Let it bhutan

「世界一幸福な国」と呼ばれるブータン。

GDP(国民総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)という独自の指標を掲げ、その最大化を目標としている南アジアの小国です。

外国からの過度な介入を避けるために入国制限を設けており、ブータンへ足を運んだ日本人はごくわずか。彼らが「幸せ」な理由は、ほぼ謎のままでした。

しかし、昨年2012年、そんなブータンの人たちのリアルな声や暮らしについて描かれた本が出版されました。

『ブータン、これでいいのだ: 御手洗 瑞子』

著者は御手洗瑞子さん。ブータンの初代首相フェローとして、1年間ブータンの国づくりに携わった方です。

幸せの国にひそむ問題に触れながら、それでも『これでいいのだ』と感じたブータンの秘密をご紹介します。

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無理せず、割り切る仕事術

最初に、ブータンの働き方がよく分かる会話をご紹介します。御手洗さんが政府内の同僚メンバーたちと会議を開こうとしたシーンを思い浮かべて下さい。

私(御手洗さん)「来週までにこれを決めなくちゃいけないから、早めに一度会議を開く必要があるよね。いつにしようか」

同僚「う~ん、みんな出席しなくちゃいけないもんね。みんながいる時にしよう」

私「いつ、みんないるの?」

同僚「そんなのわかんないよー!(笑)」

私「え、じゃあどうやって会議開くの?」

同僚「え、だから、みんないそうな時に、オフィスを回ってみて、みんないたら『会議しよう』って声かけて、集まるんだよ」

私「・・・・・・」

会議ひとつ開くのも大変なブータン。ほとんどの人が手帳やカレンダーを持っておらず、予定は覚えられる範囲のみでしか入れることができません。

残業文化もなく、かといって仕事が速いわけでもありません。結果、仕事に遅れが出て、トラブルは日常茶飯事ですが、それでも定時にはサッと仕事を切り上げて家族と楽しく夕飯を食べます。

自分の好きな仕事をしている人が多いことも特徴です。そのため、厳しい肉体労働の仕事をインドからの出稼ぎ労働者に任せるといった傾向があります。

無理せず、割り切る

失敗しても自分を責めすぎず、楽しく生きる方法を選んでいく。これがブータンの人たちの働き方です。

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photo credit: brentolson via photo pin cc

幸せゾーン

もう一つ印象深いエピソードをご紹介します。御手洗さんが同様の30代女性に「幸せ」かどうか訪ねた時の話です。

「今は、両親も元気だし、お姉ちゃんも最近結婚して幸せそうだし、大きな家族でみんな一緒に暮らせているし、とても幸せです」

笑顔で答える女性。ただ、彼女には悩みもありました。結婚したいのに彼氏がいないこと、留学に行きたいのに試験勉強がうまく進まないこと、色んな悩みを抱えていました。

それでもブータンの人たちが幸せだと答えるのは、幸せの対象が周りの人たちも含んだものであるからです。彼らにとって幸せの主語は「家族や友人」になるのです。

日本とは異なる幸せの範囲。御手洗さんはこれを「幸せゾーン」と呼んでおり、ブータンの人たちは日本の人たちよりも「幸せゾーン」が広いのではないかと疑問を投げかけます。

会議もうまく開くことができず、数多くの悩みを抱えた国ブータン。しかし、そこで暮らす人たちは生き方を自ら選び、多くの幸せを感じることができる人たちでした。

ブータンは、これでいいのでしょう。

あとがき(本の感想)

「幸せって何だろう?」

こんな疑問を持ちながら本を読み進めましたが、ひとつ勘違いしていたことに気がつきました。

幸せかどうかは、自分が決めること

何気ない日常から幸せを見つけ出すことができ、周りの人たちの笑顔を自分のことのように嬉しく思うことができたら、毎日はもっと楽しくなるでしょう。

終電まで働き、家族や友人たちと会話することが少ない日本の社会人にとって何とも痛いメッセージだったのではないでしょうか?

働き方について悩んでいる方にぜひ読んで頂きたい1冊です。

『ブータン、これでいいのだ: 御手洗 瑞子』


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