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こんにちは。e-Educationフィリピン担当の秦大輝です!フィリピンの首都マニラのスラム街に住む高校生たちに、大学受験対策の映像授業を提供するために日々走り回っています。

進んでいた事業を撤退し、再出発でマニラに降り立った矢先、詐欺にあって落ち込んだ経緯は前回の記事でご紹介しました。今回はその続きを書き綴りたいと思います。前回までの落ち込んだ気持ちを180度変える不思議な出来事が起こったのでした。

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何も変わらなかった朝を迎える

お金が返ってこないと分かった次の日の朝。ほとんど日の光の入らない滞在先の部屋で目が覚めました。

「そういえば、俺詐欺にあったんだよな・・」

寝たら変わるかなと思って、寝ても心境は変わらず…やっぱり詐欺も撤退もその時の僕にとっては、どっちも大きなものでした。

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もう!面倒くさい!現実から逃げたい!

2度寝しました。そして、起きたら、時計は朝11時を回っていました。こんなに遅く起きたことは久しぶりで、なんだか自己嫌悪。「こんな遅く起きてしまった・・ちゃんと仕事しなきゃ・・」

重い腰をあげてMacを開き、念のためにメールチェック(もしかしたらオーストラリア人からのメールがきてるかもしれない)。

やっぱり来ていませんでした。やっぱり僕は騙されたのか。詐欺と分かってあきらめようとしても、もしかしたら払い遅れているのかもしてないという少しの未練がありました。

再出発のための小さな仕事

マニラでの再出発。まず僕のやるべきことは、日本で調べてもなかなか分からない、本当にゼロからニーズを見つけることでした。

やはり、この国の教育に詳しい人から、情報を仕入れなければなりません。ミンダナオから再出発で飛び立つ前に、昔スタディツアーで一緒になったフィリピン大学に留学している友人に紹介を頼んでいました。

そこで現地の教育学部や地域開発学部の優秀な教授・学生の連絡先を10人近く入手していたので、今日はアポをいれなければなりませんでした。

そんな簡単な作業。しかしその時の僕にとってみては大きなハードルでした。教授に送るメール。正式な目上の人に送る英文メールの書き方が分かりません。また土地勘もない、近くのスーパーに1人で行く事も困難な中で集合場所をどうするのか。

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過ぎていく時間と罪悪感

詐欺にあったことは切り替えて「早く、メール送らなきゃ・・・」やらないといけないことは分かっていました。ただ、体が動きませんでした。ついつい関係のないFacebookを開くと、ウォールにはYoutubeのリンクがあり、それを観る。気づいたら過ぎている2時間。

「気分転換になるからいいか。これ見たらしっかり切り替えよう」そんな自己正当化をしながらも、時間が過ぎていくことに大きなストレスを感じていました。

「このままではマズい・・」

そんな中で、僕の半年に期待してくれて送り出してくれた、代表のあつさん(税所篤快)と副代表の三輪さん(三輪開人)の顔が思い浮かびました。やらないといけないのに、やれない自分がいて、その大切な存在を忘れようと逃げようとする自分がいました。

もう集中できないから、カフェに移動しよう。昨日夜シャワー浴びれていなかったので、もたもた準備をして家を出たのが、昼の2時すぎ。下宿先に澄んでいる住人のデイビッドに、wifiが使える場所を聞き、移動しました。

移動も一苦労で、土地勘のない道や渋滞する道路、車からは黒い排気ガスが、街に淀んでいました。アレルギー性鼻炎を持っている僕は、排気ガスのせいもあって、体調が最悪で全てにイライラしていました。

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1時間後、やっとのことでついたカフェで開いたパソコン。移動で疲れたから、スポーツニュースをチェックしてからにしよう。プロ野球の情報をヤフーニュースで見る。興味あるところも読んで、別に興味ないサッカーのニュースもついつい読んでしまう。

さっき、気分転換にと食べた日本食のカツ丼のせいか。眠気が襲ってきました、そしてすこしだけ寝る。結果、少しどころか1時間以上、カフェで爆睡していました。

「ああ、なにやってるんだろう・・」

そんなこんなでその日は、全く何もしませんでした。「今日は気持ちのらないから明日やろう。明日はがんばろう・・・」と家に戻り、だらだらFacebookを見て夜更かしして就寝。

