皆さん、こんにちは!e-Education Project共同代表の三輪です。
先週、私たちが映像をつかった途上国教育支援にこだわる3つの理由についてご紹介しましたが、いかがだったでしょう?
本日はその続きです。途上国の子どもたちに映像教育を届けるための最適な手段とは何でしょうか?インターネットとDVDの違いについて、私たちのこれまでの取り組みを踏まえながらご紹介します。
SPONSERD LINK
50億人の人々が・・・
先日、このトジョウエンジンで「Internet.org」設立のニュースをご紹介しました。「Internet.org」とは、SNS業界最大手の米Facebook社を中心とし、韓国サムスン電子や通信機器大手のエリクソン、ノキアなど世界の有力IT企業6社が共同で設立した組織です。
インターネットへのアクセスが無い人々をネットに繋げるという大きなゴールの発表に、世界中が盛り上がりました。貧しい子どもたちが、誰でもインターネットにアクセスできる日を夢に見た人も多かったでしょう。
しかし、インターネットにアクセスできていない人が世界に何人いるかご存知でしょうか?
その数なんと50億人です。全世界を見渡すと、3人のうち1人しかインターネットにアクセスできていないのです。このような現状を踏まえると、インターネットが途上国の教育を劇的に変えるツールにすぐなるとはどうしても考えられません。
電気は世界中に届きつつある
もう一つ面白いデータがあるので、ご紹介します。
「IEA(国際エネルギー機関)」のホームページで、世界で電気の利用可能な人口が紹介されていました。その数いくらか想像できますか?
結果は全世界の80%、つまり60億人近い人が電気にアクセスできているという計算になります。先ほどの「Internet.org」の発表内容を踏まえると、30億人以上の人が「インターネットにはアクセスできないけど、電気は利用することができる」ことになります。
さらに、自然エネルギーの力を活用した電子機器の開発が進んでおり、今では太陽光で充電できるパソコンも誕生しています。
インターネットに比べると、電気(電子機器)の方が途上国に浸透しつつあると言えます。
インターネットとDVDの違い
さて、ここからが本題です。
途上国の子どもたちに映像教育を届けるための最適な手段とは何でしょうか?もはや説明するまでもないかと思いますが、私たちe-EducationはDVDを活用することが非常に多いです。
一つ具体例をご紹介すると、バングラデシュの各農村には政府やNGOが設立したPCセンターがいくつも存在し、電気はどの村にも届いていましたが、インターネットにはアクセスできませんでした。
PCセンターにはインターネットに接続できないPCがいくつもあります
村の中心にあるPCセンターにはインターネット回線が届いていましたが、それでもYoutubeをスムーズに再生することは難しかったです。
こういった課題が、フィリピンなど東南アジアでも同じように起こっており、結果的に私たちはDVDによる映像教育支援を実施しています。
見落とされがちなオンライン教育の罠
もう一つお伝えしたいことがあります。
バングラデシュの都心部ではWi-fiが完備されたカフェが無数にあり、個人の家庭にもインターネット回線が届いていました。つまり、裕福な家庭で生まれた子どもたちは、幼い頃からインターネットに振れ、質の高いオンライン無料教育を受けることができています。
「オンライン学習は、途上国の教育格差を加速させる」
これはバングラデシュの大学生の言葉ですが、確かにインターネットにアクセスできる人は日々新しい情報に触れ、学びを広げており、この学びの差はどんどん広がっていきます。
インターネットにアクセスできる人と、インターネットにアクセスできない人の間に生まれている、チャンスの格差。私たちは、この問題を出来る限り解決していきたいと思っています。
インターネットの可能性
最後に少し補足をすると、私たちは決してオンライン学習やインターネットの可能性を否定しているわけではありません。途上国でも少し工夫すれば、オンライン学習は十分効果的だと思っています。
具体例をあげると、私たちはパレスチナのガザやハンガリーで教員を対象にしたオンライン学習コンテンツを作成しています。先生を対象にし、子どもたちの教育格差が広がらないように心がけて事業を進めています。
ガザではTV会議システムを活用した映像教育事業を実施しています
これから途上国でもインターネットが広まってくれば、私たちの映像教育支援のあり方もきっと変わってくるでしょう。
どんな変化が訪れても対応できるよう、インターネットとDVD双方の可能性を今後もしっかり考えていけたらと思います。
【次回予告】映像教育(DVD)の有料化の課題
いかがだったでしょうか?私たちがなぜ途上国で映像教育を提供する時にインターネットではなくDVDを使うことが多いか、ご理解いただけましたでしょうか?
来週は、映像教育(DVD)の有料化の課題についてお伝えできればと思います。途上国で教育ビジネスを行おうと思っている方にぜひ読んで頂きたい内容です。
また、この「代表コラム」のコーナーでは、読者の皆さんからの質問やご意見もお待ちしております。もし私たちe-Educationの活動にご興味ある方はぜひSNSでコメントいただければ幸いです。
それではまた来週!
SPONSERD LINK