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こんにちは、マニラプロジェクトマネージャーの伊藤聡紀です。現在マニラで大学受験用コンテンツを届けるため日々走り回っています。

前回の記事では、撮影と同時進行で進めていた、長い長い編集作業について書きました。今回は、その後の授業を実施までについて書きたいと思います。

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現地パートナーの強力を得て、加速目前での思わぬ落とし穴

ようやく編集作業も一段落が着き始めた5月末、いよいよ実施に向けて学校へ訪問し具体的な実施日程を決めていこうとしていました。

秦君がニーズ調査を終え、3月の時点で4校をピックアップしてくれていたため、その高校にフィリピン大学の院生と訪問する予定でした。彼はマニラに着いてすぐにフィリピン大学に張った、パートナー募集のチラシを見て連絡してきてくれた人でした。

この時の自分はコンテンツの完成も間近に迫り、さらに協力者を得ていたため心の中でこのままプロジェクトを一気に加速させていけると考えていました。

訪問前の打ち合わせも一通り終わり、いよいよその2日後から各校を訪問する事に。「契約書はおれが作ってあげるから任せて」と献身的なことを言ってくれていたため、その人に完全に頼り切っていました。

しかし、訪問日の朝のことです。私は不安な面持ちで携帯の画面を何度もチェックしていました。実は約束の時間が過ぎていたため何度も電話してたのですが返事が無かったのです。

いつものように遅れてやってくるかもしれない、そう願いながらもう少し待つ事にしました。それから、1時間が経ってようやく1通のメールが届いたのです。

「どうしたの?」

あまりにも予想外の返信に驚きながらも、その日が約束の日であること、契約書の件などをメールしましたが、その返信を最後に彼からの返信が届く事はありませんでした。

期待を裏切られたことに対しての失望と、彼の言っていた協力というのがこんなものだったのかという拍子抜けに似た気持ちでいっぱいになりました。

このときの私は、さすがに笑うしかありませんでした。自分の中で描いていたその後のプロジェクトのビジョンが簡単に崩れ去り、それがただの妄想へと変わったことで自分の愚かさを痛感していました。

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失意の中に差し込んだ一筋の光

パートナーになってくれると思っていた人から突然連絡が無くなってからしばらくしても、そのことを引きずられずにはいられませんでした。

それでも目の前に迫っている授業実施日までになんとか実施予定校と話を付けなければならなかったため、落ち込んだ気持ちを自分で鼓舞しながら何とか契約書や実施予定表など打ち合わせに必要な書類を作っていました。

しかし、この地で知り合いがゼロの状態でスタートしてから、気付けばいつの間にか約1ヶ月が経過。それまでは孤独感とは無縁だと思っていましたが、この時初めて自分と同じ目線で分かってくれる協力者が現れてほしいと心の底から願っていました。

この状況からなんとか抜け出さなければこれから円滑に進めていく事が難しくなると容易に想像できたため、じわじわとプレッシャーを感じ始めていました。そんなとき救ってくれたのは前任の秦君の一言でした。

「僕の人脈でも何でも使っていいからとにかく会ってみなよ。」 こういう状況が起こる事が分かっていたかのように、秦くん本人は笑っていました。

誰かの助けが欲しいという気持ちがあり、とにかくその言葉を信じてやれるだけの事はやってダメだったらそれからまた考えよう、と無理矢理気持ちを切り替えて、秦君の知り合いに片っ端から連絡を取る事に。

そして、この行動が今まで散々だった自分に少しの運を引き寄せました。ほとんどの人から返信が無くまたしてもダメかと半ば諦めていた時、フィリピン大学の教育学部に通うパトリックという学生から「明日なら空いてるよ」と返信をくれました。

翌日待ち合わせ場所には、「こんにちは」と片言の日本語を話す彼が現れました。日本刀に似せて作られた傘も持っていたので話を聞いてみると彼は日本のアニメが大好きなオタク学生でした。

日本の事が好きという事で話も盛り上がったあと、そろそろかと今のプロジェクトの状況、先日起きた話を切り出し協力してほしいという事を伝えました。始めて会って協力してくれなんて言っても良い顔をしないだろう、とダメ元で聞いたのでその返事には驚かされました。

「Easy!」

予想外の返事に少し時間がたって嬉しさが込み上げ、思わず日本語で「ありがとう!」と言っていました。

そして、パトリックと出会ったこの時からいよいよ本格的に授業実施のため予定校への訪問をスタートすることになるのですが、一難去ってまた一難。実施までにまだまだ乗り越えなければならない問題が立ちはだかっているのでした。

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学生ボランティアで授業を教えるパトリック

次回は、実施交渉のために訪れた各高校での出来事について書きたいと思います。来週もフィリピンからの活動報告をお届けしますので、引き続きよろしくお願いいたします!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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