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トジョウエンジン読者のみなさま、はじめまして!e-Educationバングラデシュで3つある教室のまとめ役として活動していますアリフ(Md. Arif Ullah Khan)と申します。

今日はみなさんに、バングラデシュの高校生が直面している問題についてお話したいと思います。

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ある高校生の進学に関する物語

タンビアは貧しい家庭に育ちました。お父さんは彼が13歳の時にこの世を去り、それ以来、お母さんが女手一つで7人の家族を支えてきました。長男であるタンビアは、非常に熱心に勉強。過去5年間、彼は学校に通いながら、日雇いの仕事をして家族を支え続けていました。

そんな彼に転機をもたらしたのは、HSC(Higher Secondary Certificateの略で、日本のセンター試験のようなもの)でした。高校を卒業するために受験した彼のHSCの得点がバングラデシュの難関大学も十分狙えるほどの結果だったのです。

しかし、彼の望みもむなしく、家族はタンビアの大学進学を望んではいませんでした。お母さんはタンビアの4人の幼い兄弟のためにも、少しでも早く働いて、家族を支えてほしいと思っていたのです。

家計は常にギリギリで、とてもタンビアを大学に進学させることはできませんでした。刻一刻と大学入学試験が迫る中で、家族の協力を得ることができない彼は途方に暮れていました。

厳格なイスラム教の家庭で育った高校生のサンジダは、バングラデシュの首都ダッカから3時間ほど船で下った町、チャンドプールに住んでいます。彼女は1人で外出することすら許されていません。

それでも彼女は大学に進学することを夢見ています。しかし、非常に競争の激しい大学の入学試験を突破するためには、ダッカまで行って大手の予備校で勉強することが欠かせません。

もちろん、そんなことをサンジダの家族が許すはずもありませんでした。

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e-Educationバングラデシュが果たす役割

これはバングラデシュの高校生が直面している困難の、ほんの一部でしかありません。私たちe-Educationバングラデシュは、そんな彼ら、彼女らの夢をかなえる手助けをしてきました。

私たちのプロジェクトは一切のお金を要求せず、すべて無料で授業を提供しています。また、私たちの教室は生徒たちの地元にあるため、わざわざダッカまで行かずとも家から十分に通うことができるのです。

このような利点があるからこそ、実際にタンビアとサンジダはe-Educationを通して大学を受験する許可を、家族から得ることができました。

私は数多くのサクセスストーリーを目にしてきました。しかし、それらはあくまでも私にとっては「どこかのだれか」の物語にすぎませんでした。今、私はe-Educationの設立者である税所篤快とマヒンがバングラデシュ全体を大きく変えようとする姿を目の当たりにしています。

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実際に生徒たちがe-Educationの教室で使っていたテキスト

グローバル世界におけるバングラデシュの現実

バングラデシュは発展途上国であり、まだまだ乗り越えなくてはいけない課題が山積している現状。同時に、多くの困難に直面している高校生がいます。

彼らは目があるのに夢を見ることができません。十分な才能があるのに、貧しいことを理由に大学進学について考えることすらできません。世界を舞台に活躍することができる可能性を秘めているにもかかわらず、家族を養うだけでその一生を終えてしまうことになるかもしれない、数多くの天才たちがいます。

IT技術の発達により、グローバル化の「うねり」はますます大きくなっています。しかし、バングラデシュの田舎に住む貧しい人々は、世界からますます取り残される一方。田舎に住む高校生は、自分の村以外のことを何一つ知りません。彼らがどれほど時代から取り残されていることか!

信じられないでしょうが、彼らの多くは自分の国についてすらほとんど何も知らないのです。彼らの多くは食べることだけが生きることだと思っています。

そんな彼らに大学進学の重要性を説明することは、困難を極めます。このような状況の中でe-Educationバングラデシュは大学進学の重要性を説く地道な努力を重ねてきました。

そして今、チャンドプールに住む多くの高校生とその保護者は高等教育の重要性についてだんだんと理解してきています。もし、貧しい家庭に育った子どもが大学で勉強する機会を得ることができれば、彼の次の世代は、ひいては彼の故郷は、大きく改善されるでしょう。

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夢をかなえる場所「e-Education」

「HSCが終わったら、僕は大学受験をして、ダッカ大学(日本で言う東京大学)で会計の勉強をしたいと思っていました。世界を代表するようなビジネスリーダーになることが僕の夢でした。」

サイカットは一息にそう言いました。彼は今、チッタゴン大学(日本で言えば京都大学のような大学)で会計の勉強をしています。

5人兄弟の末子で、一番上のお姉さんはすでに結婚していました。3人の兄弟は大学で勉強しています。お父さんは出稼ぎのためにサウジアラビアに行っていました。その時、すべては順調でした。

何よりも彼は成績優秀で、ダッカ大学に合格する自信があったのです。誰の目にもサイカットの大学進学には、何も問題ないように見えました。

しかし、すべての夢は打ち砕かれてしまいました。彼のお父さんがHSCの直前にサウジアラビアからバングラデシュへと強制送還されてしまったのです。家族を支えるためには、どうしても、もう一人働き手が必要でした。

「家族はみんな、僕の将来を心配していましたが、僕はHSCが終わったら大学には行かず、家族を支えるために働き始めようと決意しました。家には僕が予備校に通うだけの余裕は全くなかったので、ほかに選択肢はありませんでした。」と、サイカットはその頃のことを思い出しながらそう言いました。

そんな彼がe-Educationという無料の予備校の噂を聞きつけたのは、ちょうどこの時でした。彼はすぐに参加することを決意し、非常に熱心にDVDで行われるその授業を受講しました。そしてついに、20倍を超える競争を勝ち抜きチッタゴン大学への切符を手に入れたのでした。

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手紙の最後に

サンジダや、タンビア、サイカットのように数百人もの高校生が、e-Educationを通して「夢」を実現してきました。私は、夢を見る人こそ人生の勝者であると信じています。バングラデシュの片田舎に住む高校性が、今や世界のリーダーになることを夢見ています。

私たちは、バングラデシュに住む高校生が直面する障害を、取り除くことができます。私たちにはこの国をより住みやすくすることができるという確信と、そうしなくてはならないという責任があるのです。

(訳:北川修平)


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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