「かものはしが新ブランドを立ち上げる」
このニュースを耳にした時、疑問に思った人は少なく無いだろう。
「子どもが売られない世界をつくる」ためにカンボジアやインドで活動する認定NPO法人かものはしプロジェクト。人身売買という問題に向き合い、警察支援や就業支援など多岐にわたる活動を10年以上続けている。
彼らの活動の一つに「コミュニティー経営」という事業がある。カンボジアを代表する天然素材「い草」を使用した手作り雑貨を作り、WEBショップで販売を手がけてきた。
そんなかものはしが「新ブランドを立ちあげる」とは、どういうことだろう?
共同代表の青木健太さんにお時間をいただき、新ブランドに込めた想いを伺った。
なぜ新ブランドが生まれたのか?それによって、どんな変化が生まれたのか?
青木さんの新しい挑戦、そして素顔に迫ります。
(聞き手:丹羽真奈美)
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新ブランドSUSUを立ち上げた3つの理由
ーーかものはしプロジェクトが新ブランドを立ち上げることになりましたが、青木さん自身、団体を立ち上げてカンボジアで活動して8年ぐらいが経過していますね。8年目というなかで新ブランドSUSUの立ち上げに至った経緯からお話をお聞かせください。
1つ目の理由は、今までやってきた商品だけだと、今後、市場で残っていけないということがありました。ただ品質が少し良い、可愛いだけでは、僕たちがやっている活動全てを伝えきれない、共感して買ってもらえないと感じていました。可愛いだけの商品は、カンボジアの中だけでもどんどん生まれてくる。だから、市場に埋もれていって、売り上げが伸びていかないというのを打破したかった。
2つ目の理由が、カンボジアの事業できちんと利益を出していきたいと思ったからです。カンボジアで物を作る事業をやっていて、きちんと結果を出していくためには、力強い商品やブランドが必要ということを改めて思いました。
3つ目の理由が、2008年から、サンプルを作っては売ってということをずっと繰り返してきた。そこで、作り手の女性も、より難しいことにチャレンジできる土台というのを提供したいと思っていました。もっと作り手の想いが伝わるもので、そしてスタッフ自身がもっと使ってみたいと思うものを作っていきたかった。女性の成長と、団体の次のステージへというフェーズがあってきたからこそ生まれた新商品ですね。
ストーリーの、その先を目指して
ーーSUSUの構想はいつくらいからしていたのでしょうか?
1年半前から新商品はという話はしていました。1年ちょっと前から具体的な話が進み、1年弱の準備期間を経て、やっと昨年の2月にローンチという流れでした。
今までは、人に商品を勧めるときに、どんな団体かということを先に話してしまうんですよね。そして、そのストーリーで買ってよとなってしまう。でも、自分が本当に使いたい、可愛い、持っていたいと思える商品を作りたいというのが、みんなの想いとしてあった。自分たちが心から、「商品が良い」「可愛い」と思える商品を作るという決意から、SUSUは生まれました。
ーーワーカーの女性たちは、新商品に対してどんな反応でしたか?
商品のサンプルを作り慣れている女性は任せて!という雰囲気。でも、なんで今さら新しいことをやらなきゃいけないのとか、自信ないからチャレンジしたくないという女性からの声もありました。
みんなが新しいことを嫌がっているというよりは、新しいことに取り組む自信だったり、新しいことを始めることに対してかかる時間、ミスなどに怖がっているイメージですね。女性の性格も本当にそれぞれなので。
新しい技術にも果敢に一生懸命取り組む女性たち
ミッションが、仲間たちを動かした
ーーやりたくないと思っている女性には、どのような声掛けをしていったのですか?
これを解決したのは、実はカンボジア人のプロダクトマネージャーでした。人によってSUSUの新商品であるトートバッグ作りに取り組む姿勢が全然違っていたんです。そこで、ワークショップを開くことになって。そこで、なんで新しい商品にチャレンジしているかとか、クオリティが大事なのか、ミッションは何かという部分を話しました。
特にミッションという部分では、新商品がきちんと作られて売れることで、カンボジアの市場でも生き残れるし、他の女性へのチャンスにもなるし、この工房は成長できる場所になっていく、ということを説明したようで、その後からスピードが大きく変わりました。こんなに違うんだってドキドキしちゃうくらい(笑)意識が変わったことは本当に大きいですね。
ーーカンボジアで様々な苦労があったと思うのですが、新商品の開発における苦労はまた違いましたか?
コミュニティファクトリーを立ち上げた最初の3~4年くらいは、普通に納期までに作ることに苦労しました。だから、何が作れるかとか何が縫えるかなど、できるものを作るというイメージでした。でも、新商品を作るとなると、何を作りたいか、何を作ったらお客様に受け入れてもらえるかということから先に考えるようになりました。
そうすると、今まで以上に作れるものと作りたいものとの葛藤がすさまじい。女性が頑張ったから売るのではなく、デザインで判断してしまうので、技術面とでの葛藤を乗り越えるというハードルが高かった。あとはカンボジアで手に入る素材というのも限られてしまうので、素材集めにも苦労していますね。
「頑張れ」という想いを商品に込めて
ーーSUSUを立ち上げたばかりですが、次の挑戦というのも考えていらっしゃいますか?
SUSUは赤ちゃんがハイハイしているような状態だと思っています(笑)商品数もまだ3つだし、商品としてのクオリティももっとあげていく必要があるので、もっと成長させたいです。商品を増やして、魅力を伝える仕組みをつくっていく。今年度末までに商品も11個に増える予定なので、商品を強化して、形にしていきたいと思っています。
第一弾で開発した商品。トートバッグとサンダル
SUSUは「頑張れ」という意味なんです。だから、仕事やプライベートでも頑張りたいけど、疲れたり、落ち込んだときに商品を買ったときのことや、商品をつくっている女性を思い出してもらいたい。そんな温かい商品にしていきたんですよね。自分をリラックスさせるような感覚、それを目指していきます。
ーークラウドファンディングにかける意気込みを一言お願いします。
SUSUという新しいブランドでのチャレンジを応援して欲しいです。今までと変わったなというのを、団体のことを知っているなんとなく知っている人に理解してもらって、商品を好きになってもらいたいです。
そして、その力や応援を受けて、長く愛されるような良い商品を目指していきたい。それが、女性の満足や自信、そして技術的な成長にも繋がるので、そういったエネルギーを日本から受け取り、届けていきたいです。
(インタビュー終わり)
『VOYAGE PROGRAM』での挑戦
『VOYAGE PROGRAM』は、国際最大規模のクラウドファンディングサービスを手がけるREADYFORが新たにはじめた国際協力活動応援プログラムであり、認定NPO法人かものはしプロジェクトは第一回参加団体に選出されました。
青木さんたちは「途上国発ブランド「SUSU」で、カンボジアで頑張る農村女性を応援」というプロジェクトの成功に向け、現在活動資金を集めています。
応援したい方・関心のある方はぜひプロジェクページをご覧ください!
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