「どうしたら本当に社会は変わるのか?」
NGOや行政に関わる方であれば、誰もが何度もぶつかる課題でしょう。
今回は”変化を生み出す”プラットフォーム『newdea』日本語版のリリースを記念したキックオフイベント「Social Impact Day 2015」の内容をお伝えします。
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イベント構成
NPO/NGO・企業・財団・行政など、社会的インパクトに関心のある企業向けに開かれたクローズイベント「Social Impact Day 2015」。イベントは、4つのセッションに沿って進んでいきました。
- 開会あいさつ~今、社会的インパクトが求められる理由
- newdeaを通じて世界で起こしてきた変化、起こしていきたい変化
- newdea日本語版の機能紹介
- パネルディスカッション~社会的インパクト評価の重要性とnewdeaへの期待~
それでは詳細をご紹介しましょう。
1.開会あいさつ
「本当に社会を変える”仕組み”を作るには?」
株式会社ファンドレックス代表取締役の鵜尾雅隆氏からの挨拶は、NGOや行政が抱える疑問を会場に投げかける形で始まりました。
プロセス管理や事業評価。いずれも非常に重要なことでありながら、現場で日々問題解決に向き合うNGOにとって、評価まで手が回らないケースが沢山あります。
「ちゃんと事業管理や評価ができるような仕組み、使いやすいツールがどうしても必要だと私は思いました」
社会のイノベーションを加速させるために必要なツールを探して世界中を回った鵜尾氏。そこで出会ったのが『newdea』というプラットフォームサービスであり、世界中の貧困や環境などの問題を解決するためにnewdea日本版のリリースが実現されました。
2.newdeaを通じて世界で起こしてきた変化
『newdea』がなぜ生まれたのか?
この疑問に答えるように、newdea社代表 Troy Stremler氏のプレゼンテーションは始まりました。
アフリカで見た各NGOのプロジェクト管理方法の違い。パプアニューギニアで自ら実践した小さなプロジェクトマネジメント改善の成功体験。アメリカでショックを受けた、毎年数万を超える報告書が情報として整理されていないこと。
世界中で実際に体感した課題と、それを解決するための仕組み不足を解決するために、『newdea』開発に至りました。
「Invest in the important things(重要なことに投資できるように)」
これが『newdea』の設計思想であり、ソーシャルセクターへのヒアリングを重ねながら、以下のようなポイントにこだわりました。
まずはデータ収集と管理。固定されたフォーマットを設けるのではなく、各団体ごとにデータの収集方法や管理方法をアレンジできるような仕組みにしました。
続いて、優れたモニタリングと評価機能の実装。情報をオープンにすることで、国際機関や投資者など外部からの目が入るようになり、同じ情報をもとに事業を評価できるようになります。
最後のポイントはクラウドソーシング。情報はただ集めるだけでは意味がありません。社会課題を解決するためには、異なる組織やセクターが協力してプロジェクトを進める必要があり、『newdea』では企業にも情報を共有し、すべてのセクターが力を合わせて社会課題を解決できるような仕組み作りを進めています。
3.newdea日本語版の機能紹介
newdea Japan統括ディレクターの平尾千絵氏からはnewdea日本語版の画面と機能の紹介がありました。
『newdea』の特徴として、紹介があったのは以下5つのポイントです。
- ロジックモデルに基づくプロジェクト管理
- 社会的インパクト評価につながるKPI管理
- 成果評価と改善提案のモニタリング
- プロジェクト別予算管理と積み上げ集計
- 1クリックで自動生成できるインパクトレポート
プレゼンテーションでは、実際のnewdea日本語版サービス画面をスライドで紹介し、具体的な活用方法が紹介されました。
特に印象的だったのは、プロジェクト管理画面から他機能へのスムーズな連携です。管理画面から、日々のミーティングやタスクを設定・割り振りできるほか、年間のレポートを1クリックで自動生成し、支援者ごとに異なるレポートを送ることもできます。
もう一つの大きなポイントが(初期設定をすれば)Excelのテンプレートを簡単に出力できる点。通常、WEBサービスからデータをダウンロード・アップロードしようとするとCSVで出入力することが一般的ですが、newdeaではExcelのテンプレートで出入力することができます。インターネットに中々接続できない途上国のプロジェクト管理で重宝されそうな機能です。
4.パネルディスカッション
newdea日本語版の導入に向けて、ストラテジックパートナーと呼ばれる6団体が先立って、newdeaを活用したプロジェクト評価や管理を進めています。
パネルディスカッションでは、ストラテジックパートナーであるエイズ孤児支援NGO・PLAS代表理事の門田瑠衣子氏、コミュニティ・ユース・バンク momoの代表理事・木村真樹氏、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の源由理子氏、そして前のセッションでプレゼンされたTroy氏、鵜尾氏、平尾氏が登壇し、一人一人が感じている課題やnewdeaに対する期待の声が上がりました。
まず、源氏からはnewdeaを通じて多様なステイクホルダーが評価に関わり、プロセスが可視化されることに非常に価値があるのではないか、という指摘がありました。これまで一部の専門家しか評価できなかったプロジェクトを、様々な視点から評価するという社会の変化に大きな期待を寄せています。
木村氏は「地域のお金の流れをデザインする」というコミュニティバンクの仕事において、newdeaはプロジェクトを進めるストーリーまで管理することができ、痒いところに手が届く仕組みであると評価していました。お金の出し手と受け取り手の距離が近いからこそ、ストーリーを共有できる仕組みが生きてくるのではないかと考えています。
門田氏は、国際機関などが活用しているプラットフォームを小さな団体が使える可能性と、データをマルチステークホルダーで共有出来る可能性を高く評価していました。これまで知りたかった他の団体のデータを収集し、組織内外の情報共有を増やし、これまで着手できなかった社会課題解決のロジックモデルそのものを評価にこれから挑戦していくとのことです。
平尾氏は、以前から感じていたNGOの特徴についてまず言及を。これまで未着手であった課題解決に挑戦し、何度も失敗を重ねるNGOにおいて、失敗のナレッジを共有して次の挑戦につなげ、他の団体を巻き込んでいくnewdeaの設計思想に強い感銘を受けたとのコメントがありました。数字・写真・ストーリーを共有し、挑戦の過程がオープンになっていくことに大きな期待をしています。
鵜尾氏からは、多くのNGOが現場を重んじているために、評価を毛嫌いしてしまっているのではないかという疑問を出した上で、newdeaが評価の複雑さを解消し、NGOの活動が変わっていくことに期待を寄せていました。事業を実際に推し進めることに半分、管理や評価などに残りの半分くらいの力を入れるようなNGOが誕生すると、社会全体が変わってくるのではないかという意見がありました。
最後Troy氏からは、長期的な成果に焦点を当てることがnewdeaの特徴であると言及がありました。支援者(ドナー)が長期的な成果に着目してもらうよう促し、そこに至るまでのプロセスを可視化することで、長期的な協力関係を築くことにつながるというビジョンを熱く語られていました。
まとめ
newdea日本語版はまだ立ち上がったばかり。
日本ならではの地域課題や、海外の国際機関などと事業管理方法が異なるという課題にどう対応していくのかという質問に対してTroy氏は以下のように答えました。
「問題ありません。私たち(newdeaというサービス)がこれから進化し、解決していきます」
日本やアジアの複雑な課題を解決するために、日々進化していく『newdea』という新しい仕組み。社会の変化とそれを生み出すプロセスを、簡単に「見える化」するプラットフォームが、これから日本のソーシャルセクターをどう盛り上げていくのか?
気になる方は、ぜひ『newdea』をチェックしてみてください!
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