「だれをバスに乗せるか」
このフレーズを聞いて、ピンときた方はきっとこちらの本を読んだことがあるのではないでしょうか?
経営コンサルタントのジム・コリンズが書かれたベストセラー本。3M、GE、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ソニー、ウォルト・ディズニーなど、世界を牽引する企業がなぜトップを走り続けることができるのか。いわゆる経営本とは異なる切り口で分析・解説されていて、ハッとする学びがたくさんありました。
その中でも特に驚いたのが「だれをバスに乗せるか(最初に人を選び、その後に目標を選ぶこと)」というフレーズ。思わず「本当かな?」と疑ってしまいましたが、NPOの経営者となった今、この言葉の重みを強く感じています。
今回は私がe-Educationの活動を始めてから今まで経験して来たことを通じて、バスに乗る人を決めることがどれほど大事なことかご紹介させてください。
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「人」から始まった私たちの挑戦
私たちe-Educationの活動は、2010年にバングラデシュで始まりました。発起人は当時まだ大学2年生だった税所篤快。彼と出会ったのは、彼のインターン先のグラミン銀行で、キラキラした目で夢を語ってくれました。
「ICTの力で、この国の教育格差の壁をぶち壊したい」
奇遇なことに、彼も私も東進ハイスクールで勉強した経験があり、最高の授業を映像にして農村に届けたら都市部と農村部の教育格差を埋められるかもしれない。いや、きっと埋められる。そんな確信がありました。
すでに彼には事業の大まかな計画があって、実施体制まで描けていました。しかし、そこからが中々思うように進んでいなかったようで、私は彼に「大学でインタビューしてみないか」と提案しました。
その翌日。私と彼はバングラデシュの最高学府であるダッカ大学の前で100人近い大学生にインタビューをおこない、ここで将来現地プロジェクトリーダーとなるマヒンに出会います。
マヒンとの出会いは、私たちの活動を激変させました。活動地を彼の故郷に変え、大きな組織の傘下で活動するのではなく、荒削りながらも自分たちの手でプロエジェクトを0から作る挑戦が始まりました。
結果、バングラデシュの有名予備校講師の授業をほぼ無償で撮影することに成功し、それを農村部の高校生たちに届けたところ、なんと1年目で早速ダッカ大学の合格者が誕生し、今ではマヒンの村から100人以上の高校生たちが国内トップクラスの国立大学に進学しています。
私たちe-Educationの挑戦は、マヒンという最高の仲間との出会いから始まったのです。
左から、税所・マヒン・三輪
「人」との出会いから非連続な成長は生まれる
e-Educationの活動が急激に成長したのは活動3年目を迎えた2012年、そして2013年です。
この時期に何があったかというと、団体として「五大陸ドラゴン桜」というスローガンを掲げ、仲間(大学生インターン)を募集したところ、半年から1年休学してでも、途上国で教育改革を起こしたい、という応募が全国から殺到しました。
はじめはベトナムで事業を立ち上げる仲間を探したのですが、他の国でもぜひ事業を立ち上げたいという大学生がたくさん現れ、彼らに新しい国のプロジェクト立ち上げを任せることを決めました。決まっていたのは「映像教育革命」の6文字だけで、目的地は全く決まっていません。
それでも、大学生の仲間たちはそんな環境を楽しみながら次々とプロジェクトを立ち上げ、ヨルダン・ルワンダ・フィリピン・インドネシア・ミャンマーと活動国は増え、2014年には14の国と地域にまでプロジェクトが広がりました。
気がつけばこんなに増えていた仲間たち
e-Educationを立ち上げた時は想像もできなかった成長は、やはり「人」との出会いから生まれたものであり、気がつけば「この人ならどんなプロジェクトを作るだろう」と人をベースにしたプロジェクト、そして目的地を考えるようになりました。
その旅は、楽しいですか?
