誰もがきっと持っている旅の思い出。
そんな思い出の写真をアップロードするだけで、旅の記録を一つの物語に変えてくれる便利なWEBサービス「Compathy(コンパシー)」。
このサービスが生まれた背景には、社長である堀江さんが出会った「途上国の衝撃」がありました。今回は「Compathy(コンパシー)」が生まれた背景と、旅を通じて国境をなくしたいという堀江さんの想いをご紹介します。
インドで感じた「生きる」ということ
――堀江さんにとって、もっとも思い出深い旅といえばどの国でしょうか?
やはりインドですね。大学生の頃、私は国連の職員になって世界平和に貢献したいと思っていたのですが、実際に途上国の問題を見たことがなく、インドへ一人旅に出掛けました。
――インドで一番印象深い出来事は何ですか?
騙されたことでしょうか。インドに到着して間もないときに、電車に乗ろうとしたところ、「このチケットでは乗れないぞ」と声をかけられ、怪しげな旅行代理店へ案内されました。そこで何倍も値段の高いバスのチケットを半ば無理やり購入させられそうになりました。
――それはショッキングですね。インドを嫌いになったりしませんでしたか?
いえ、そんなことはありません。むしろ今では感謝しています。
騙された直後、バックパッカーの方にこの話をしたところ「ここはインドなんだから」と言われてハッとしました。ここは日本ではなく、私の知らない文化が存在しています。
例えばカースト制度。生まれながらに身分が決まっているなんて、今の日本では信じられないですよね。こういった衝撃がたくさんありました。
――では、最終的にはインドの旅は良い思い出だったんでしょうか?
もちろんです。インドで僕が知り合った人たちは皆、本気でその一日一日を「生きて」いました。僕を騙そうとした人も同じです。
それに比べて「存在する」だけの意識でいた自分を顧みて、「生きる」という単語がとても能動的な「動詞」であることを、私はインドから教えてもらいました。
インドネシアで体験した「カウチサーフィン」の感動
――他に印象的だった旅はありますでしょうか?
社会人になってから訪れたインドネシアですね。ここで「カウチサーフィン」を体験していなければ、私は起業していなかったと思います。
――そうなんですか。ぜひ「カウチサーフィン」について詳しく教えてください。
「カウチサーフィン」は旅先で、一言で言えば、現地の方の家に泊まる事ができるというサービスです。私がインドネシアを訪れた時、この「カウチサーフィン」を活用して宿泊先を探しました。
――海外で知らない人の家に泊まるのに抵抗はありませんでしたか?
もちろん少しはありました。ただ、実際に現地の方々の普段の生活に触れることができ、一般的な観光とはずいぶん違う気分を味わうことができます。ホストの方から与えられるものが多く、感動を味わう場面がたくさんありました。
――この「カウチサーフィン」からどのように起業のヒントを得たのでしょうか?
最初はこの「カウチサーフィン」の感動を一人でも多くの日本人に知ってもらいたく、利用者を拡大するための交流会を行ったり、団体を立ち上げたりしました。
また私自身、帰国してからは宿泊先の「借り手」としてサービスを活用し、300名以上の旅行者に自分の部屋を提供しました。
しかし、それだけでは不十分だと思いました。世界中の年間の海外旅行人口は10億人になるのですが、カウチサーフィンの登録者は500万人前後。加えて、日本でカウチサーフィンを広めようとする活動は、全くと言っていいほど振るいませんでした。
これでは、自分がカウチサーフィンを通じて得た感動を海外旅行者全員と共有するのは難しい。また、自分が感動に至った背景として心の奥に持っていた「世界の人々から心の国境をなくす」という想いは果たせないと悟りました。
やはり「見知らぬ相手」、しかも異文化の相手となると精神的なハードル、恐怖は極端に高くなってしまう。何か新しい方法で「旅」や「旅行」という活動そのものの定義を変えなければいけないと感じ、起業に至りました。
退職して起業、これから目指していく道とは?
――あらためて「Compathy」とはどのようなサービスなのでしょうか?
旅の写真をアップロードすることで、旅のルートや時間軸までのすべてを記録することができます。
他のユーザーはその記録をもとに、行ってみたい場所を見つけたり、現地に行った人の声を聞いたりすることができるのです。Facebookアカウントでログインするため、気になるユーザーにはFacebookを通してコンタクトを取ることも可能です。
――旅のリアルを知れるとよりわくわくしますね。今後の展開を教えて下さい。
Compathyは、旅の計画とソーシャルグラフを利用し、「旅を通じて心の国境をなくす」サービスを目指しています。
今後これらの旅ログをもとに、オリジナルな旅行を「設計できる」と同時に、ソーシャルグラフの力を利用して「旅行先で信頼できる現地人と知り合える」サービスにしていきたいと考えています。
たとえば、旅行で行きたい場所の計画を立てると、良い航空券やホテルの情報、レストラン情報などが見られるだけでなく、ソーシャルグラフ上で共通の友人を持つ現地の人々が紹介されます。
このように、「旅行の計画」という、海外旅行に行く人であれば誰もが行う行為をコンテクストとして「現地の人々とのハードルの低い出会い」を提供することで、「旅を通じて人々の心から国境をなくす」というビジョンを実現できると思っています。
またその体験は旅というものの体験を根本的に変え、今になく人生を豊かなものにしてくれると信じています。
(インタビュー終わり)
旅をひとつの切り口として、人と人が繋がり「国境」をなくしていきたい。そんな堀江さんの想いが強く伝わってきました。
みなさんも是非、色々な旅のかたちを「Compathy」で共有してみてはいかがでしょうか。それが他の誰かの旅に生かされたり、人との新たな繋がりが生まれるかもしれません。
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