世界を変えるかもしれない!? ビル・ゲイツ氏が考えた夢のプロダクトをWIRED誌が実現

photo credit: World Economic Forum photopin cc

マイクロソフト社の会長で、ゲイツ財団の共同創業者でもあるビル・ゲイツ氏。

革新的なワクチン保管装置を支援したり、次世代コンドームの開発のために10万ドルの支援をするなど、ゲイツ財団の”アウト・オブ・ボックス”な途上国開発のやり方は、各界から注目を浴びています。

そんな中、ゲイツ氏が望むアイデアを可視化させた4つプロダクトのプロトタイプを、米WIRED誌が製品会社と提携して実際に作ってしまいましたので紹介します。

1. Juice Box

チャレンジ

どこへでも携帯することができ、どんな電気機器も充電できる装置を作ること。

解決策

10ワットで、いつでもあなたの携帯電話、タブレット、冷蔵庫、電気スタンドなどを動かすことができます。

これを世界の12億人の貧困層の人たちに届けるために生まれたのが、Juice Boxです。Juice Boxは、風車や水力など全てを、バッテリーに変換させることができます。

ランタンだって付いています！

なぜ今はまだ存在しないのか

似たデバイスの製造者たちは、広範囲にわたる適用性ではなく、一つの地域や一つの機器の充電に特化して開発していたから。

特徴

簡単に充電できる：この携帯発電機は、どんな種類の機械のエネルギーソースもバッテリー充電に変えることができます。

ベルト・ドライブを風車、またはマイクロダムに引っかけ、発電機の踏み板のまわりでそのベルトを輪で囲み、回して電気を作り出します。

フレキシブル：インドから西アフリカまで、エネルギー源は大雨や強風からでも問題ありません。

モジュラー・デザイン（分割設計）：ただ個人で使う充電器ではありません。ラオスの農村では、Juice Boxのランタンとモバイルバッテリーを使って村民はビジネスを始め、この装置が生活の基盤になりつつあるそうです。

シンプルな使い方：デザイナーの人たちは、無駄な説明書無しにプロダクトの使い方を理解して欲しいと願っていました。回線は安全のために色分けされており、単純な図解が入っています。

Juice Box from Artefact on Vimeo.

2. Yield

チャレンジ

農民たちのために、リアルタイムに収穫情報を提供してくれるくわを作ること。

解決策

携帯電話など繊細なものは、農業のような厳しい環境には耐えられません。そこでNew Deal Design社は、既存のくわ、杖、そしてAK-47（機関銃）からアイデア得ました。

金属と木のマッチングは驚くほど耐久性があり、センサー付きの、セルラー式ヘッドと持ち手が付いた、新しいくわを開発しました。

なぜ今はまだ存在しないのか

今はセンサーはありますが、農民のための情報を収集するプラットフォームはありません。

特徴

二重目的：木製のスティックは、携帯電話などより農民の人たちは馴染みがあり、持ちやすくなっています。

実験室付きスティック：特に小作人にとっては、気候・土壌条件・市場価格などが関わってくるため、種を蒔くことが一つのギャンブルとなっています。

Yieldの金属部分にはセンサーが付いており、これで湿気・栄養分：pHレベルなどを測ることができます。地面に刺す事で、これらを起動させます。

農民のためのSiri：さらに農民は、マイクロフォンに向かって喋ることができ、何でも質問することができます。カメラなどで、土壌の状況などを共有してアドバイスを受けることも可能です。

スマートフォンに接続：Yieldと携帯アプリは連動されており、これにより収獲過剰などのミスを防ぎ、市場価格も常時知らせてくれます。

3. Healthy Baby Kit

チャレンジ

新生児を健康にしておくための、道具セットを作成すること。

解決策

発展途上国では、新生児死亡数の半分は、生まれてから24時間以内です。

Frog社は、この原因が、低い出生体重から、低体温によるものだと考え、これらを解決するには適切な処置が出生前と後に必要なことが分かりました。

このキットは、妊娠中から出生後までをサポートします。

Photo: Public Interest Design

なぜ今はまだ存在しないのか

このようなシステムは、複雑な調整と長い微調整期間を必要とするから。

特徴

ビジュアルサポート：途上国での妊婦の読み書きができないことを考慮し、Frog社を図解を用いました。例えば、色が黒くなると、出産予定日を過ぎている、などど分かります。

既に整備されたキット：布のバッグ（キット）の中には、十分なビタミン・プロテイン剤13週間分が入っています。

さらに、地元の病院行きのバスのチケットも入っており、医者はこのバッグの中身を定期的に補充してくれる仕組みとなっています。

SMS搭載：薬のパック一つ一つにSMS（ショートメッセージサービス）番号が掲載されており、妊婦は医者に質問を聞く事ができます。

ステップバイステップ：妊婦が第三半期を開始するとき、彼女はシステムのもう半分を受けとります。中身は、母乳を改善する分娩必需品や補助食品などです。

4. Kernel

チャレンジ

クラウド・ベースの健康管理を提供する、診察用道具を作製すること。

解決策

多くの地域では、最も近い診療所・病院へは、徒歩で数日かかり、予防治療を不可能にします。Kernel（ブルートゥースに接続した診断機）は、その問題を解決します。

それは、医療テストにより、遠くの医者に患者の状況を瞬時に知らせます。そして、患者自身、自らの状態をモニタリングすることができます。

なぜ今はまだ存在しないのか

このためのセンサーは高価で、着用するには十分な強さがないから。

特徴

科学：コンパクトなKernelは、ディスクをスライドさせると、小さな用箋が出てきます。これは4つに分かれており、赤は血、黄色は尿、青は唾液、そして緑は息、となっています。この用箋で患者のサンプルをとり、ブルートゥースを通じて携帯アプリに転送されるというもの。

クラウド：収集されたデータは、クラウド上にアップロードされます。看護婦と医者は、これらの患者情報から、治療スケジュールを予想することができます。

メンテナンス必要なし：これらの用箋をしまうために、またスライドさせると、自動的に用箋の表面が清掃される仕組みとなっています。
Kernelは、2週間に一回充電するだけで十分です。

ゲイツ財団と恊働で実現可能に！

いかがでしたか？

やはり、ゲイツ氏のこととあって、まさに”アウト・オブ・ボックス”なプロダクトばかりだったと思います。

これらが、いつ完成するかは定かではありません。しかし、今回WIREDがやってみせたように、デザインを具体化させ、実際に作成してみることで、夢へ一歩近づけたような気もします。

[WIRED]