みなさんこんにちは!e-Educationの古波津です。
今日は皆さんに嬉しい報告があります!ついに、ハカの公立校の通常授業で本格的に映像授業の導入が始まりました!
2013年からミャンマーでプロジェクトを開始して早4年。これまで村で運営されている寄宿学校など、先生が不足している学校や自習時間といった授業の無い時間帯でのみ活用をされてきたe-Educationの映像授業ですが、8月下旬、ようやく公立校での取り組みが開始しました。
“ようやく”という言葉にたくさんの想いを込めたいくらい、今回の取り組みは個人的にぜひとも知ってもらいたく、今回は記事にしました。ぜひ読んでもらえると嬉しいです!
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今年の6月、前途は多難だった
6月と言えばミャンマーの学校では新学期が始まる月です。
昨年までの経験から「e-Educationがもっと現場で必要とされている支援を行うためには?」「どうやったらより多くの教育機会を求める子どもたちに対し支援が実現できるのか」を何度も議論してきました。結果たどり着いた答え。それは“公立校での支援の開始”でした。
公立校で導入出来れば生徒にとっては定期的に映像授業をしようしてもらえる学習環境をつくることが出来、先生の指導力を伸ばし、また定期的なモニタリングから映像授業によるインパクトを正確に計測できることが可能になると考えたのです。
また、長期的に事業を拡大する上でも、公立校での導入モデルが出来ることで他の公立校への展開、その他州への展開も可能になると踏んだのです。
ただ、公教育で導入するには教育省からの許可が必要でした。
「よし、そうと決まれば導入に向けて教育省、学校側と話すぞ!」
そう意気込んだものの、現実はそんなに甘くはありませんでした。
当初取組みを予定していた学校で議論が難航
6月、新学期はじめ。当初モデル校として取り組みを予定していた公立校を訪問しました。事前に校長先生からも取り組みをお願いしたい、との言葉を頂いて安心をしていたのもつかの間、教科担当の先生方からの反応は芳しくありませんでした。
「私たちはこれまで生徒の指導をしてきた自信もある。生徒の力を信じている。映像授業を導入することで生徒が混乱してしまうのではないかと心配なの。」
その学校の高校卒業試験の合格率も10-20%と、とても高いものではありません。先生たち、生徒たちの力になりたい。そう思って臨んだ協議も、彼らの想いをうまくつかむことは出来ず、一旦持ち帰りとなってしまいました。
思わぬきっかけ
「どうしたら力になれるだろう?」
ネガティブな反応をされてしまった高校で、どうしたら受け入れてもらえるだろう。仲間と散々議論を重ね、いくつか案をもって、教育省と面談を進めることになりました。
チン州教育省ではこの5月、教育省のトップが交代になりました。前任者はプロジェクトの導入を好意的に受け止めていたけれども新任者はどうだろう・・・。
緊張の中臨んだ面談では、今回訪問した学校での反応や、今後の取り組み案を提示させてもらい、教育省の方々の反応を待ちます。
「それなら、今年初めて高校卒業試験を受ける生徒が通う高校が出来たから、そこでならもっと可能性があるかもしれませんね。校長先生との打ち合わせをアレンジましょう」
プロジェクトがいよいよ動き始めました。
ついに、公立プロジェクト校が決定!
紹介をされた学校の校長先生、教科担当を訪ねての訪問。その学校はもともと小学校として始まり、2015年までは中学校までの教育課程しかありませんでした。しかし、去年初めて高校生が入学し、今年初めて高校卒業試験を受験する生徒が誕生するのです。
前年度までの高校卒業試験実績も無ければ、現在高校生を教えている先生ももともとは郊外の村で小学生、中学生向けに先生をしていた方たちばかり。受験科目全てに専任の先生がついているわけでもなく、ぼくたちが訪問した時にも英語の先生が物理の授業も教えている、という状況でした。
一度別の学校で断られていることもあり、少々不安を感じながらも、e-Educationプロジェクトがどう学校の、先生の、生徒の力になりたいのか。どんな形であれば協力できるのか、一方通行ではない、先生の意見を聞きながら一緒に協力の形を創っていきたいと、協議を行いました。
真剣な表情でこちらの話を聞いてくれた校長先生。
「ぜひ、一緒にやりましょう!」
そう言ってくれた言葉に、ガッツポーズを隠せませんでした。
別の公立校での協議の末、喜んで導入したいとの合意を得ることが出来ました
実際、プロジェクトを開始するにあたり、先生方からも要望を頂きました。
これまでDVDで届けていた映像授業では、学校に設置をしてあるパソコンからしか視聴が出来ない。映像授業を流す前に自らの空いている時間に確認できるようにしたい。そんな要望に応えて携帯電話でも視聴できるようにデータを圧縮、学校以外でも、先生がいつでも好きな時に授業研究が出来る体制をつくることが出来ました!
携帯でも映像授業の視聴が可能に
それだけではありません。映像授業を導入するにあたって、初めての先生たちでも安心して導入できるように、映像教材を導入するにあたっての教員研修も実施しました。
分からないことばかり、それでもひとつづつチームで進める歩みに、先生たちも期待を膨らませていました。
プロジェクト校の先生たちへ、映像授業の活用に関しての研修を実施
初めての研修、期待と不安でいっぱいな先生たち
ついに、チン州の公立校で初めての映像授業の導入が実現!
プロジェクターやパソコン機材の搬入も終えた8月下旬、ついに、ミャンマーで一番貧しいとされるチン州の公立校で初めてとなる映像授業の導入が開始しました!
ついに!ハカの公立校で初めて映像授業が導入
初めての映像授業に、生徒たちも真剣です
今年度からパイロット校として取り組んでいるこの学校では、先生たちもハカ郊外の村(村に高校はない)の出身で、小学校・中学校でしか教えたことがなく、当初話を聞いた際には高校生に授業を教えることに不安を感じている、との声がありました。
しかし、携帯で映像授業を見れるようにすることで授業前に教え方を学び、「もう教えることは怖くない!」と思ってくれるまで自信を持って授業に臨んでくれています。生徒は映像授業で指導法を学んだ先生の授業と、映像授業の両方を見ることで一貫した指導のもと理解を深めている様子。映像授業を見た生徒の反応は「面白い!家に帰りたくない!」とまで言っているそうです。
これこそ映像授業の一つのインパクトですね!ここから映像を届けるだけでなく、どう本当に教育的なインパクトを創っていくか、映像授業の価値を最大限発揮するための学習環境づくりをチームで創っていきます。
これからのe-Educationミャンマープロジェクトの続報に、こうご期待ください!
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