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みなさん、こんにちは!e-Education Project マニラ担当の磯部です。

以前、トジョウエンジンにてウェブとフリーペーパーでフィリピン滞在中の日本人を対象とした情報発信を行っている「プライマー」の藤田さんにお話を伺いました。

今回の記事では、新興国の若者に未来につながるキャリアの提供を目指して、フィリピンにて日本人対象の語学学校の運営と語学教師の人材育成に取り組んでいる「NPO法人Palette(パレット)」の代表である倉辻悠平さんと西村知晃さんにインタビューを行いました。

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ーー「Palette」とはどのような団体でしょうか?

理不尽な環境下にある人でも、自分の「真価」を問うことのできる世界の実現を目指しフィリピンで活動をしています。

人は誰でもその人にしかない「個性」や「可能性」を持っていますよね。しかし、日本を含め世界にはそれに挑戦できる機会や発揮できる環境に恵まれず、諦めざる得ない人たちがたくさんいるのです。

私たちは、Paletteを通してそのような問題の解決をし、より多くの人が自分の価値を見いだせる世界の実現を目指しています。

主な事業は、日本人を対象とした英語語学学校の運営と、人材育成事業です。独自の人材育成プログラムを作り、現地の貧困層の若者に英語教師になるための研修を実施し、安定な仕事を得る機会を提供できるよう工夫しています。

ーー事業を始めたきっかけを教えてください

倉辻:学生時代にフィリピンの貧困問題に取り組むNGOで活動をしていた仲間とともに、将来社会企業をしようと決めたのがそもそもの始まりです。4年間の社会人経験で学んだことを活かし、西村と一緒に事業を始めることを決めました。

西村:僕も倉辻と同じNGOで活動をしていたのですが、フィリピンの貧困を目の当たりにし「誰もが自分の可能性を拡げる機会の創出とそれらに挑戦できる社会を実現したい」と考えていたのです。

紆余曲折ありましたが、構想から5年経った2014年1月、同じ想いを持った倉辻と事業を開始することができました。

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学生時代のNGO活動での一枚(倉辻さん)

ーーなぜ、語学学校と人材育成という事業を選んだのでしょうか?

倉辻:この2つの事業を選んだのは3つの理由があります。

まずフィリピンで事業を始める前、フィリピンのターラックにある語学学校に、西村と2人で語学学校に4ヶ月通いました。

その学校では僕たちと同じような生徒さんが150人くらい。そして英語講師も150人くらいいました。その様子を来て語学学校の集客力に驚き、ビジネスの可能性を実感したんです。

また、語学学校が建つと、外国人が訪れお金を落としてくれるのでその地域の産業も発展します。このように大きな影響力を与えることのできる語学学校の運営に魅力を感じましたね。

2つ目は単純なのですが、その語学学校でスピーチコンテストがあって、そこで「語学学校を作る」と言ったらすごく評判が良かった。それで気を良くしたのも理由の一つです(笑)

そして3つ目ですが、そもそも僕たちがフィリピンでやりたかったのは雇用を生み出すこと、現地の人が自分たちで解決できる仕組みを作りたいということでした。

自分たちで解決するためには、自立しなければいけません。自立といえば、経済的な自立、つまり仕事を持つこと。でもそれだけではなく、未来につながるキャリアを作りたかった。

例えば、高いお給料を貰ってゴミ拾いで生活するのもたしかに良いかもしれません。でもそれが本当にその人がやりたいことなのか、5年、10年経って次のステップに繋がるのか。

僕たちは、彼らが本当にやりたい仕事をそして未来につなげることができるように、しっかりとフォローできる事業をしたいと思い、まずビジネスに可能性があり、フィリピン人の得意な英語を活かした語学学校事業と語学学校での英語教師を育成する事業に取り組むことを決めました。

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学生時代のNGO活動での一枚(西村さん)

ーー会社を辞めること、新たな挑戦をすることに抵抗はなかったですか?

西村:会社をやめることには抵抗はなかったです。自分たちがやりたいと言って決めたことなので、もうこれしかなかったですね(笑)

でもやっぱり、大変だなと思うことや事業の失敗も成功も自分たち次第なので不安になることもあります。

また現地の若者との関係作りも簡単ではありません。貧困層の子たちは褒められたことがあまりないため、自分に自信がなく、怒ってしまったり褒めすぎてしまうとかえってマイナスになってしまうことがあります。

意思疎通が上手くできていなかったり、何かで衝突したときは、何でそれがあかんのかイメージしやすいように絵を描いたり、わかりやすいように伝えています。

あとは日本人からの視点で物事を考えたり、フィリピン人目線から物事を考えたりとしている過程で、相手嫌な気持ちにさせてしまったときも辛いですね。日々、試行錯誤しながらプロジェクトを進めています。

ーーそれでも走り続ける理由とはなぜでしょうか?

倉辻:全てが自分にとって初めてなことです。

日々、自分の頭で精一杯考え、努力をし、自分たちでしかできないことを成り遂げたときや、アイディアが形になったときが本当に嬉しいですし、やってきて良かったなと思います。学校を作ろうと決めて出来た瞬間は本当に嬉しかったですね。

西村:英語講師になるために研修をしている現地の若者達が、自分たちで準備をし、僕らが科した目標を達成し成功体験を持てるようになったときが本当に嬉しいです。

先日、トンド地区スモーキーマウンテンというマニラの最貧困地域出身の若者がTOEIC900点以上を獲得しました。「貧困層出身だから」と諦めてしまう傾向にある彼らがチャレンジをし、自分の価値を見いだせることができた瞬間を見るととても幸せになりますし、僕の原動力でもあります。

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左から:西村さん・倉辻さん

ーー今後の目標を教えてください

倉辻:語学学校事業に限らず、できるだけ多くの未来につながるキャリアを作る事業ビジョンを目指しています。そのためには、まず現在行っている英語教師育成のためのトレーニングプログラムの強化をし、外部の語学学校にも認められる研修トレーニング作りをしていきたいです。

西村:今後は僕ら日本人が最前線に立たなくても、現地の人が今僕たちがやっているのと同じ質で、このフィリピンの社会をフィリピン人自らが変えていけるようになってほしいと思っています。

現地のひとが同じ想いと力を持って変えてくれる。僕じゃない誰かが、まわしていける仕組みを作るのが目標です。

インタビューを終えて

エネルギーの溢れるお二人のお話を伺っていると、この事業にかけるエネルギーと大きな想いが伝わってきました。

Paletteさんの事業を通じて、貧困地域出身の若者が研修を受け、自信を持ち、精神面での安定はもちろんのこと、経済的に安定した職に就くことができます。

こうしたサポートから、彼ら自身が彼らの力で貧困のスパイラルに打ち勝つことができ、さらに次の世代への貧困の連鎖を断ち切る「きっかけ」になるのではないでしょうか。

次回の記事では、Paletteさんが運営している英語語学学校「Palette School」についてご紹介します。

語学留学を考えていらっしゃる方は必読です!お楽しみに!

[ NPO法人Palette ]


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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