを決めました。
当然、日本で受けていた講演会などの仕事は受けられず、他の国に行く機会も少なくなりましたが、それでも仲間のおかげで事業はどんどん成長し、仲間を信じて任せる大切さを学んだ年となりました。
大絶賛された感動のプレゼンテーション「e-Education」 (ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ) – YouTube
ロヒンギャ難民問題
ようやく生活や仕事が落ち着いて来た2017年8月末。ロヒンギャと呼ばれる人たちがミャンマーから逃亡してくる大事件が発生しました。わずか1ヶ月の間に40万人を超える難民がバングラデシュへ流れ込み、テロ事件直後と同様の混乱が起こってしまいました。
私たちe-Educationはミャンマーでも教育支援の活動をしており、どちらの国の立場に立ち、どう関わるのか非常に悩んだのですが、e-Educationの元生徒たちを含むバングラデシュの仲間たちに感化され、まずは食糧支援の活動を始めようと決めました。
ただ、ミャンマー側への配慮や団体のミッションとの整合性を考慮した結果、e-Educationの代表としての立場を使うべきではないと判断し、三輪個人として2度に渡ってクラウドファンディングに挑戦しました。
結果は2回とも目標金額を達成し、2万人を超える人たちに食糧支援をすることができましたが、0からプロジェクトを立ち上げる経験を久しぶりに思い出し、e-Educationの未来を考える上でも大切な時間となりました。
NHKの長期取材
そしてやはり去年一番記憶に残っているのが、NHKドキュメンタリーの取材でした。企画段階から放送日まで半年以上の時間をかけており、バングラデシュでも密着取材を受けました。
ここで一つ裏話をすると、『明日世界が終わるとしても』の取材にはシナリオというか番組のゴールが全く決められておらず、とにかく私の普段の仕事や生活に焦点を当てて下さいました。
正直に告白すると、嬉しかった反面、少し複雑な気持ちでした。私の仕事に取材いただく価値があるのか?そもそも私の仕事の価値って一体何なのか?今振り返ると、これまでの活動や今の仕事を何度も見つめ直す時間となりました。
そして最終的に「バングラデシュに戻って来て良かった」と心から思える、確かな手応えがありました。自分の仕事と徹底的に向き合う、そんな機会を作っていただいたNHKの皆様には本当に感謝しかありません。
2018年はどんな1年に?
このような紆余曲折があり、「進んだ」というより「戻って来た」という感覚に近かった2017年を終えて、2018年をどんな1年にしたいか改めて整理しました。
「笑顔・挑戦・責任」
それぞれの言葉にどんな意味を込めたのか、一つ一つご説明します。
笑顔
「笑顔を作ることから考えよう」
昨年はロヒンギャ難民支援をふくめ、仕事でもプライベートでも新しいプロジェクトをいくつも立ち上げた年でした。
関係者も多く、関係者同士でゴールが微妙に異なる中で、私が意識したことは最後にどんな笑顔が待っているのかを想像することでした。
これは現場に戻って来たからこそ考え抜くことができたのかもしれませんが、目の前にいる人をどうやって笑顔にするのか、そのためにできることを何でもやってみる、ダメでも違うやり方でまたトライしてみる、を繰り返しました。
今考えると贅沢な時間の使い方だった気がしますが、NGOで働くものとして原点に立ち返ることができた気がしました。
「笑顔のある方へ進もう。だいたい正しいから」
これは私が大学生の時、アジアを周遊していた時に出会った言葉なのですが、今ようやく意味がわかって来た気がします。
やるべきことが仕組み化され、できることが増えてくると、どうしても計画や成果に目が向いてしまいがちなのですが、壁にぶつかった時や迷った時ほど笑顔に立ち上げるべきだと改めて思いました。
そしてもう一つ。笑顔は連鎖します。
相手を笑顔にすると自分も笑え、自分の笑った顔を見て周りの人たちも笑顔になります。
NHKのドキュメンタリーをご覧になった方から「三輪さんの笑顔が良かった」と嬉しい感想を多くいただきましたが、それは目の前にいた人たちの笑顔のおかげであり、これからも笑顔を増やし、自分も最高に笑うことができる、そんな仕事を続けていきたいと思います。
挑戦
「We are Challenge Maker」
これは現地の仲間たちと半年かけて一緒に作った、バングラデシュチームの新しい理念(約束)です。
Chance Maker(チャンス・メイカー)やChange Maker(チェンジ・メイカー)は耳馴染みのある言葉かと思いますが、Challenge Maker(チャレンジ・メイカー)は中々聞いたことがないのではないでしょうか。
