ナマステ〜!e-Educationネパールプロジェクト担当の佐藤由季也です。前回の記事では、村育ちの私が大学を休学してネパールに来るまでの経緯について書きました。みなさん、「海外で働く(インターンする)」ことにどのようなイメージを持たれているでしょうか。
「かっこいい」「大変そう」「しがらみがなくて楽そう」「英語で仕事は難しそう」など様々なイメージがあることと思います。今回は私がネパールで五ヶ月間インターンをしてみてわかった海外で働くことの理想と現実についてお届けしたいと思います!
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英語を使って仕事をしたい!?
理想
私は大学で英語教育を専攻していることもあって実際に英語を使って仕事をしてみたいという憧れがありました。「英語で交渉する」「英語でスカイプ」「英語でミーティング」ってすごく憧れますよね。私も御多分に洩れずそういった憧れを抱いていた大学生でした。
実際にネパールで活動を始めて5ヶ月。日々英語とネパール語を使ってプロジェクトを進めています。つまり「英語を使って仕事がしたい」という夢がひとつ叶ったわけです!
しかし現実は・・・
英語が伝わらないのです・・・。「伝わらない」というのは、おそらく私の英語力がとてつもなく低いわけでもなければ発音が悪すぎるわけでもありません。英語という言語に乗せて伝わるべき自分の主張や相手にしてほしいことが伝わらないのです。何度言っても相手が動いてくれないし、自分の意見も通らない。なぜだ。なぜだ・・・。
伝わらない理由を考えた結果、私は「話す」ことに意識が向いていて、「伝える」ための努力を怠っていたということに気づきました。原稿を棒読みしているだけの人のプレゼンはどんなに内容が優れていても心に響かないのと同じで、どんな素晴らしいアイデアや戦略も「伝える」努力を怠ったら、ただのかっこいい言葉の羅列になるだけです。
私が実践するシンプルかつ効果的な伝え方
その事実に気づいてから私が意識するようになったのは伝える順番です。
- Why
- How
- What
この3つの順番で物事を伝えるように意識するようにしています。非常にシンプルですがかなり効果的です。共通認識がなかったり、始めてプロジェクトを説明するときなどには特にこの3つの順序を意識して伝えます。この伝え方はSimon SinekのTEDスピーチをみて学びました。時間のある方はぜひ動画をご覧ください。
TOEFLや英検などの英語試験においてはReading, Listening, Writing, Speakingという4つの技能で英語力を図ります。しかし、英語に限らず、あらゆる言語において私は4技能+ Delivereingの能力が必要だと考えています。ただ話すのではなく、相手に伝わるように、表情や視線、文章構成などを工夫して自分の考えをDeliverする能力こそ海外で働くには必要な語学スキルの一つだと思います。
海外に行ったら成長できる!?
理想
私はe-Educationのインターンに応募する前、トジョウエンジンの記事に載っている海外インターン生の姿を見て「自分もこんな風になりたい!」と思っていました。「自分も海外でインターンすればこんな先輩方のように成長できるに違いない!」そんな風に渡航前は思っていたわけです。
渡航前私はある3つの思い込みをしていました。
- 環境が変われば成長できるという思い込み
- 海外に行けばスーパーマンの如く自分の全能力が成長するという思い込み
- 成長は誰かが与えてくれるものという思い込み
しかし現実は・・・
この3つの思い込みはどれも間違っていることに気がつきました。
ネパールに来て初めの3ヶ月間は正直成長を実感できませんでした。成長を実感できたのはネパール語力くらいです。渡航してから3ヶ月間はプロジェクト云々より「自分どうしよう・・・」ということばかり悩み、しょっちゅう体調を崩していました。渡航前に描いていた「海外インターン」とは遠くかけ離れたインターン生活だったわけです。
しかし渡航4ヶ月目あたりから徐々に自分の成長が見えるようになってきました。それは「成長の方向性」が定まったからです。
3つの対話が大切
成長の方向性を定めるために大切なのは3つの「対話」だと考えています。
- 自分自身との対話
- 他者との対話
- 社会との対話(社会に対してなぜ?を問い続ける)
私が「成長の方向性」を定めること、対話をすることの大切さに気づいたのは3月に行われたネパールフィールドワークの時でした。
対話で急成長する学生たち
フィールドワークには、15名ほどの学生が参加し2週間ネパールの農村や企業、学校を訪問しました。参加した学生はネパールで途上国のリアルや、社会を良くしようと奮闘する人をみて、自分と向き合い、参加者同士で語り合い、ネパール社会に対して「なぜ?」を問い続けていました。
ネパール渡航前は、「何かしたいと思っていたが、行動に移せなかった」のが、渡航後には「将来の迷いがなくなった」、「将来の一歩を決断できた」 など自分がどこへ向かって努力するべきか明確になっていました。人は2週間でここまで大きく成長できるのだということに驚きを隠せませんでした。
私はこの1年間、教育という分野に成長の方向性を定め、一直線に進む覚悟でいます。1年後にはまた違う方向になっているかもしれませんが、この1年間はひたむきに教育と向き合って行きたいと考えています。
社会を変えたい!?
