OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こんにちは!e-Educationミンダナオ島プロジェクト担当の佐藤建明です。「教育開発」という夢を掲げ、フィリピンのミンダナオ島にて映像授業を活用した教育プロジェクトを展開しようと奮戦しております。

前回の記事では、当初プロジェクトがとても順調に進んでいたことをお話いたしました。とは言え、いつも追い風というわけにも行かず、今回は僕がいつしか犯していた「失敗」と、その「失敗」をどう立て直したかについてお話させていただければと思います。

SPONSERD LINK

秦くんのe-Educationに対する覚悟

プロジェクトが始動して2週間、至極順調に進んでいたかに思えたミンダナオ島プロジェクト。事が起きたのは、ある公立高校でのアンケートを終え、3人で今日の反省がてら夕食でも取ろうという時でした。

パートナーの秦くんがこう切り出したのです。

僕は、本当に子どもたちのためになるなら、このe-Educationに命を懸けてもいいと思っている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

真剣な眼差しで授業を見つめる秦くんと沖本さん

プロジェクトをとにかく前へ進めることに夢中になっていた僕は、一方で日々曇っていく秦くん、沖本さんの表情を見ながら耳を傾けました。

今僕たちがプロジェクトを実施しようとしている高校にニーズはない。もっともっとローカルな視点でニーズを見出すべきだと思う。」と秦くんは言いました。

現地において、本当に必要な授業とは?

プロジェクトを進めていく上で、当初アモール博士と僕が協働しながら考えていた「初期の実施案」は、以下のようなものでした。

「まずはアモール博士が学長を務める私立高校でトライアルを実施。そこで成果がでれば、博士が立ち上げ予定のドロップアウトを対象としたオープンハイスクールプログラム(OHSP)とコラボし、e-Educationプロジェクトを本格始動するというもの」

ミンダナオ島プロジェクトの本当の対象はドロップアウトした生徒たちです。勉強したくても、貧困や病気、妊娠、虐待などの理由で正規教育過程から脱落せざるを得ず、OHSPを活用してなんとか勉強を続けようとするIndependentな生徒たち。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プロジェクトに生じた「ねじれ」

ところがこの「初期の実施案」でまず最初にトライアルを行うのは、私立の高校に通える、いわば「中流階層家庭」の生徒でした。

仮に通常クラスに通う生徒を対象とするトライアルで、映像授業の成果を図ることができたとしても、果たしてそのコンテンツでドロップアウトの生徒にも同様に効果的な学習機会を提供できるかはわかりません。

私立高校に通う生徒とドロップアウトした生徒では習熟度が異なるのは当然のことですから。

僕はプロジェクトを前へ進めることに注視するあまり、目の前の生徒が「どんな授業を本当に必要としているのか」という当たり前な視点をいつの間にか欠いていたのです。

プロジェクトの再出発に向けて

さらに秦くんはこのように続けました。

「僕は今回e-Educationプロジェクトに参画するにあたって、残りの学生生活も貯金も全て懸けるつもりでいる。そして僕自身成し遂げたい夢がある。僕はマニラのスラムに行くよ。

秦くんの真剣な姿勢と覚悟を聞き、僕はもっと現地に根ざしたより「ローカル」な視点を持ってプロジェクトに臨むべきだとあらためて気づくことができたのでした。

後日、学業のために沖本さんは留学先のフィリピン大学があるマニラに戻りました。さらにその約1週間後、スラムでe-Educationを実現するため秦くんもマニラに向かったのでした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

マニラへと出発する秦くん(右)

ただその間、僕と秦くんはさらに現地での学校訪問や聞き込み調査を続け、何度も議論しながらプロジェクトコンセプトやスキームを一から練り直しました。

そして秦くんがマニラに向かった翌日、一から出直した僕は、現地の公立高校で既に実施されているOHSPを飛び込みで訪ねたのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて、現地に根ざしたより「ローカル」な視点をあらためて意識し、プロジェクトの再スタートを切ったミンダナオ島プロジェクト。次回は飛び込みで訪ねたOHSPにおいて確信したローカルニーズと、新たな素晴らしい出会いに関してお話させていただけたらと思います。

本日もご愛読くださり誠にありがとうございました!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

SPONSERD LINK