もちろん「人」が決まるだけで、全てが上手くいくわけではありません。
NGOやNPOの経営者の仕事は、ミッションの達成に全力を注ぐことであり、「最高の授業を世界の果てまで届ける」というe-Educationのミッションを実現するために、私は14カ国まで広がった事業を6カ国に絞るという決断をしました。限られたリソースを最大限に生かすためです。
苦しい決断でした。これまで学生中心だった組織を社会人中心の団体に切り替え、国際協力のプロになることを決めました。当然、個人の意志よりも団体のミッション達成を優先することが増えてきています。
しかし、それでもミッションを100%達成できているわけではありません。最終目的地は決まっていながらも、そこに至るまでのルートは無数にあり、どの道を選んでも失うものが必ずあります。
特に悩んだのは昨年でした。バングラデシュでテロ事件があり、治安のことを考えると「バングラデシュの活動をいったん休止する」という方向性も考えました。
ただ、どうしてもその決断だけはできず、経営者としてどのルートで目的地を目指すべきか分からなくなり、次第に心と体のバランスが崩れ、しばらくお休みをいただきました。これは先日の記事にも書いた通りです。
職員全員から「休め」と言ってもらい、これまで一緒に冒険をしてきたインターンOBOGたちからも暑く、温かい言葉をいっぱいもらいました。今こうやって大好きな職場に戻ることができてたのは、「人」の力があったからです。
バングラデシュに戻ってきて、もう一度『ビジョナリー・カンパニー 2』の第三章「だれをバスに乗せるか」を読み返してみると、こんなことが書かれていました。
このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、わかっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれにふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ
その通りだと思います。適切な人が、言い換えるなら最高の仲間がいるから、目的地にたどりつく方法を決めることができる。経営者であればきっと共感を覚えるフレーズだと思いますが、果たしてそれだけでしょうか?
私は昨年の経験を通じて、仲間と一緒に夢を追いかける時間こそが、人生で最も価値ある財産の一つだと思うようになりました。目的地が遠すぎて見えなくても、仲間と一緒に乗り越えていく旅路こそ、仕事の醍醐味だと信じます。
「人」がいるからこそ、旅は楽しく、面白くなる。仕事にもきっと同じことが言えるのではないでしょうか。
バスに乗ってくれる仲間を探しています
ここまで紹介してきたように、私たちe-Educationは「人」の出会いの力を信じており、もっとたくさんの「人」と一緒に旅をしていきたいと考えています。
そして現在、正職員2名の募集を開始しました。海外プロジェクトマネージャーと国内ファンドレイザー。これからのe-Educationの要となる大切なポジションです。
少しでもご関心ある方は、ぜひ以下の採用募集ページをご覧ください。一緒にバスに乗ってくれる人を、心からお待ちしております!
今、バスに乗っている最高の仲間たち
最後に、今、e-Educationというバスに乗っている最高の仲間たちをご紹介します。 彼らがどんな想いでe-Educationに入り、どんなことに挑戦しているのか、ぜひチェックしてみてください。
e-Education職員
- 恋する気持ちを原動力に! 青年海外協力隊を通じて見つけた「温かい繋がり」を世界中に広げるために、私はe-Educationで挑戦します。(椎木睦美)
- そんなに不思議なことですか?45歳でNPOに転職したN男の探究(中野秀敏)
- 人前で話すのが苦手な僕が、英語を武器に「あの子」の夢を応援し続けるまでの道のり(古波津大地)
- 息子が生まれた翌月に会社を辞めてまで、私が途上国支援にこだわる理由(吉川雄介)
- ビジョンの響きに、甘えていませんか?国際協力NGOの脱力系事務局長がオススメする書籍『プロデュース能力』(薄井大地)
- 大切な仲間が応援してくれるから、私は好きな場所で好きなことに挑戦してきます(三輪開人)
e-Education大学生インターン
- 「自信のない自分とサヨナラしたい」フツウの大学生の私が、ラオスで一年間挑戦する理由(法政大学4年・竹下友梨)
- 胸張って自分を誇れる男になるために。僕がミャンマーへ教育を届ける理由 (中央大学4年・佐々翔太郎)
- もう逃げない。僕がネパールで自分の限界を超えると決意した理由(早稲田大学4年・大竹浩貴)
- やりたいことは諦めなくていい。親から教えてもらったことを、フィリピンの子どもたちに繋いできます(創価大学3年・繋奏太郎)
- もっともっと広い世界へ。長野の山奥から東京へ、そしてインドネシアに行くまでの話(早稲田大学1年生・原昇)
- 初恋の悔しさが自分を変えるキッカケに。もう後悔しないために、宮崎から初海外ミャンマーへ(宮崎大学2年・土持侑也)
- 高校生の自分に負けないために。確かな覚悟を持って、インドネシアで自分の殻を破ってきます(同志社大学4年・田中瑞幹)
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