e-Education Projectインドネシア担当の大石慎治です。現在インドネシアの貧しい子どもたちの大学受験を応援するドラゴン桜プロジェクトの担当をしています。
こちらのプロジェクトでは今年4月から6月にかけてクラウドファンディング「moonshot」で50万円以上を集めており、その支援者の方々を含む30人以上の方々が、先日8月27日に開催した活動報告イベントに参加してくださいました。
今回はそのイベントの模様をレポートしたいと思います!
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当日の流れ
当日はe-Education Project新代表の三輪から団体について、インドネシアプロジェクト立ち上げ者の坂井からインドネシアにおけるこれまでの取り組みについて、そして最後に現インドネシア担当の僕から「マスター・プロジェクト」の概要と2014年上半期活動報告という流れでプレゼンテーションを行いました。
「マスタープロジェクト」とは?
インドネシアプロジェクトの実施校の名前はマスターといいます。ストリートチルドレンや、年間3,000円の学費が払えない子どものための無償の学校です。
マスターの先生は全員ボランティアです。インドネシアに着いてすぐに授業を見学しましたが、それは授業とは呼べない代物でした。
彼らまともに勉強を教えられておらず、そのためよくわからないスピーチ(音読学習)を延々としています。どう見ても授業ではありません。しかし生徒たちは他の学校を知らないため、真剣な顔でスピーチに取り組んでいました。
「絶対に自分がこの子たちに最高の授業を届けなければ!」
この授業を見学したとき、プロジェクトに挑戦する決意がしっかりと固まりました。そんなマスターで、2014年4月から映像授業の実施を開始します。目標は6月に行われる国立大学の受験突破!
しかし、そこには予想外の3つの問題がありました。合格にどうしても必要なものが3つ足りなかったのです。
【問題1】生徒がいない
1つ目の問題は生徒です。
何を言っているのかと思う方も多いとは思いますが、本当に生徒がいなかったのです。実施校のマスターは、先生全員がボランティアであるため大学受験のサポートまではできず、4月の高校終了試験をもって授業は終わってしまうのです。
そのため、授業実施のために訪れた教室はもぬけの殻であり、プロジェクトは中止かと思われました。
しかし、ここで引き下がる訳にはいきません!
僕たちe-Educationの役割は、マスターがサポートしきれない部分をサポートするためのはず。ならばなおさら出番だと思いました。そこでマスターの先生にプロジェクト続行と、プログラム参加希望者は翌日パソコン室にきて欲しい旨を伝えると、「生徒が来るかどうかはわからない、でも言ってみるよ」と言ってくれました。
そして翌日。
心臓が飛び出しそうな気持ちでパソコン室を開けると、そこにはたくさんの生徒たちがいました。
「勉強がしたい!」
その一心でe-Educationのプロジェクト(映像授業)に参加してくれたのです。嬉しく思うと同時に、絶対に裏切らないと誓った瞬間でした。
やっと、授業開始です。
【問題2】チューターがいない
しかし、授業をはじめて何かが足りないことに気がつきました。そう、チューターがいなかったのです。
生徒たちは全力で勉強をします。では僕たちは授業以外にどんなサポートができるのか。僕の答えは最強のチューターを見つけることでした。
「生徒の全力×最高のDVD授業×最強のチューター=受験突破!」
これが合格への方程式です。
そう決めた僕は、インドネシア最強の学生達に協力を要請しました。国内最高学府インドネシア大学の中でも最難関である経済学部に、厳しい学習環境にいる子どもたちに勉強を教える活動をしている学生たちがいたのです。
彼らにも自分たちの活動と勉強があります。だから正直、仕事を増やすことは彼らにとって大変なことです。
しかしリーダーの学生は、「一緒に生徒たちをサポートしよう。メンバーたちは僕が説得するよ」と言ってくれました。
実は彼自身も勉強で苦労してきた過去があったのです。彼は高校時代周りの友達が塾に通う中、お金がなくていけませんでした。それが悔しかった彼は自分の部屋でひたすら勉強に没頭しました。そしてインドネシア最難関を突破したのです。
プロジェクトに共感して参加してくれた頼もしいパートナー。また、彼が他のメンバーを説得してくれ、チームができました。
それから毎日、最強のチューター達がマスターに来るようになりました。
【問題3】○○が足りない
最強のチューター達のおかげで勉強はどんどん進んでいきました。
しかし、まだ何かが足りないと感じるようになっていきました。生徒たちはとんでもない偉業にチャレンジしています。その背中を押すためにまだ足りないものがあるのではないか?
