インターネット。
それは、我々の生活でまさに生活必需品となっており、途上国でも利用者が激増しています。同時に、インターネットにアクセスできるか、できないかによって、人々の生活は大きく変わってくることも事実です。
しかしながら、世界中の約3分の2の人がインターネットにアクセスできない環境に置かれています。この問題を解決するために登場した、画期的でクレイジーなアイデアを2つ、以前トジョウエンジンでも紹介しました。
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先日、ウェブの仕組みである”World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ)”を作り上げたティム・バーナーズ=リー氏を先頭に、途上国でインターネットをより低価格で提供するための国際的な同盟「Alliance for Affordable Internet (A4AI)」が立ち上げられたので紹介します。
全業界から最高のリソースを提供
これまでの似たプロジェクトは、グーグルやフェイスブックなど、IT系の企業や団体によって進められてきたものでした。
しかし今回、世界的にインターネットのコストを下げ、途上国でのアクセシビリティに貢献するために、グーグル、フェイスブックはもちろんのこと、インテル、マイクロソフト、さらには世界最大のコンピュータネットワーク開発会社シスコ、ヤフーなど、普段はライバル同士の企業が、このプロジェクトでは途上国のために手を組みます。
さらには、米国国際開発局(USAID)、英国国際開発省(DFID)、イーベイ創始者のピエール・オミダイアが夫婦で設立したオミダイア・ネットワーク、グラミン財団、フォード財団など、開発業界から財団まで、幅広い分野で国際協力事業を行なっている機関も加入しました。
民間、公共、NPOセクター全てが協働する。これも全て、ティム・バーナーズ=リー氏の発明(ワールドワイドウェブ)なしには実現していなかったことでしょう。
バーナーズ氏は次のように言っています。
例えば、アフリカのモザンビークでは、たった1GBのデータを使うコストが、彼ら彼女たちの2ヶ月分の給料に相当するんだ。
インターネットなしの生活は考えられない
「A4AI」は、オープンで、革新的で、画期的なブロードバンドマーケットのための同盟です。最大の目標は「インターネット利用料を、国連のターゲットである月給の5%以下にすること」です。
イギリスのグリーニング国際開発大臣は言います。
過去20年間で、ウェブは私たちの社会を激変させ、今ではインターネット無しの生活が考えられないほどになってきました。インターネットアクセスは、経済成長の原動力となっています。それは人々に力を与え、社会をより開放的なものにする力も持っています。
情報格差の解消を目指す
創始者のバーナーズ氏は言います。
高価格のインターネットアクセスの結果は、単純に情報格差(デジタルデバイド)を広げることに繋がり、ヘルス・教育・科学など、重要な分野での進展を遅らせます。
先進国のインターネットを安価で使える者だけが、毎日新たな情報をタダで知ることができ、タダで学べ、タダでビジネスも始められる。
その一方でインターネットアクセスが程遠い多くの途上国の人たちは、この流れについていくどころか、その差は広がっていくだけです(デジタルデバイド)。
さらにバーバーズ氏は続けます。
安価のスマートフォン、新しい海底ケーブル、インフラ設備、そして無線LANの拡大さえ行なわれれば、情報格差がこれ以上続く理由がありません。
途上国では、31%の人口しかインターネットにアクセスできておらず、先進国の77%の半分以下です。アフリカを例にとると、16%の人口しかアクセスできず、これはアジアのインターネット浸透率の半分に過ぎません。
すでに動き始めている「A4AI」
2013年10月初旬にナイジェリアで創設されたばかりですが、今年の終わりには3〜4ヵ国でプロジェクトを進める計画。さらに、2015年末までには、12ヶ国にスケールを広げる予定とのこと。具体的にどのようにインターネットコストを削減していくかのプランも公表しています。
インターネットを作り上げてきたバーナーズ氏のもとに集まった、IT・開発・途上国業界のプロフェッショナルたち。途上国の未来がさらに明るくなってきたような気がします。
[A4AI]
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