なぜ新しい理念を作ったのか?少しだけ経緯を説明すると、バングラデシュのチームは去年のはじめ10人強しかいなかったスタッフが約1年間で25人にまで増えました。また仕事の幅も一気に広がり、一体どこに向かっているのか、私たちは何者なのか、組織の柱が必要になりました。
そこでまず、抜群のマネジメントスキルを持つAminur(アミヌル)という仲間を現地HRマネージャーに抜擢し、彼や他経営陣と一緒に一人一人の仕事内容をチェックすると同時に、事業の棚卸しや各事業の成果も見直しました。
そしてたどり着いた結論がこちら。
「チャンスは年々増えている一方、チェンジは今だに生まれにくい。しかし、その間には必ず挑戦する人たち(チャレンジャー)がいて、彼らを全力で応援したい」
急速に成長するバングラデシュにおいて、初等教育の就学率は9割を超えるなど、機会(チャンス)の不平等は徐々に減りつつあります。他方、若者の就職先不足といった新しい課題が生まれ始め、個々人の良い変化(チェンジ)が生まれにく、社会への不安は高まっているように感じます。
しかし、です。テロ事件やロヒンギャ難民問題といった暗いニュースが続く中でも、希望を諦めず、明るい未来を作りたいと頑張っている人たちがいるのもまたバングラデシュです。
NHKドキュメンタリーに登場したシャフィやトゥシャといった大学生をはじめ、この国には難しい課題を解決しようと果敢に挑む挑戦者がたくさんおり、彼らを応援することをバングラデシュチームの新しい理念にしました。
当たり前のことな気もしますが、どんなに美しい計画があっても、それを実現するのは「人」の力であり、想定外のトラブルや壁にぶつかった時ほど、「挑戦する」力が問われます。
「世界の果てまで最高の授業を届ける」というミッションの実現のためには、どんな挑戦が必要なのか?生徒たちにとっての挑戦は?教える先生たちにとっての挑戦は?そして私たち自身にとっての挑戦は?
今年は「挑戦」についてしっかり考え抜きたいと思います。
責任
2017年12月23日。法人化3周年を記念した感謝祭のゲストとして、これまで協働いただいてきた企業の方々をご招待しました。団体初となる試みになります。
今、私たちe-Educationはより大きな社会的インパクトを出すために、日本の教育業界を牽引する様々な会社や組織の方々と協働しています。その多くが著名な会社であり、一緒に途上国で活動できることが嬉しくてたまりません。
ただ、一方で今まで以上に強い責任を感じています。ある会社は私たちの協働をキッカケに海外展開のための新しい部署を作っていただきました。また別の会社は私たちとの協働を事業改革の中心に定め、他数カ国に展開するための準備を進めてくださっています。
他にも、現在海外インターンとして活躍している多くの大学生はトビタテ!留学JAPANという制度を利用して毎月奨学金を頂きながら活動しています。奨学金を受け取っている学生にも責任があり、受け入れ先である組織としての責任もあります。
「笑顔」や「挑戦」も非常に大事ですが、そこにどんな「責任」があるのか。仕事の時のみならず、海外における普段の生活も含め、決して忘れてはならないと心に深く刻みました。
「責任がプロ意識を育む」
これは私がマザーハウスという会社でインターンをしていた時に教わった言葉ですが、大きな責任は自分も組織も成長させる起爆剤になります。今年はこの責任の重さを大事に、社会を変えるスピードをもっともっと上げていきます。
「笑顔・挑戦・責任」を実現するために
いかがでしたしょうか?
目標を決めるまでに随分時間をかけてしまいましたが、それでも今私たちが大切にしたいこと、大切にしなければいけないことを、納得するまでしっかり整理できました。
もちろん新年の目標を掲げただけでは意味がなく、これから一人一人意識して行動することが何より重要ですが、できることなら、この目標をぜひこの記事を読んでくださった皆さんと一緒に実現していきたいと思っています。
皆さんと一緒に笑い合う。そのために真摯に挑戦している姿を伝え合う。気が緩みそうになっていたら厳しく責任を問いただし合う。
少し他力本願な気もしますが、昨年日本を離れたことで、誰かを頼りながら一緒に前に進む方法を学びました。少し不安はありましたが、みんなへの感謝の気持ちが増し、チームとしての団結感や絆は強くなったと思います。
「最高の授業を、世界の果てまで届ける」を皆さんと一緒に実現していこうと思います。
それでは改めて、2018年もどうぞよろしくお願いします。
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