絶望の終わりに見た夢

初夏のようで、ただ涼しげな風が吹いていた夕方。福岡の田舎にある、実家の縁側で、一面広がる田んぼを眺めてスマホをいじっていました。

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すると、あつさんが遠くの小道からこっちに歩いてきました。なんでここにいるのか?そんなことも思わない、当然のことのようでした。僕はどうやら待ち合わせしていたみたいです。

あつさんの姿を見つけた時から僕はプロジェクトを進めていない後ろめたさからか、緊張してあせっていました。そして、近づいて僕の隣に座りました。そして真剣な面持ちで、こう聞いてきたのです。

「フィリピンプロジェクトはどう?」

一番聞かれたくないことでした。とりつくろうように、早口で伝えました。頑張って進んでいて、上手くいっているというウソをついていました。それは気持ちが落ち込んでいて、全く仕事をやっていない事実を隠すためでした。

「うまくいってます!これからです!!!」

あせっていました。全て僕の話を、まっすぐな目で見ていたあつさんは、少しの沈黙の後、こう言ったのです。

「秦君に任せなければよかった。なんでカイトさんは秦君に任せたのか理解できない。」

僕の面接を担当した副代表の三輪さんの名前も出して、落胆したように後悔していました。彼は全てを見透かしていました。そういって失望したように帰っていきました。

夢から覚めて、裏切ってしまったことのショックを感じる

ぱっと目が覚めました。動けませんでした。「なんで秦君に任せたのか理解できないか・・」

じっとり汗をかいていました。怖さからくるもの、あせりからくるもの何か分からない。とにかくすごくショックでした。

ずっと小さい時から嫌われることを避けてきた人間でした。どうやったら嫌われないか、その答えは「人の期待を裏切らないこと」。ご機嫌をとりながら周りに迷惑をかけない、そうやって生きてきました。

僕を信じてくれた三輪さん、あつさんを裏切り、嫌われてしまったことがたとえ夢でも、すごくリアルに感じて本当にショックでした。

信じてくれる人を裏切ってしまった。僕に応援してくれた人を悲しませてしまった。それがショックで、ベッドから立ち上がることが出来ませんでした。

こんなことは人生で初めてでした。うそのような本当の話です。「秦君に任せなければよかった。」か・・・  何度も頭をその言葉が回りました。

やばい!やらなきゃ!まだ挽回はできる!

10分くらいベッドからうごけず、ずっと考えていました。こんなに夢がリアルに感じられたのはこれが人生で初めてでした。なんとか夢という事実を自分に言い聞かせました。

「これは夢だ・・」アニメのワンシーンの様でしたが、現実と区別できないほど鮮明な夢でした。そして、時間が経ってふとおちついてきて、その瞬間ひらめきました。

「でもこれ、まだリアルな世界では起きていないじゃん。今からやったら、なんとか挽回できるかもしれない。」

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お金をなくすこと、失敗すること、そんなの大切な人に嫌われるよりマシじゃん!!!!まだまだ、僕は大切なものを失っていない。嫌われてない!今までの悩みが本当に小さなことに思えました。

そして、マニラプロジェクトの本当の再スタート

すぐに起きて、パソコンを開きました。

Googleで「英語 メール アポイント」と検索。そして日本語で文章を考えたり、例文をコピペしたり、消したり。試行錯誤しながら、作り上げました。そして、一気にメールを送り続けました。

気づいたら、全て送り終わっていました。返信がくるかと不安な気持ちもありましたが、気持ちは晴れ、後ろめたさがなくなった心の軽さがありました。本当にラッキーだった。そう思いました。

もう、過去のことは忘れよう。カフェに行って、もう1回、日本にいた時みたいに、計画をじっくりつくろう!すぐに準備して外にでました。

外は晴れていていました。そして、その日、初めてこの国で、ハイビスカスっぽい花を見ました。僕の住んでいる真向かいの門の上に咲いてました。南国っぽいなと思いました。

それは下を向いていたら気づかないものでした。僕はついてると思いました。前に進むしかない。本当の再スタートがここから始まりました。

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