「援助に充てるお金がない?それなら印刷しよう」
そんな、一見とんでもない方法で国際援助の額を増やそうとしているのが、米国大手金融機関ステート・ストリートのシニアマネージャーであるMichael Metcalfさん。
果たして、Metcalfさんの唱える”Print Aid”とはどのような仕組みなのでしょうか?
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援助のためお金を印刷する”Print Aid”という仕組み
どうすれば各国の援助額は増えるのか?こんな疑問に対して、Metcalfさんが出した答えは、国が援助のためにお金を印刷する”Print Aid”という仕組みでした。
Print Aidの仕組み自体は単純で、要するに各国の中央銀行は援助のうち一定額(例えば援助額のうち半分)を、紙幣を印刷することによってまかないましょうということ。この仕組みによって、各国の政府がより援助に対してお金を出しやすくなるというわけです。
インフレは起こらない?
しかし、紙幣を印刷すれば、それだけ紙幣1枚当たりの価値が下がり、結果としてインフレを招くというのが経済学の定説です。
このような懸念に対してMetcalfさんが示したのは、リーマンショック後に各国政府が行った史上類を見ない規模の量的緩和政策とインフレ率の関係でした。
この量的緩和政策の中で、アメリカ、イギリス、日本の3ヵ国が印刷した紙幣の合計金額は約370兆円。これは、現在世界で流通しているドルの合計額の約3倍に当たります。
ところが、このような史上最大の量的緩和政策にも関わらず、この3ヵ国でインフレは起こっていません。
Print Aidによる紙幣の鋳造は相対的に小さい
それでは例えば、アメリカ、イギリス、日本でPrint Aidが実施された場合、どのようになるのでしょうか?仮にこの3か国が、過去4年間の援助額と同額だけ紙幣を印刷したとすると、上のグラフのようになります。
右の黄色い線が量的緩和政策によって印刷された紙幣の合計額370兆円($3.7 trillion)を、左のオレンジ色の線がその額にPrint Aidとして追加で印刷される20兆円($200 billion)を追加した合計額を示しています。
370兆円に20兆円が足されたところで、大きな違いはないということがお分かりいただけるかと思います。
まだまだ不確定要素も多い
つまりは370兆円を印刷してもインフレが起こらなかったのだから、20兆円ぐらい追加で印刷しても問題ないだろう、というのがMetcalfさんの主張。しかし、Print Aidを実際に行った場合はどうなるか、まだまだ不明な部分が多いのも事実です。
世界の問題を解決するには、Print Aidのように今まだの常識からでは考えられなかったような方法が必要なのかもしれません。
Michael MetcalfさんのTED Talkもぜひ合わせてご覧ください!
[TED]
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