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「留学」と聞いて、皆さんは何をイメージしますか?
英語力を伸ばすことや、海外の大学で勉強することでしょうか?

トビタテ!留学JAPAN」という官民協働の奨学金制度を活用して留学する学生たちは、渡航先も、期間も、留学内容も、すべて自分でデザインした留学を経験します。

今回は「トビタテ!留学JAPAN」を活用して世界に飛び立った、約170名のトビタテ生による第3回留学成果報告会についてレポートします!

トビタテ!留学JAPANとは?

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文部科学省による官民協働の留学支援キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」。返済不要の奨学金や研修を通して、学生の留学を支援する制度です。

若者の自由な海外チャレンジを支援し、グローバルな課題解決型人材を育てるために、2020年までに1万人の高校生・大学生を海外に送ることを目標としています。

トビタテ!留学JAPANには、次の6つのコースがあります。

  1. 理系、複合融合系人材コース
  2. 新興国コース
  3. 世界トップレベル等大学コース
  4. 多様性人材コース
  5. 地域人材コース
  6. 高校生コース

留学するテーマに合わせて自分にあったコースを選ぶことができます。すでに4000人以上の学生がトビタテ!留学JAPANを活用して海外に飛び立ちました。(2017年9月現在)

そして9月8日に行われた第3回留学成果報告会には、海外に留学した高校生から大学院生までの約170名が参加し、会場では多くのトビタテ生の話を聞くことができました。

今回は、主に途上国を舞台に活動したトビタテ生たちの挑戦をご紹介します!

トビタテ生たちの途上国での挑戦

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新興国コースのプレゼンテーション会場の様子

プレゼンテーション会場では、支援企業の方々やメディア関係者を含む多くの方々が、トビタテ生の活動報告を熱心に聞いていました。

第3回留学成果報告会は、前半部にプレゼンテーション、後半部にポスターセッションという構成。ここからは、7名のポスターセッションの展示作品およびプレゼンテーションの内容を紹介していきます!

①日本を代表する庭造りのエキスパートを目指して

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アルゼンチンに留学した佐藤嵐さん

佐藤さんは、サボテンと多肉植物の農家でインターンシップをしながら、南米の植物調査や視察を行いました。

留学後には大好きな植物とどのように関わっていきたいか悩みましたが、北海道のガーデンの研修生として働くという新しい一歩を踏み出しました。植物への情熱が溢れ出るプレゼンテーションがとても印象的でした。

②日本とツバルの架け橋へ

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ツバルに留学した内藤瞳さん

内藤さんは、「育児の社会化」の実例を学ぶ保育留学を経験しました。社会全体で子どもを育てる文化はどこから来るのか?という疑問をもとに、調査を行いました。

日々多くの発見と影響を与えてくれたツバルの素晴らしさを日本人に知ってほしいという思いから、将来は日ツ交流のハブとなるゲストハウスを現地で作るそうです。帰国してからも、ずっと関わりたいと思うくらい留学先の国が大好きになるなんて素敵ですね。

③人々が能力を認めいきいきと働ける社会へ

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グアテマラ・パラグアイ・メキシコに留学した望月ゆうさん

望月さんは、中南米3カ国でJICAの活動見学や現地のNGO訪問、日系企業でのインターンシップを経験しました。

そこで、草の根レベルの国際開発には持続性の面で限界があること、また、ビジネスを通じた国際開発には持続性はあるが、労働環境や雇用条件に課題があることに気付きました。

留学での気付きを生かして、将来は人々がいきいきと働けるような人事制度の仕組みを作り、大好きな中南米の発展に貢献したいそうです。

④ソーシャルビジネスでフィリピンの貧困をなくしたい

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フィリピンに留学した大野雛子さん

大野さんは、大学1年生の時に初めて訪れたフィリピンで貧困を目の当たりにしてから、持続可能なソーシャルビジネスの力で貧困をなくしたいと考えるようになりました。

留学中は、現地の若者とともにTシャツを使ったビジネスを始め、現地の若者がお金を得る仕組みを作ることに成功しました。それだけでなく、ビジネスを通して一緒にやってきたメンバーにも変化を与えることができました。

今までタバコを吸ったりお酒を飲んだりして1日を過ごしたメンバーが、学校に行って勉強するようになったり、クリエイティビティを発揮して生きがいを求めるようになったのだそうです。

「貧困とは、お金がないことではありません。選択肢がないことが本当の貧困です。」と語る大野さん。将来は、貧困層からビジネスを創り出し、彼らが人を雇用できる世界を実現したいという熱いメッセージが印象的でした。大野さんは、第3回留学成果報告会で優良賞を受賞されました。

⑤カンボジアでの新しい文化交流のカタチ

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カンボジアに留学した小牧陽輔さん

小牧さんは、カンボジア日本人材開発センターで半年間インターンシップを行いました。留学中は、JICA や外務省などの公的機関に加え、80以上の民間企業や団体を巻き込み、「Japanese Prefecture Exhibition」と題したカンボジア史上最大の日本展覧会を実現させました。

