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こんにちは、マニラプロジェクトマネージャーの伊藤聡紀です。現在マニラで大学受験用コンテンツを届けるため日々走り回っています。

前回の記事では、実施先校決定のために学校を訪問し実施校が決定したところまで書きました。今回は、プロジェクトを進める中で改めて知ったフィリピンの教育課題と、その後の授業実施について書きたいと思います。

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肩を寄せ合いながら授業を受ける生徒たち

フィリピンが抱える教育問題

今年映像授業の実施が決定したのは、フィリピンの首都マニラのケソン市に位置するイスマエル・マサイ、バララ、ベルモンテ、パルマ高校です。フィリピン大学(以下 UP)の主要キャンパスであるディリマンキャンパスの近くに位置するこの4校では、受験熱も高く大学を目指す生徒が大勢います。

しかし、その中でもUPに合格する生徒はほんの一握りで、各公立高校からは合格者が出るかどうかという状況です。予備校に通える生徒はほぼ皆無で、大学に行く場合には自主的に勉強する必要がありますが、受験に対応した問題集は生徒にとって高くて買えません

これまでプロジェクトを進めながらヒアリングをしていると、フィリピンの教育の現状を知る機会が何度もあり、驚かされる事があります。例えば、公立高校と私立高校の生徒を比べると、公立高校では、生徒が多いために一人ひとりに対して細かい授業を行えないのです。

フィリピンでは20歳以下の人口が全体の40%という、日本では考えられないような若者国家であり、その大半が公立の学校に通っています。そのため、私立高校の全校生徒約1000人規模に対して、公立高校では約3000~5000人と圧倒的に生徒数が違います。

公立では、毎朝6時から昼12時までを高校、1時から夜7時までを小中学校のように2部制に分けて授業を実施し、なんとか回っているような状況です。

どこも1クラス60人規模というのが普通で、授業の様子を見ると生徒は机と椅子が一緒になった席に座り、友達と隣り合わせになって授業を受けています。

私立と比べると先生不足も相まって当然一人ひとりに受験対策をする事はできません。また、公立高校の生徒達にとって受験以外にも大学合格後の学費も大きな負担です。

各大学で奨学金制度を利用出来ますが収入に応じた奨学金制度が備わっていない大学もあり、経済的な負担はどうしても避けられません。

UPは他の大学と比べても貧富に関係なく、広く門戸を開いています。しかしながら、それでも今年の3月には奨学金制度が実際の現状と噛み合わず、授業料が支払えなかった生徒が自殺するという事件が起こりました。

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バララ高校

私が当初想像していたよりも生徒たちはハンデを抱えています。だからこそ、彼ら彼女らに初めてプロジェクト紹介をしDVD授業の説明した時の光景は忘れられません。

「本当に無料で良いの?」「学校で受験対策ができるの?」「ありがとう!」などの声が上がります。

正直今まで上手く行かないことや辛いことが何度かあり、気持ちが落ち込んだ時もありました。しかし、その経験もこの言葉で今までの疲れが一気に吹っ飛んでしまいました。そして、なんとかUPに合格させてあげたいという気持ちが一層強くなったのです。

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ベルモンテ高校

授業はスタートも、予想外のハプニング続出!

4校での細かいスケジュール調整も終え、同時進行で進む事になりました。気合い十分で6月上旬からスタートし、映像が映ると生徒はノートを取り、真剣な眼差しで画面の向こう側の先生を見つめています。

まさに日本でも見たこのある光景がここマニラにも。どの学校でも順調な滑り出しで、授業は何の問題も無くこのまま順調に進んでくれと願っていました。しかし、私の悪い予感は見事に的中し始まってすぐにトラブルが起きます。

「DVDの声が小さくて聞こえないよ」

「途中でスピーカー壊れました」

「今日は休みなんじゃないの?」

4校で実施していると設備状況もバラバラ。他の学校では問題なくても、その学校ではDVDの声が小さくて授業が聞こえなかったり、スピーカーが壊れ、急いで代わりのものを準備したりと対応に追われました。

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パルマ高校

また、ミスコミュニケーションもあり、時間通りに行けないから自分たちで先に始めておいてほしいと伝えたはずが、生徒は休みと勘違いして自主休講になってしまったことも。まだまだ英語力に難がありな生徒たちに上手く伝わっていなかったのです。

問題に対応しつつ、映像授業という名のレールを引く

その後も設備面のハプニングが何度か起こり、その度に自分のパソコンを使ってカバーしたり、パソコンルームから代用出来そうな機材を使いました。これまで山あり谷ありでもなんとかここマニラにも映像授業実施というレールを引くことができました。

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マサイ高校

これからは、UPCAT(対UP用試験)に向かってどれだけ生徒を加速させる事ができるのかということに注力する事になります。

今はまだ走り始めてゆっくりですが、生徒たちが全力でUPCAT合格というゴールに向かってくれるよう私も全力で走り続けようと思います!


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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