理想
e-Educationのインターン最終選考の面接の時、代表の三輪さんに「ネパールでの1年間、社会を変えるための1年間にしたいか、それとも自分を変えるための1年間にしたいか」と問われました。私は少し考え、「社会を変えるための1年にしたい」と答えました。
「よし、ネパールの教育を少しでもよくするために全力を尽くそう!」と決意し、渡航したわけです。その時はモチベーションマックスでした。自分ならできる、という根拠のない自信しかありませんでした。
渡航前「行ってきますプレゼン」の様子
しかし現実は・・・
ネパールでの活動は想像以上にハードでした。渡航前は「映像授業で農村の生徒の学力バリバリ上げてやる!」なんてイメージしていたのが、いざ学校へ行ってみると、パソコンが壊れている・・・。パソコンをなんとか修理して「よしやっと映像授業を見せられる!」と思っていたら今度は生徒が、
生徒:「ユキ、ファイルが開けないよ」
佐藤:「ダブルクリックすれば開けるよ」
生徒:「ダブルクリックって何?」
佐藤:「は〜(溜息)ダブルクリックは、こうするんだよ(カチカチ)」
生徒:「そんな早く二回クリックできないよ!(カチッ・・・カチッ)」
佐藤:「ケガルネ?(ネパール語でどうしよう、の意)」
と行った感じで何も進まない。
農村での映像授業の様子
無力を実感
一ヶ月、二ヶ月とどんどん時間は過ぎていくのにプロジェクトは一向に進む気配がありません。ここで踏ん張ればいいのですが、私が思ったのは
「教育の専門家でも無いし、第一教育実習でしか教壇に立ったことない一大学生がネパールの教育を変えるなんて何を考えているんだろう。」
といった諦めでした。
3つの支え
しかし私は今ネパールで五ヶ月目を迎え、今前を向いて活動しています。自分がネパールの教育に少しでも貢献できると信じています。では、何が私の支えになっているかというと、
- 「仲間の存在」
- 「子供の笑顔」
- 「存在価値の発見」
この3つが私を支えてくれています。
特に「仲間の存在」は大きいです。プロジェクトのことで悩んでいる時、電話でアドバイスをくれる同期インターン生。忙しいスケジュールの合間を縫ってインターン生の成長を支えて下さっているe-Educationの職員の方々。そしてネパールで一緒に活動している先生や現地NGOパートナー。私は心底人に恵まれているなと思います。
微力だけど無力ではない
e-Education海外統括担当の吉川さんがよく言う言葉があります。
微力だけど無力ではない
自分がこの世界に対してできることは本当に小さいことかもしれない。でも無駄なことは一つもない。そう思えた時、「自分がここいるだけでなんらかの価値をうみだしている」という「自分の存在価値」を発見できました。
私はすごく単純な人間なので、自分にできることを全てやろうと考えました。自分のできることを全てリスト化しそれをWordに打ち込んで、「家庭教師やります。なんでも教えます!」というチラシを配って歩きました。結果、予想以上に申し込みが来て個別指導する時間が取れなくなったので、子供たちを朝近くのお寺に集めて青空教室をはじめました!
青空教室の様子
0から1へ
「0→1を創り出したい!けど自分には何もスキルがないし・・・」
「社会課題を解決してみたい。けど自分に何ができるんだろう・・・」
そういった悩みを抱えている人たちに伝えたいのは
まずは0の自分に1を足すことから初めてみませんか?
ということです。自分ができないことは一旦脇に置いておいて、「自分は何ができるのか?」を考えて行動してみたら道が開けてくるのではないかと思います。
さいごに・・・
海外で働きたい、インターンをしたいという人は直面するであろう理想と現実のギャップ。理想が高ければ高いほど、現実を知った時のショックは大きいです。しかし大切なのは現実をどう受け止め、次の行動に移すかだと思っています。残り5ヶ月間のネパール生活を全力で駆け抜けます!最後まで読んでいただきありがとうございました!
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