Kim Il Sung Square

Photo:David Guttenfelder

朝鮮中央通信は、平壌(ピョンヤン)観光大学が開設されたと報じた(東亜日報より)

5日、朝鮮中央通信から以上のような発表がありました。国を挙げて観光産業の活性化に取組む姿勢が伺えます。

北朝鮮旅行の正当性については、何年も前から議論がなされていますが、この記事では脱北者の意見を交えながら、主な議論を整理してみたいと思います。

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単なる北朝鮮政府への資金提供?

観光によって得られた外貨は、大抵は市民には還元されず、核や、ミサイル開発の資金源になっているという指摘があります。観光産業の繁栄が政権を後押しすることにつながると懸念されています。

相互理解を促す?

一方で、北朝鮮旅行の正当性を主張する側は、観光によって、対立する欧米諸国との個人レベルでの相互理解を促し、政権が主導する欧米諸国懐疑的なプロバガンダを改善することができるという見方をもっています。

また、現政権に疑問を抱かせ、さらに言えば、潜在的な国家転覆効果になりうるといった、ソフトパワー的側面を主張する立場もあります。

数人の脱北者へのインタビューによると、旅行者に移動の自由があるのなら、観光は個人レベルでの相互理解を促すと考えているようです。

注目される「外貨取得」と「国内統制」のバランス

しかし実際は、政府の規制によりお決まりのルートを観光することしか許されておらず、市民との直接的なやりとりを期待することはできません。

また、ガイドは政府の厳しい監視下に置かれているため、観光客が聞いたことを素直に答えてくれるとは限りません。北朝鮮政府のプロバガンダが働いているため、旅行者に偏った認識を植え付けてしまうという懸念があります。

とはいえ、北朝鮮の人々は、旅行者のファッションや、態度には目を触れています。特に観光客が顔を合わせるのは、国をリードするエリート層。なにかしらの影響を与えている可能性は、十分にありえます。

北朝鮮政府は、今後「外貨取得」と「国内統制」のバランスをいかにとっていくのでしょうか?また、観光は、北朝鮮を取り巻く問題への解決の糸口になりえるのでしょうか?

[The Guardian]


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