こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。
マニラのスラム街近くでニーズの種を見つけた経緯は、前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。
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撮影に協力してもらえませんか?
「ロレンゾ先生!!トライアル授業の撮影に協力してもらえませんか?」
マニラのゴミ山近くの高校でニーズのありそうな希望を感じた10分後。すぐに学校を出て、パヤタス高校を紹介してくれたケゾンサイエンス高校のロレンゾ先生にそんなメールを送っていました。
電話で確認したら早いものの、英語で通話することが苦手だった僕はそんなメールという手段を今日も使ったのでした。
本当にニーズがあるかを最終的に判断すべく、実施する予定のコンテンツを仮に作る必要がありました。今回のオファーはトライアル授業として実際に子どもたちに見せて、反応を見るためでした。
早くロレンゾ先生から連絡来ないかと、ずっと携帯をにぎりしめ、ドキドキとした高揚感というか不安というか。了解の返事を待っている時間、祈っても何にもならないということは分かっているのに、いてもたってもいられない状態でした。
移動中のバスの中でやるべきな他の仕事は手に着きませんでした。握りしめてた携帯が震えたのはその10分後でした。「俺でよかったら協力するよ!明後日はどう?」との返信がありました。
トライアル授業撮影がスタート!
初撮影は2日後に行われました。「こんにちは!フィリピン大学の入試で大事な三角関数の授業を始めます!」
そんな言葉から、はりつめた雰囲気の教室でビデオを前で先生は授業を開始しました。撮影序盤は何かトラブルが起きそうで、不安で不安で仕方なくて、カメラをつないだ三脚を動かす手は緊張でスムーズに動かすことが困難でした。
しかしながら撮影は無事順調に進みで、50分の撮影はあっという間に終了。その夜、慣れない編集の作業をやっていました。初めて使う「iMovie」の操作をグーグルで調べながら、一通り完成するのに5時間近く。いざ、プレイヤーで流してみるとなかなか動画がスムーズに流れませんでした。
どうなってるのか?日本にいる友人に質問したら「拡張子変えたらいいんだよ!」との回答。
“拡張子ってなんだよ!?”
中高での情報の授業は毎回自分のパソコンだけフリーズをするというくらい、パソコンが苦手な僕だったのでなかなか上手くいかない動画作業にイライラしていました。
日が昇りはじめた頃、試行錯誤しながら納得いく映像が完成したときには、「やり遂げた」という達成感がありました。
実際に学校でのトライアル授業の実施
5時間後、僕は生徒30人の前でプレゼンをしていました。DVD作成後、先生にトライアル授業を実施したいといったところ、その日に時間をもうけてくれていたのでした。
「みなさんこんにちは!今日は皆さんに大学受験対策のためのDVDを持ってきました!見て感想を教えて下さい!」
丸暗記した棒読みの英語で、自己紹介とDVD授業の説明をした僕は、早速パソコンにDVDを入れます。生徒たち喜んでくれるかな。そんな不安で落ち着かない。「大丈夫かな・・」
授業は無事スムーズに流れ出しました。初めて見る映像授業に、もの珍しさから好奇の目で釘付けになる生徒たち。全く笑わないし、じっと見ています。
「どんな気持ちでみているの気だろう?退屈なのかなあ・・」
文化が違うフィリピンの生徒たちの反応が表情からほとんど何も読み取れません。不安な時間は5分しかたっていないのに、とても長く感じました。
大きく変わった子どもたちの瞳
緊張した時間は1つの出来事で大きく変わりました。突然、1人の女の子が席を立ったのです。
すると後ろに置いていたバッグからノートを取り出し始めました。そして、再び着席し、板書をメモし始めたのです。
それにつられて全員がノートを取り出しました。そして必死に彼らも彼女に続いていきました。
パソコンの中の先生が答えを言うと、
「おお、当たった!正解した!!!」
みんな夢中に板書して、答えの度に歓声をあげていました。自分の作ったもので感動してくれている生徒達の姿、目を輝かせているその瞳を見たとき、なんとも言えない達成感を味わいました。
そして授業が終わった時、数人の生徒たちが「これ無料で見れるの?」と聞いてきました。「うん、そうだよ!」と言い返すと、その子はこう言ったのです。
「僕はフィリピン大学行きたくて、そのために予備校に通いたいと思っていたんだ。でもこの前家族にそのこと言ったら、お金がなくて無理っていわれたんだ。もしこの授業が受けれたら僕はとても幸せだよ!絶対やってよ!!」
この言葉にしびれました。この日に授業を見せた計60人は全員、映像授業を受けたいということをアンケートに答えていました。
マニラの若者に希望の灯火を
「三輪さん!僕、ここでやっていきますよ!」
Facebookでメッセージでマニラプロジェクトを日本から支えてくれている副代表の三輪にそんな旨を伝えていました。
どんな貧しい状況でも、可能性にチャレンジしたいと勉強をしている子たちがたくさんいる。
映像授業でフィリピン大学合格という夢を叶えるチャンスを提供したい。
貧富による教育格差の壁を壊し、マニラ中のスラムに住む若者の心に希望の灯りをともしたい。
ここで絶対やっていくんだ!そう、心に決めました。マニラプロジェクトの本当のスタートです!
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