2013年、一気に聞かれることの多くなったワードの一つに「ソーシャルグッド」があります。直訳すると、社会貢献を促進するサービスやその活動・フィランソロピー事業の総称になります。
昨年9月にはUNDP(国連開発計画)主催の「ソーシャルグッド・サミット2013」が開催され、「ソーシャルグッド」は注目されています。
この記事では、主に社会問題を事業で解決する社会起業家は知っていて損はない「2014年のソーシャルグッドトレンド」を7つ紹介します。
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1. 商業
貧困撲滅という大きなゴールに向けて、「ビジネス」という方法は徐々に世間でも知られるようになってきました。
消費者と連動して、NPO団体や社会企業のファンドレイズ、公平な雇用、生活水準の向上などを目指す手法もまれではありません。
「エシカル」なプロダクトやサービスを提供している企業も数多く存在します。これを通じて平等な給料、オーガニック食材、リサイクル製品、厚生な労働環境、サプライチェーンの可視化などを図ります。
ひとつ買うと、途上国の誰かに、もうひとつ! 「One for One」モデルで、販売と社会貢献を同時進行させているソーシャルブランドもたくさんあります。
「Globescan」のレポートによると、世界中の25億の人々は「上昇志向の消費者」言われています。この消費者たちの78%は単にショッピングを愛す者、92%は責任ある消費、そして58%は購入元(ブランド)の社会への還元(貢献)を気にしているそうです。
エシカル商品への関心は日に日に強まってきており、これまで一般的だった「援助」から「商売・ビジネス」を通じた社会貢献モデルが注目されています。
持続可能に社会へインパクトを与え続けるために、社会起業家たちは創造的に社会問題解決に取り組んでいます。
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2. クラウドファンディング
社会起業家たちがスタートアップ資金を得る方法も、選択肢が広がりました。クラウドファンディングはその代名詞と言えるでしょう。
特に2013年は、KickstarterやIndiegogoなどのクラウドファンディングサイトでソーシャルグッドを紹介し、資金を募るケースが多く見られました。
社会起業家が集まる「Hub」のニュージーランド・オークランド支部オープンのために、Kickstarterでは約15万ドル(約1600万円)が集められました。
メディアやヘルスケアに特化されたクラウドファンディングサイトなども登場してきており、このトレンドは今年さらに熱くなること間違いなしでしょう。
3. データ
小さいものから「ビッグデータ」まで、ソーシャルグッド業界では全てが重要視され始めています。
団体レベルだと、起業家たちは自らの事業に必要なデータを集め続けています。データを常に解析し、最大限のソーシャルインパクトと利益を出すことを目指しています。
Google Analytics、Facebook insights、Buffer、Tweet deck、Mixpanelなど、多くのツールが一団体や企業のマーケティングを支え、最終的に当事者に対するインパクトに反映させています。
昨年は、データを使ったスタートアップSumAllが、グローバル問題をデータで解決する事業を立ち上げました。GoogleはPalantirとの提携を発表し、ビッグデータを駆使して人身売買の数を減らすプロジェクトも開始しました。
さらに、オバマ大統領選挙の解析チームは「Edgleflip」を立ち上げ、NPO団体がビッグデータを使ってより効率的にウェブキャンペーンを行なうサポートをしています。
しかし、社会貢献のフィールドでのデータ活用はまだ始まったばかりで、今後ははさらなるリソースとナレッジが入り込んでくることが期待されます。
4. 透明性
援助金がどれだけちゃんと途上国政府の汚職・賄賂などに貢献せず、オープンに使われているかどうかをはかる指標、透明性。近年では、「透明度100%」が起業家の中でのプチブームになっています。
世界中の水問題に対してクリエイティブなアプローチで挑んでいるNPO「charity: water」は、寄付金1ドルがどのように現場で当事者のために使われているかを全てオープンに公開しています。
5ドルから寄付でき、100%が当事者の元へ届くヘルス系クラウドファンディングサイトWatsiでは、会計報告を全てGoogleドキュメントで公開しています。
同じくヘルスケアに特化した「Samahope」では、モバイル送金サービスM-Pesaを通じて、手数料ゼロで寄付金が直接当事者の元へ届けられます。
さらに、世界最大のマイクロファイナンスサイトKivaも、自社の「Kiva Zip」を利用して、支援金が直接送金されるシステムととなっています。
インターネットと携帯電話の普及率が上がり、今後はこの手数料ゼロシステムが当たり前となってくるでしょう。
5. ハッカソン
「ソーシャルグッド・コミュニティ」と呼ばれるプラットフォームでは、様々な分野で開発者たちが’一社会貢献’として作業しています。
小さい規模のNYC Big AppsやHackforChangeから、食べ物、環境、ヘルス、教育など多くのカテゴリー別に開催されています。
フェイスブックとゲイツ財団は恊働で、大学のドロップアウト率を下げるためのアプリ開発のために150人ほどをフェイスブック社の本部に集めて「HackEd」を開催しました。
他にも、30ヵ国以上で開かれているRandom Hacks of Kindness、シンガポールでの貧困問題解決のためのUnder the Hoodなどがあります。
「Hackathon for Social Good」では、世界中で定期的にNPO団体のためのウェブ・モバイルアプリハッカソンを開催しています。
HackEd
6. ビジュアル
オンライン上での「ビジュアルマーケティング」は、現在のソーシャルグッドトレンドを語る上では欠かせません。
モバイル端末・質の高い携帯カメラ・アプリが普及すると同時に、クオリティの高い写真を使ったビジュアルコンテンツは、ウェブ上でとても重要な役割を担っていると言えます。
フェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も、人々が以前よりも敏感にビジュアルコンテンツに目を引かれるようになった理由の一つです。
7. デザイン
デザインは、テクノロジーの消費業界で特に重要視され始めてきました。その流れで、ソーシャルグッドに対するデザインの再思考も始まりました。
社会起業家も一般商品と同じようにデザインが消費者の購買判断を大きく左右する時代となってきています。元フェイスブック社のトップデザイナーは、Designer Fundを創設し、デザインで社会起業する人々を支援しているのです。
「良いデザイン」は、ビジュアルマーケティングに繋がっていき、ソーシャルインパクトを拡散させていくことができるでしょう。
以上、7つのトレンド、いかかでしたか?
こう見返してみると、やはり消費者と当事者により近づいた社会問題の解決策が必要となってくることでしょう。
2014年も、たくさんの人が社会と共存して様々な問題が解決されることに期待します。
[TrendReports/Dutiee/Brand Driven Digital]
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