「タイプラスワン」とはASEANの中心基地であるタイだけで事業を完結させるリスクを分散するため、タイ以外の国にも生産拠点を設けようという戦略です。
製造業の生産拠点として、決して恵まれているとは言い難いラオスですが、このタイプラスワンにおいては高いポテンシャルを持っていると言われています。
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タイプラスワン拠点としての4つの短所
アジア地域の発展途上国が、国内経済の発展を推し進めるためにとる最も一般的な手段は、外国投資の促進による工業化です。工業化を進める上で重要な条件に、大型船の着岸できる港湾の整備があります。しかし、ラオスはそもそも海に面していません。
ラオスは電気、水道といった基礎的なインフラ、会社法、租税法など各種法律の整備が遅れています。そのため初期投資額の大きい案件はリスクが高く、実現することは困難な状況です。
また、ラオスの人口は約664万人(日本の20分の1ほど)と少ないため、国内経済の規模、労働力ともに限られています。
ラオス政府が、積極的に外国からの投資、特に製造業の進出を求めているのかが明確ではありません。
通常は、外国企業からの直接投資を呼び込むため、政府主導で現地法人設立の簡素化、外国人への労働許可緩和、所得税の減税・免除などの特恵措置を用意するのが一般的ですが、現時点ではラオスより周辺各国政府の打ち出す優遇策の方が優れています。
タイプラスワン拠点としての長所
労働賃金の低さは、まだまだ製造業にとって魅力的な水準です。絶対とは言えませんが、今後、ラオスが急速な経済成長を遂げることは考えにくく、給与水準の急激な上昇もないと判断されています。
ラオスのラーオ語はタイ語に近く、9割ほどの言葉が共通。ラオス国内のTV放送は、タイのTV番組が多く、一般的なラオス人はほぼ完璧にタイ語を理解することができます。
タイからの言葉の壁が低いため、技術移転は比較的容易に進む可能性が高いと言えるでしょう。例えば、タイ工場で作成した業務マニュアルを、そのままラオス工場でも使用できます。
一般的な海外生産拠点としてのラオスには高いポテンシャルがないかもしれません。しかし、「タイプラスワン戦略」となると、タイに生産拠点を持つ企業にとって、ラオスは大きな選択肢と言えそうです。
[MONOist]
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