僕はe-Education Projectの初代プロジェクト、バングラデシュプロジェクトのことを思い出していました。
バングラデシュの生徒たちは、「あること」を経て受験に挑み合格をつかみ取りました。それが生徒たちに自信を付けさせ最後に背中を押したのです。お分かりですか?
ずばり、合宿です!
仲間とスパルタ合宿を乗り切ることで、環境によって自信を奪われてきた生徒たちに自信を付けさせてあげられるはずです。
そう思った僕は1週間のスパルタ合宿を企画しました。
朝4時半から始まり夜9時まで勉強漬けにしました。朝のランニング、昼のボランティアとの勉強、夜の自習、生徒たちのやる気が熱かったです。
熱かったのは生徒だけではありません。チューターたちも全力です。一緒に泊まってくれる学生もいて、生徒が寝たあとにその日の反省会をしていました。
生徒とチューターのやる気が合わさり、最高に充実した時間が過ぎていきました。
停電もおきましたが、問題ありません。参加者皆でスマートフォンを集め始めます。
スマートフォンの明りで勉強をするのです。バングラデシュでも同じようなことがあったとは聞いていましたが、実際に目の前にすると襲ってくるのは強烈な感動です。
さらには、皆が寝たあとロウソクで勉強を続ける生徒がいました。
このとき、今まで僕の中にあった不安は消えていました。
「こいつらが受からなかったら誰が受かるんだ」
勝負の時
1週間に及んだスパルタ合宿も終わりました。
前日の決起集会を経て、いよいよ勝負の時です。
生徒たちの顔には自信が満ちています。
最初は不安だらけだったと思います。
それがこの自信溢れる顔になったのです。
「シンジ、頑張ってくるよ!」
僕はただ、うなずくだけでした。
結果発表
入試の一ヶ月後に合格発表がありました。
1年の打ち上げで生徒たちとケンタッキーで食事をしたあと、そのままノートパソコンで1人ずつチェックしました。生徒たちの顔には「落ち着かない落ち着かない落ち着かない」と書いてあります。
結果は………………
UNJ合格!!!
UNJというのはインドネシア大学に次いで僕たちの2番目の目標です。
彼の名前はパトリックといい、合宿にも参加してくれて特に頑張ってくれた生徒の1人です。
「成果が出なかったらどうしよう・・・」
僕はインドネシアに来てからずっと焦っていました。成果がでなかったら自分の半年が無意味になるようで怖かったのです。
だから半年を経てパトリックの笑顔を見たときは、感動で涙が落ちそうになりました。
初年度の成果とこれから
e-Education導入前の昨年、マスターからはインドネシア大学もUNJも1人も合格者がでませんでした。
それが今年はパトリック含め4人がUNJに合格したのです。
この変化は決して小さいものではありません。
彼らの可能性を証明するものだからです。
今年彼らは自分たちの可能性を示してくれました。だから僕たちはこれからも彼らの可能性が最大限生きるように、インドネシア大学合格を目指してマスターでプロジェクトを続けていきます。
そして今年度はもう1つ目標があります。
「インドネシア最果ての地でドラゴン桜」
今年度は都市部以外にもアプローチをしていきます。
東西に長いインドネシアの東端の地域に属する、スンバ島という島がプロジェクト実施の候補地として挙っております。ニーズを確かめるために9月から僕が現地に調査にいく予定です。
都市部と農村部という2つの目標を掲げ、インドネシアプロジェクトは進んでいきます!
初年度に成果を出すことができたのも、これから活動を続けることができるのも、Moonshotでのご支援のおかげです。
本当にありがとうございました!
新年度を迎え、ますます盛り上がっていくインドネシアプロジェクト。
これからもどうぞご声援よろしくお願い致します!
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