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皆さんこんにちは!アフリカ、ルワンダでe-Educationプロジェクトを進行中のドガです!

前回の記事では、「ICT教育」という僕らの活動している2つの分野での国際会議に飛び入り参加し、最後に出会った教育省のもう一人のアレックスとの出会いについて書かせて頂きました。

今回は、IT立国を目指すルワンダの思わぬ現実とe-Educationの可能性、そしてもう一人のアレックスとの約束事、そして最高の出会いについても触れたいと思います。

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「ICTと教育」の問題点とは

ICT教育は、現在ルワンダ政府が一番力を入れている分野と言っても過言ではありません。

大統領のカガメ氏が2000年に「Vision2020」という政策目標を提言。そこには2020年までにICT技術を飛躍的に進化させ、全ての分野に役立たせるというゴールが大きく書かれています。

政府内にも「ICT教育大臣」というポジションがあるほど、ICTを教育に入れ込む政策には力を入れています。まずは学校にコンピュータを設置し、インターネット回線を引くことから始めました。

当初はそれで学校の生徒と先生は満足していたものの、2年ほど前から「Unintended Consequence(予期せぬ結果)」とよく呼ばれる問題点がだんだんと浮き彫りになってきたのでした。

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政府が支援している公立校と、多少裕福な家庭の子供たちが通う私立校にICT教育は導入されていきました。

以前も申し上げたと思いますが、ルワンダで教育を受けている約80%の子供たちは農村・地方で過ごしています。そのため、首都キガリから離れた公立校に上記の政策が、まだあまり行き届いていないのが現実です。

つまり、都市部では政府の方針のもと学校教育でのICT化が進んでいるが、農村部ではそこまでまた至っていない。その「教育格差がICT教育によって広がる」という問題点をうまく解決しようとするのが、e-Educationプロジェクトだと信じています。

都市部の生徒たちはコンピュータの導入によってさらに教育の質が上がるけれども、農村部のコンピュータの無い子供たちにはそれができません。

だったら「国の最高の先生をビデオに撮って、それをDVDに焼いて、プロジェクターなどで農村部の生徒達に見せる事ができれば、都市部にいようが地方にいようが、いつでもどこでも質の高い授業を受けられることができるじゃないか!」

パートナーのアレックスと共に、そう確信しました。

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“もう一人のアレックス”の要望

先日の「ルワンダIT教育国際会議」の最後に出会った、ルワンダ教育省のe-Education交渉担当長官の右腕“もう一人のアレックス”。出会って以来、メール上で、e-Educationが長官から活動許可を得るためにしなければならないことを聞いていました。

長官からe-Educationに対して、たくさんの用件を出してきました。予算は最低200万円、最高の先生の選定はどうするのか、メンバー全員の履歴書を提出しなさい、などなど、正直自分もまだルワンダに来て2週間も経っていないのに既に萎え始めていました。

さらに、文面から察するにどう見ても、過去に大きなミスを犯し、大きな信頼をルワンダ政府から失ったe-Educationに活動許可を与えるハードルはとても高いように思えました。

クオリティ担保のため、撮影はプロに任せる

その中でも、特に面倒で大変だったのは「最高の先生を撮影するクオリティを上げて下さい」という、政府がe-Educationに許可を出すための条件。自分は今までの短い人生から、撮影やビデオに関する知識は何もありませんでした。

他の東南アジアでのプロジェクトでは、全て現地コーディネーターが自前のビデオカメラで、先生の授業を撮影。しかし、今回は「撮影するカメラマンの履歴書も下さい」と言われるほど、相談する前から撮影は全てプロのカメラマンにお願いするのが当たり前という雰囲気でした。

コストがさらにかさむだけでなく、どこからどんなカメラマンチームを引っ張ってくればいいのか。自分は本当に無知でした…。

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すべては人との出会いに感謝

今回、僕のルワンダでの最初のミッションが「政府から活動許可を得る」というものでした。

そこで、教科書通りに交渉に挑むよりも、トップダウンの国の現状からして、誰か“キーパーソン”になれるような人を捜した方がスマートに物事が運ぶだろうと考えました。

そこでキーパーソンを見つけるコツとして思いついたのが、「そのような人が行きそうな場所に自ら足を運ぶ」というメソッドです。

例えば、僕はルワンダでシャワーが水、そして週に4回は断水するという家に当初住んでいました。そこで、近くの少しお金持ちの人が通うようなサウナにたまに行って、そこで日頃の汗を流し、シャワーを浴びていました。

そこである日、クリスさんというほぼ毎日このサウナに来ているという人と話をしました。

自分がe-Educaitonというプロジェクトをやっていて、現在その撮影することで悩んでいるということを伝えるとクリスさんは、「それは俺の得意分野だ。実は自分はここで映画監督をやっていて、撮影の仕方、人選び、編集まで全てにおいて、ルワンダで俺より知っている人はいない」と断言。

話を聞くと、クリスさんはルワンダのメディア業界で知らない人がいないほど有名で、フランスでずっと教育を受け、フランスのメディア系の大学を出て、現在は大手ビデオ会社経営者という強者でした。

ドガ、誰かに見せるためのビデオ撮影をする時に一番大切なのは、まず視聴者の目線にたって、視聴者がどうやったら退屈しないで見て勉強できるかだ。これを考えた後に、どの会社を使うかどうかを決めるべきだ。

という最高のアドバイスを下さいました。その場で(サウナを出て)電話番号を交換し、首都キガリ市内のやり手カメラマンチームをいくつか紹介してくれました。

それ以来、僕はクリスさんのことを「ルワンダの宮崎駿」と呼んでいます。

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だんだんと見えてきた明るい兆し

クリスさんというこれ以上ない「撮影のプロ」に出会えたことで、プロジェクトの許可を政府が出してくれるまでのステップは少し進んだ様に見えました。

しかし、撮影のクオリティを上げる、などといった用件以前に、プロジェクトが苦境に立たされていた事を、その時は知る由もありませんでした。次回は、”もう一人のアレックス”からe-Educationプロジェクトに対する本音を聞きに、教育省に出向いたお話をさせて下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


途上国の教育課題を若者の力で解決する

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