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こんにちは!e-Education Projectインドネシア担当の尾崎綜志です。

教育機会の恵まれないインドネシアの子供たちに最高の教育を届けるため、現在活動しています。

前回の記事では新メンバーの参加、そして知れば知るほどわからない「マスター」という学校についてご紹介しました。

今回は、現地で活動する団体World Educationについて、そしてマスターで実施したアンケートについてお話出来ればと思います。

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World Educationとの出会い

先週、マスターに存在する未知なる団体「World Education」の情報を得た僕は、担当の方(アウディさん)に早速アポイントメントのメールを送ります。すると早速返事が。

「面白そうですね!是非お会いしましょう」

緊張しながらマスターに向かった僕を出迎えてくれたのは、穏やかそうな方でした。

僕:「スラマシアン、ナマサヤ、ソウシ」(こんにちは、そうしです)
アウディ:「シアン、アウディ」(こんにちは、アウディです)

挨拶をし、自己紹介をすませるやいなや、見かけからは想像もできない程の熱い演説が始まり、圧倒されます。しかし、全てインドネシア語。頑張って聞き取ろうとしましたが、ほとんど理解できませんでした。

そうとわかったアウディさんは英語を使うようにチャレンジしてくれましたが、話す方も聞く方もたどたどしい英語です。1時間後、お互いの顔に疲労と絶望の色が浮かんでいました。

アイさん登場

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左がアイさん、右が尾崎

そんな時、新たな女性が登場しました。彼女の名前はアイさん。口を開くなりすらすらと英語が出てきます。救世主登場です。話を聞くと以下のような内容でした。

  • マスターには日中と夜、2種類の授業がある
  • マスターの去年の合格実績は、国公立大学に4人程度。インドネシア大学の合格者は出た事がない(以前の情報は間違っていた!!)
  • マスターには文系の授業しかない
  • WEは先生の教育を主に行っている。しかし先生はボランティアなので契約を結んでいるわけではなく、来ないこともしばしば
  • 自分の好きな分野を教える先生も多く、カリキュラムはあまり機能していない
  • WEはPCを教育面で活用したいと考えている。しかしどう活用するのかが課題

アイさんはそれ以外にも、マスターのことや、生徒達の話をとても楽しそうに話してくれました。

人を引きつける笑顔、そして落ち着いた雰囲気がとても印象的でした。

モヤモヤがワクワクに!

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SAVE MASTER

アイさんと話しているうちに自分の中のもやもやした気持ちがすっきりしていくのがわかりました。

World Educationという強力なパートナーがいて、設備面で高いレベルの補助があるマスター。しかし、先生の質やカリキュラムのレベルはまだ低く、現状PCを有効活用できていない・・・。アイさんからの言葉を思い出しながら、一つの結論にいたります。

「僕らがデジタル教育コンテンツを提供することで、マスターの教育レベルを格段にあげられるかもしれない。まさに今、e-Educationが必要とされている!」

そうわかった瞬間、ニヤニヤが止まりません。プロジェクト実施校が決まりました。

マスターでのアンケート

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アンケートをとるリアン

「マスターでやりたい、マスターで良いコンテンツを提供したい!」

そう息巻いていた自分でしたが、ふとあることに気付きました。

「果たして生徒は僕らの存在を望んでいるのだろうか?」

こうなれば直接聞くしかありません。僕とリアンはアンケートを作成しました。内容は以下のようなものでした。

  • 映像授業の説明
  • 映像授業についてどう思うか
  • 得意な教科、苦手な教科
  • 大学受験したいか
  • 受験したいなら、どの大学、学部に入りたいか

マスターの授業にお邪魔し、アンケートをとらせてもらいます。100人ほどの生徒から回答をもらうことが出来ました。

アンケートの結果

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アンケートを集め終わり、恐る恐るアンケートの結果を読みます。

最初に気になるのは映像授業に関しての意見です。読んでみると「いつでも勉強できるのが良い」「英語は先生がいないから助かる」「授業を受けてみたい」といった非常に好意的な意見が多く安心しました。

そして次に気になるのは大学受験したいかどうかです。結果によって、受験サポートになるのか卒業試験サポートになるのか、というようにプロジェクトの方針が変わってきます。

その結果をみて驚きました。予想に反し、ほとんどの生徒が「受験をしたい」と回答していたのです。そして志望大学で最も多かったのは「UI」、マスターの近くに位置する最高学府、インドネシア大学でした。

これだけの生徒がUIや他の難関国立大学に行きたいのであれば、彼らをサポートしない理由はありません。

「絶対にプロジェクトを成功させる!」

そう決意してマスターを後にしました。

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左が女の子、右が男の子の回答。違いが一目瞭然で可笑しかったです。

インドネシアの教育制度

最後に、インドネシアの大学受験について簡単に説明します。実はこの情報を得るのに思いの外苦労しました。誰に聞いてもわかるものだと思っていましたが、人によって回答が違うのです。

そもそも受験に対する情報が日本ほど出回っていないことに加え、受験制度が近年変わったことが影響している様でした。大学の担当部署や大学生に直接聞いてわかったのは以下のような流れでした。

  • ①高校卒業試験 4月頃
    これに受からないと大学を受験する事が出来ません。
  • ②SBMPTN 6月中旬
    国が行う大学受験統一試験です。日本のセンター試験と似ています。違うのは、SBMPTNで良い点数を取るとインドネシア大学などに合格できること。難易度は高くないものの、時間内で解ききる能力が求められます。
  • ③個別試験(インドネシア大学は「Simak UI」) 6月下旬
    主にSBMPTNで受からなかった人が受ける個別試験。難易度は高いです。またこれで合格しても、学費が②で受かった人の3〜5倍かかることがほとんどです。
  • ④推薦
    高校などからの推薦。インドネシア大学において、実は推薦で合格する学生が一番多いです。

SBMPTN

これらの状況を鑑みて、僕は「SBMPTN」にフォーカスする事にしました。理由は大きく2つです。

  • 難易度が高くないため、短期間で難関大学合格レベルまで持って行くことが可能
  • マスターの生徒にとって、学費が高い個別試験枠での受験は厳しい

また、アンケートにも苦手な科目として非常に多くあがり、また自学自習の難しい「英語」「数学」「経済」の3教科の授業を提供することに決めました。

決まった方針

ついにプロジェクトの方針が決まりました。
次はプロジェクトを形にしていくため動いていく段階に入ります。

「どんなプロジェクトになるのだろう?」
「マスターの生徒にとって最高の授業とは何なのだろう?」

ワクワクと不安でいっぱいです!

来週はe-Education協同代表の開人さんが登場します。開人さんの登場でプロジェクトがどう進むのか、どうぞお楽しみに!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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