成功に終わった展覧会ですが、実は企画の準備途中に現地メンバーから「写真展はカンボジアの文化には受け入れられない」と言われたそうです。そんな時、カンボジア人は日常的にセルフィー(自撮り)をしていることに気付き、セルフィーを通じた体験型の日本展覧会をすることにつながりました。

文化の違いから生まれた困難を、現地の人に寄り添った生活をすることで乗り越え、そしてチャンスに変えるという力強いプレゼンテーションでした。

⑥大好きな絵の力でソーシャルアクションの実践者へ

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タイに留学した野澤智媛さん

子どもの貧困について研究している野澤さん。隅々まで工夫がなされている素敵なポスターが印象的ですね!

「子どもたちの可能性を狭めている複雑な要因の鍵となるのは社会的合意形成だ」と考え、山岳少数民族に関わる活動と広報に尽力するタイのNGOミラー財団でインターンシップを行いました。

タイで目の当たりにした買春や貧困の現場と、それに対する現地の人々の捉え方に衝撃を受けた野澤さん。一連の出来事を通して、現実や原因を伝えるだけでなく、意識に働きかける広報の重要性に気付いたそうです。

将来は、わかりやすく面白いと思ってもらえるような工夫を凝らした絵の力によって、社会に存在する問題に気付きと打破を促すようなソーシャルアクションの実践者を目指しています。

⑦世界の多様な教育現場での学びを日本の中高生へ

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フィリピン・タンザニア・オランダに留学した鈴木健太郎さん

教員を目指す鈴木さんは、課題が山積する日本の教育現場に求められる理想の教育モデルを探究するために3地域の教育現場をまわりました。

日本の教員志望の学生を対象にした留学プログラムの開催や、授業マニュアルの作成など、各地域で現場を巻き込みながら活動する中で、2000人を超える子どもたちと先生に出会いました。

帰国後はトビタテ!留学JAPANの仲間と共にBeyond schoolを立ち上げ、留学を経験した学生を中学・高校に派遣して、中高校生に多様な選択肢とロールモデルに出会う場を提供する活動を行っているそうです。自分自身が教育実践者となって、誰もが自分色に輝ける社会の実現を目指しています。

最優秀賞の栄冠は…?

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各学生のプレゼンテーションとポスターセッションの後には、各教室から審査員によって選ばれた代表学生によるプレゼンテーションがホールで行われました。

特に優れた発表を行った留学生が表彰され、最優秀賞と優秀賞の受賞者が選出されました。

【最優秀賞】パリから「輪島塗」を世界へ発信(桐本滉平さん)

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最優秀賞を受賞した桐本滉平さん(日本大学4年)

第3回成果報告会で最優秀賞を受賞したのは、フランスに留学した桐本滉平さん。パリで日本文化を発信する丸若屋でインターンシップを経験し、実家である輪島塗「輪島キリモト」と、フランス市場に向けた商品を開発しました。現地のニーズを調査して販売戦略を行った結果、漆器の売上を中心として最高売上記録を達成しました。

「Made in Japan」から「Made with Japan」

日本が持つ伝統技術の可能性を最大化するためには、日本の技術を海外の文化と融合させることが重要だと気付いた桐本さん。この留学は、将来日本の伝統工芸を牽引するリーダーになるための大きな一歩となりました。

【優秀賞】深層学習によって人間の共感を促進し、世界から争いをなくす(佐久間洋司さん)

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優秀賞を受賞した佐久間洋司さん(大阪大学3年)

そして優秀賞を受賞したのは、カナダとアメリカに留学した佐久間洋司さん。トロント大学で深層学習の最先端の理論を学んだ後、Panasonic Silicon Valley Labで産業界への応用の最先端を学びました。

留学を通して、自分にとって深層学習それ自体は目的にならず、その強力な手段によって実現される世界に貢献したいという思いを再認識したそうです。将来は人間の共感を促進する研究によって実現される、争いのない世界を目指したいと語りました。

まとめ

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第2回留学成果報告会に引き続き、第3回留学成果報告会でもトビタテ生たちの熱意あふれる発表を聞くことができました。ますます発展を続ける「トビタテ!留学Japan」、そして海外へ飛び立ったトビタテ生たちの成長は、日本の産業界にとって大きな財産になるのだと実感しました。

一人一人のトビタテ生が熱い思いを持って海外に飛び立ち、将来につながる多くの気付きと学びを日本に持って帰ってきていました。

トビタテ生に共通していたのが、予定していた留学計画がうまくいかない時に、自分なりの改善案や解決策を考えて新たな突破口を見出すこと、そして帰国後にすでに次のアクションにつなげていることでした。情熱を持ち、主体的に行動するトビタテ生がとても心強く感じられました。

彼らの今後の活躍がとても楽しみです!

そして現在は8期生を募集とのこと。気になった方は是非応募してみてくださいね!

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